2017/03/01

どっちが正しいのか、送り仮名のナヤミ 〜大学近辺の看板を例に〜

大学教育センターの、学長室ブログ担当のT&Wです。筆者Tは、共通基礎教育の「日本語表現法」を担当しています。今回は、送り仮名の問題について書いてみます。


福山大学には、JR山陽本線松永駅からスクールバスでわずか10分で到着します。途中、山陽高速自動車道高架下をくぐり、福山大学案内の大きな看板を過ぎ、大学キャンパスに近づくにつれて、道路のアップダウンとカーブがあります。このあたりには、安全運転を促す立て看板がいくつもあります。

さて、一連の写真を見てください。最初の5枚が大学に向かっての、後半の5枚が大学から帰る時の、道端の看板です。自動車を運転しながらじっくり見つめるのはかえって危険ですが、スクールバスの中からであれば見ることはできるでしょう。


看板の写真を見て何か気づくことはありませんか。「スピード落とせ」とあります。帰り道の2枚目の写真、この看板だけは「スピード落せ」です。はて、どちらの送り仮名が正しいのでしょうか。

皆さんの多くは、「落とせ」と書くのではないでしょうか。そうなのです。それでは、「落せ」は間違いなのでしょうか。

このような送り仮名については、国によって決まりが定められています。昭和48年6月18日内閣告示「送り仮名の付け方」(国語辞典の巻末に載っていますし、ネットで検索して、見ることもできます。昭和56年10月1日改正。)によれば、「落とす」については、以下のように説明してあります。

1 活用のある語
通則1
本則 活用のある語は、活用語尾を送る。 (例)考える 助ける 落ちる など
例外 次の語は、次に示すように送る。 (例)味う 教る など
許容 次の語は、(  )の中に示すように、か活用語尾の前の音節から送ることができる。 (例)表す(表す) 行う(行う) 断る(断る) など

通則2 
本則 活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。(含まれている語を〔  〕の中に示す。) (例)落とす落ちる 聞こえる〔聞く〕 など
許容 読み間違えるおそれのない場合は、活用語尾以外の部分について、次の(  )の中に示すように、送り仮名を省くことができる。 (例)落とす落す 聞こえる(聞える) など
   
「落す」も許容。結局、どちらも正しいということになります。パソコンや携帯端末でこれを入力しようとすると、「落とす」「落す」の2つの候補が出てきます。普通は「落とす」を選ぶでしょう。しかしながら、「落す」が間違いかというと、間違いではないのです。皆さん、安心したでしょうか。はたまた、どうにも不安になったでしょうか。

看板に偽りはありません。いずれにしても、スピードを出しすぎないように、安全が第一です。

学長から一言:面白いですね~。。。どこにでも、文字通り道ばた(!)にでも、学ぶ材料、考える材料が、転がっているのですねッ!!!