2016/11/28

日本動物学会奨励賞受賞を学長に報告(生物工学科 佐藤)

こんにちは。学長の松田です。今日は、元ブログスタッフでもある生物工学科 佐藤淳准教授からの報告です。

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先日の学長室ブログでも報告させていただきましたように、11月17日(木)に沖縄コンベンションセンターにおいて、日本動物学会奨励賞を受賞しました。その件を学長に報告するために賞状とポスターを持って学長室を訪問しました。

学長室ブログ:生物工学科 佐藤淳 准教授 日本動物学会奨励賞を受賞!

まずは、簡単に研究内容を説明するとともに、テンちゃんなど福山大学キャンパス内の動物たちが受賞講演や受賞ポスターで活躍したことなど紹介しました(テンちゃんについては学長室ブログ[1][2][3][4]参照)。
松田学長に研究内容を説明する佐藤
せっかく撮っていただいたのでもう一枚説明の様子
この場をお借りし、少しだけ研究を紹介させていただきますと、私は4つの視点から哺乳類の進化と絶滅の裏側にあるメカニズムを解明する研究を行ってきました。

分子系統学では、DNA塩基配列情報に基づいて、哺乳類の類縁関係に関する研究を行い、例えば、広島市安佐動物公園との共同研究でレッサーパンダの進化的由来を明らかにしました(こちらの学長室ブログもどうぞ)。また、最近では、今年の8月にキューバソレノドンの由来を明らかにして国内外の各種メディアにも取り上げられました。

分子進化学では、遺伝子の進化に着目し、例えば、アザラシやアシカの旨味物質を検出する遺伝子が“死んでいる(偽遺伝子化している)”ことを明らかにしました。つまり、餌をかまずに飲み込むことで味を感じる必要性が低下している可能性があるのです。

系統地理学では、テンちゃん含むニホンテンの祖先がいつどこから日本列島に入り込んだのかなどの個別研究から始まり、最近では、日本の陸生哺乳類60種余りの起源をまとめて総説を書きました。近々出版予定です。英文で68ページありますが、是非多くのみなさまからご意見をいただきたいです。特に若い人には是非挑戦していただきたいです。

保全遺伝学では、生息地の分断化と隔離が哺乳類の遺伝的多様性に与える影響を調べています。福山大学キャンパスを使ったアカネズミの遺伝的多様性に関する研究では、数十年の隔離が遺伝的多様性の低下を引き起こすことを明らかにしました(こちらの学長室ブログ[1][2]をどうぞ)。そして、高い島の絶滅率の要因を理解するために、瀬戸内海島嶼のアカネズミの遺伝的多様性に関する研究も行っており、島嶼集団の遺伝的多様性の低下と島嶼集団間の遺伝的分化を明らかにしました(先月、論文が受理されましたので追ってどこかで紹介します)。受賞講演では、瀬戸内海島嶼は絶滅メカニズムを探るモデルであると主張してきました。

以上の研究に興味のある方は、是非、ポスターもご覧になっていただければ幸いです。受賞タイトルは、「哺乳類の分子系統および日本産哺乳類の起源の解明」です。今後、研究をスケールアップして動物とは何か?哺乳類とは何か?に迫っていきたいと思います。高校生のみなさーん、こんな面白いこと生物工学科で一緒に学んでみませんか?←はい、宣伝です。
受賞ポスター
そして賞状です。これまでに受賞された方の顔を思い浮かべると、その重みを感じます。この受賞ははじまりにすぎません。賞の名に恥じぬよう研究を発展させたいと思います。
証拠の品
これまでにほんとうに多くの皆様に助けられて研究を続けることができました。「サイエンスはどこでもできるからサイエンスだ」と、技術職員時代、本学科のとある先生を家まで車でお送りした際に言われたことを今は身に染みて感じます。瀬戸内には魅力が満ち溢れています。世界を変える普遍性も眠っていることでしょう。どれだけ解き明かすことができるのか。。。楽しみです。
最後に学長と一枚

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学長から一言:佐藤准教授のこの顔の輝きを見て下さい!!!これからまだまだ伸びますよ!!!がんばって!!!