2016/04/13

国際経済学科新任 萩野覚教授のご紹介

こんにちは!国際経済学科ブログスタッフの足立です。

いよいよ新学期が始まりました。新入生は期待に胸を膨らませて、毎日ワクワクしながら大学にきていることでしょう。ワクワクしているのは新入生だけでなく、新任教員も同じかもしれませんね!

さて、今回は国際経済学科に新しく赴任した萩野 覚(はぎの さとる)教授を紹介します!

日本銀行→IMF→OECDとバリバリのキャリアの持ち主

はじめに、略歴を教えてください。

職歴は、1989年に日本銀行に入行し、以来、国際収支統計や資金循環統計の整備・分析等に取り組んできました。2008年から2年半ほど、日本銀行のパリ事務所長を務めました。2000年から4年間、IMF(国際通貨基金)で、2011年からOECD(経済協力開発機構)で働いたこともあります。2014年から、1年半ほど、内閣府経済社会総合研究所で政策企画調査官として働いた後、2016年4月に、福山大学に赴任して来ました。

学歴は、東京にある国立の筑波大学付属高校を卒業した後、慶応義塾大学経済学部経済学科で学びました。日本銀行に就職した後、1993年から1年間、フランス政府給費留学生として、パリ等で勉強・研修をしました。また、IMF で働いている間、仕事の後にジョージ・ワシントン大学院に通学し、2003年にMBA(経営学修士)を取りました。

うーん、まさに国際派!すごい経歴ですね。


担当授業と研究テーマを教えてください。

担当する科目は、「英語で学ぶ国際経済」(月曜日4限)と「上級マクロ経済学」(火曜日4限)です。

研究テーマは、国際経済と経済統計、具体的にはグローバリゼーションに係る統計整備です。ここ数年は、OECDの時から取り組んでいる「付加価値貿易指標の改善」の研究を進めてきました。これは、企業のミクロデータを用いて産業連関表を拡張することによって実現するのですが、世界の多くの国々で検討が進んでいます。

元々、国際経済では企業の異質性に着目する観点から、経済統計では統計データの解析という観点から、企業のミクロデータの利用が盛んになって来たのですが、OECDは、国際貿易の分野でそうしたアプローチの推進役となっています。関連する国際会議(トルコのアンカラで開催されたイスラム諸国向けの会議)で、当方がOECD代表として参加した時の写真を添付しておきました。

今後は、金融の分野で、グローバル・フロー・オブ・ファンズ(世界資金循環)の統計整備・分析に取り組みたいと思っております。この分野では、IMFとの連携が欠かせません。
OECD代表としてイスラム諸国の会議に出席
さすが日本銀行出身!専門外の私にはなんだか難しそうですが…

趣味や特技はありますか?

趣味は、卓球と山登りです。卓球については、早速、大学卓球部の練習に参加させてもらっています。山登りについては、これまで行けなかった中国・四国・九州地方の山々に登りたいですね。それと、映画が好きで、高校時代に大林宣彦監督の「転校生」を見て以来、「いつか尾道に住みたい」と思っていました。今、まさに、お寺の階段の上に住んでいるのです。

特技は、特にありませんが、フランス語の通訳案内士(外国人観光客に対するガイド)の資格をこの冬に取りました。広島県は、観光資源が豊富なところですので、その歴史や文化を勉強してガイドができるようになりたいと思っています。あと、ポール牧とは違う方法で指を鳴らすことができます。

座右の銘などがあれば教えてください。

「終生求道」です。死ぬまで勉強して精進しなさい、という意味ですかね。20年ほど前、会社の親友の結婚式に出席したのですが、その際、引出物として「終生求道」の書を頂きました。以来、オフィスに掲げて自分を鼓舞してきました。今、研究室に掲げてあります。

英語では、最近こういうのを目にしました。“My goal is not to be better than anyone else, but to be better than I used to be.”私の目標は、他人より秀でることではなく過去の自分よりも良くなることである、という感じでしょうか。

早くも学生の履修指導中

最後に学生に一言メッセージをお願いします。

私は、就職後、多くの国際経験を積む機会に恵まれましたが、海外デビューは比較的遅く、25歳の時でした。大学生の時には、アルバイトをして生活を維持して行くのに精一杯で、一度も海外に出る機会がありませんでした。

就職後、語学を必死に勉強して会社の派遣留学の機会を得て、その後、国際機関で働くこともできたのですが、海外で働けば働くほど、自分の英語のできなさを痛感しました。特に、英語を聞く力が問題で、国際会議等では、話されていることの7割を理解するのが限界です。後の3割は、自らの知識を基に推測をせざるを得ません。そんな時、どうして自分はもっと早く海外に出なかったのだろうか、大学時代、女子学生を追いかける時間とお金を少しセーブすれば英語研修くらい行けたのではないだろうか、との後悔の念に苛まれました。皆さんも、就職して海外の人と働く機会を持つと、少なからず、このような思いを持つことがあると思います。

 しかし幸いにも、福山大学は、皆さんの背中を押してくれます。のみならず、具体的なプランをもって、海外に出て苦労する機会を提供してくれます。そんな良い機会を生かさない手はありません。自分は、地域社会に貢献できるようなグローバル人材を育成しようという福山大学の意気込みに魅力を感じ、自分の大学時代の反省とその後の経験を少しでも生かせればと思い赴任して来ました。

ですから皆さん、男子学生は、私のように女子学生を追いかけ過ぎずに、時間とお金を少しセーブして、女子学生は、私のように追いかけてくる男子学生を振り払ってでも、是非、海外に行きましょう。そうすると、語学ができるようになるだけでなく、皆さ んの視野が飛躍的に拡がります。“You will be better than you used to be.”ですよ。

 最後に、私は2011年、フランスのサルコジ大統領(当時)から、フランス国家功労勲章というものを頂きました。2008年の日仏修好150周年記念において様々なイベントを企画する等、日仏関係強化に貢献したというのが理由のようですが、受勲の際には盛大な式典を催して頂きました。

添付の写真で、フランス銀行の「黄金の間」というところで同行のノワイエ総裁(当時)に勲章を付けてもらったのが1枚目、フランスに対する感謝と愛をフランス語でスピーチしたのが2枚目です。

思えば、埼玉県川口市の鋳物工場の片隅で生まれ、工場の煤で毎週のように喘息の発作に苦しみ、たまに元気な時には近くの沼でアメリカザリガリを釣っていたようなガキが、こんな金ぴかな所でフランス語のスピーチをするなんて、そんな思いで受勲式に臨んでいました。これは、自分の努力や運といったものもあるでしょうが、それよりも、活躍と成長の機会を与えてくれた、多くの方々のおかげだろうと思います。機会を生かす“Take the chance.”、これが人生にとって一番大切なのではないでしょうか。

フランス銀行総裁からフランス国家功労勲章を受勲

国家功労賞授賞式にてフランス語でスピーチ
なるほど!I should be better than I used to be. ですね。私も昨日の自分を越えられるように頑張らなくては…前職を聞くと固そうに思える萩野教授ですが、面白い人です。

国際経済学科の学生は他では聞けないようないろいろなお話が聞けそうですね!国際経済学科に楽しく強力なメンバーがまた一人増えました!


学長から一言:この自己紹介もとても個性的で、楽しいですが。。。実物に会うと。。。これが実にチャーミングな方で。。。国際経済学科、とびっきりの教員に来ていただけましたね!!!