2016/07/30

情報工学科提供の授業「UXデザイン」でホームページデザインを考える 続報!

学長室ブログメンバーの工学部情報工学科の池岡です。

工学部の学科横断型教育「みらい工学プロジェクト」において、情報工学科では三つのプロジェクトを受け持っています。今回はその内の一つのUX (User eXperience)デザイン」プロジェクトの続報として、担当の中道准教授から最終グループ発表の報告を頂きましたので、以下にお伝えします!

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前報では、高校3年の受験生の仮想ユーザーであるペルソナを作り、発表を行いました。詳細は、前報のリンク先を参照してください。

今回は、前回作成したペルソナ(仮想ユーザー)に対して、受験を意識したところから受験手続までのストーリーを作成し、ストーリーに沿ってホームページの改善案をプロトタイプとして提案してもらいました。

ストーリーは、大学の情報を収集しに大学HPを訪れる、受験資料をHP上で取り寄せる、大学内のHPをこんな目的でこんなページを訪れる、推薦入試日程のスケジュールを調べる、オープンキャンパスの日程を調べる、オープンキャンパスに参加するなどといった具体的なイベントから構成され、学生が独自に作成しました。

そのストーリーを基に、実際にスマートフォンを利用して大学HPを訪れて、気づいたことなどを基に改善案を作成し、プロトタイプと言われる改善見本を作成してもらいました。

それでは、実際の学生のグループ発表風景と共に、改善案を紹介していきたいと思います!

まずは,Aグループです。
ペルソナは、新井輝夜(あらいかぐや、仮名)さんで福山市在住、AO入試です。

大学のTopページの「受験生のコンテンツ」に受験案内を追加した方がいいという改善案が出されました。どのグループからもTopページに受験案内のリンクを貼った方いいという意見が出ていました。そもそも入試・入学情報のページはありますが、「受験案内」というのはHP内になく。。。受験を考えている高校生の方々には「受験案内」というキーワードが非常に直感的ですね!!


写真1Aグループ


また、受験生の方向け情報も、最初はまとめておき、クリックしたときに情報が下に出てくるようにした方が良いという改善案が出て来ました。確かにスマートフォンだと表示できる情報には限りがあるので、見たい情報がページの下の方にあるときは、かなりスクロールをしないといけなくなり大変ですね。スマートフォンでの利用ならではの改善案ですね!

他には、オープンキャンパスのページが現状スマートフォンには対応できていないため、カレンダー型の日程表にして、興味のあるイベントの日程をクリックすることで詳細が見れるようになると良いのではないかとの改善案も出ました。

続いて,Bグループです。
ペルソナは、田中晋蔵(たなかしんぞう、仮名)さんで尾道市在住、推薦入試です。

こちらのグループでも、TOPページの「受験生のコンテンツ」を整理した方がよいとの改善案が出ていました。今ある受験生のコンテンツを「オープンキャンパス、入試・入学情報、資料請求、学生生活、福山大学の情報公開、Q&A」に変更するというものでした。

写真2Bグループ


また、こちらのグループだけでなく他のグループでも改善案として提案されていましたが、入試スケジュールをカレンダーにするという案が出ていました。入試日程の全体をイメージしやすい方法で呈示するということが、受験生にとっては重要なのかもしれません。

他には、各種入試のリンクにそれぞれの入試の特徴を記述すると高校生にはわかりやすいとのことでした。さらには、合否の確認方法として,通常は合格者が表で一覧になっていますが、受験番号を入力し確認を押すと合否が表示されるものへの改善が提案されました。

続いて,Cグループです。
ペルソナは、菊池陽菜(きくちひなた、仮名)さんで広島市在住、一般入試A日程です。


写真3Cグループ


他のグループで出ているTopページへの受験案内やスケジュールを表やカレンダーで示すという改善案以外に、受験案内のページに入試情報(入試スケジュール,各入試の案内,募集人員),オープンキャンパス,入学金などの情報をわかりやすく載せたらよいとの改善案が出ました。

最後に,Dグループです。
ペルソナは、浅野裕也(あさのゆうや、仮名)さんで岡山県津山市在住、センター利用入試です。


写真4Dグループ


こちらのグループでも、他のグループ同様に,Topページにおいてスマートフォンで入試情報がわかりやすいようにした方がよいとのことで、入試情報に限定した新着情報を、通常の新着情報とは別にわかりやすいように設けた方がよいのではないかという改善案が出されました。

このように、1年前に受験を経験した学部1年生だからこその様々な改善案が出され、非常に意義のある成果として、無事に今年度のUXデザインのみらい工学プロジェクトが完結しました!

学生のみなさんお疲れさまでした!来年度も別の視点からUXデザインに基づく大学ホームページ改善をこの授業で行っていきたいと思います!

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学長から一言:学生の皆さん、ありがとうございました!!!問題解決型の授業の中で、UXデザインの実際を学びながらかつ大学に有用な提言をするという、素敵な実践でした!!!次は、これを生かす側の力量が問われますねッ!

2016/07/29

海洋生物科学科のオープンキャンパス

こんにちは、海洋生物科学科の学長室ブログメンバー、Kenjiです。

今夏第1回目の1日オープンキャンパス(体験入学会)が、先日の7月17日に開催されました。全学部全学科が独自の催し物を企画して、皆さまをお迎えしました。

そのなかで唯一、本学以外での場所でオープンキャンパスを行ったのが海洋生物科学科です。

その場所は、因島臨海キャンパス♪本学で受付を終えた皆さんはスクールバスに乗って「しまなみ海道」の橋を2つ渡り、風光明媚な因島にお越しくださいました。

ここ「因島」は、福山大学の創設者であります故 宮地 茂名誉総長の郷里です。因島キャンパスには、「郷里の皆さんに育てて頂いた感謝の気もち」を込めた宮地名誉総長のご意思のもと、大学附属の水族館・マリンバイオセンターが開設され、開所当初から無料で一般公開しています。水族館では、瀬戸内海に生息する魚介類の他、熱帯域や亜熱帯域に生息する魚介類を展示飼育しています。

本学から因島へとお越しいただいた皆さんは一旦講義室へ…まずは、開会の挨拶です。

南教授から開会のご挨拶
今回は、海洋生物科学科の教員8名、因島キャンパスの職員2名、調査船船長1名に加えて、大学院および4年次生の協力学生18名で皆さまをお迎えしました。

パワーポイントによる学科紹介のあと、因島キャンパスの施設見学をしました。天候の悪化が心配されましたが、雨もさほど降らず、キャンパス裏の海岸では、夏の瀬戸の海風を感じてもらいながら、海がすぐ目の前に広がる立地条件を活かした “福山大学・海洋生物科学科ならではの教育と研究内容” について紹介しました。

昼食を終えた後、早速、体験実習へと移りました。

今回のメニューは、こちら…

①フィールド生態環境コース~調査船による海の環境調査実習~
②資源利用育成コース~海産魚類の発育観察実習~
③アクアリウム科学コース~水族館の飼育・展示実習~

それぞれのコースの実習風景を挙げていきます…

まずは、「フィールド生態環境実習」から。

私たちに大いなる恵みを与えてくれる“海洋”を守るためには、“海”をあらゆる角度から調査し、海の環境とそこに生息する生き物の生態を理解しなければなりません。
フィールド生態環境コースでは、調査船に乗って海洋上で環境測定を行い、“海”を知る調査法の基本を体験しました。

調査船に乗って、この海の環境測定をしました!!

つぎは、「資源利用育成実習」です。

沿岸漁業において増養殖は、振興策として重要な位置を占めています。人工種苗の利活用は増養殖のエンジンで、現在では約40種もの海産魚類が人の手で育てられています。今回は、キャンパス内の飼育施設を見学したあと、「魚類の発育を知る」ために発育過程の観察を体験しました。

飼育中の親魚から産まれたシロギスの受精卵だよっ!!
仔魚の発育過程をを顕微鏡で観察しました

もう一つは、「アクアリウム科学実習」です。

「水族館の飼育・展示実習」では、一般公開している附属水族館での活動を中心に、主にアクアリウム科学コースで実施している水槽の水質管理や、学芸員に必要とされる生物の展示解説手法について学習・体験しました。

水族館のバックヤードにて、魚介類飼育水の水質検査中!!

水族館では、飼育魚類を観察しながら展示解説手法を学びました

今回も全国からたくさんの皆さまにご参加いただきました。短い時間ではありましたが、福山大学のこと、海洋生物科学科のことをすこしでも多く知っていただく絶好の機会として、われわれスタッフ全員で今回のオープンキャンパスを創らせていただきました。

アンケート調査の結果には、協力学生の一所懸命な姿を称えるうれしい声が数多く寄せられました。「福山大学で学び、日々励んでいる学生の真の姿」を見ていただき、わたしたちが目指している大学像や教育像に共感いただけたことが、われわれ教員にとって何よりの励みとなりました。

ご参加いただきました皆さまには、感謝の気もちでいっぱいです。「どうもありがとうございました」

今夏第2回目の1日オープンキャンパスは、8月21日(日)です。皆さまのご参加を、心よりお待ちいたしております!!

(海洋生物科学科 Kenji♪)


学長から一言:なかなか経験できない、因島キャンパスでのオープンキャンパスの報告でした!!。。。かく言う私も、因島キャンパスのオープンキャンパスは覗いたことがないのです。。。因島に向けて高校生の皆さんを乗せたスクールバスが走っている頃、私は大学全体の説明などを本部のキャンパスでしていま~す。


2016/07/28

生命栄養科学科のオープンキャンパス!

こんにちは。生命栄養科学科の学長室ブログメンバー、Kです。

本学科のオープンキャンパスでは、見学会だけ、体験入学会だけでしか体験できない様々なテーマを取り揃えています。少し前になりますが、7/2の見学会、7/19の体験入学会の様子をご紹介します。

☆見学会
まずは見学会のご紹介です。午後だけの短い時間でも内容はてんこ盛りです。

教員、学生による学科紹介の後、各班3~4人の参加者の方々に1名の学科教員がついて、施設見学や体験コーナーを順番にご案内しました。


SATを使った食事診断の様子です。フード模型を機械の上に載せるだけで、その食品の栄養価を計算し、パソコン画面に表示されます。
栄養指導で使用すると、対象者にわかりやすく「何をどれだけ食べたら良いか」わかります。


 実際に講義で使う教科書の紹介です。学生がどんな講義なのか説明します。

トレッドミルを使った運動体験です。10kcalを消費するのに必要な運動量を実際に体験します。

食育クラフト(栄養指導で使う折り紙のようなもの)体験です。折り紙をしながら栄養や食品について楽しく学べます。
体組成測定体験です。自分の体重や脂肪量、筋肉量がすぐに判ります。

すべて学生が行いましたので、疑問点を聞きやすかったのでは?と思います。
アンケートでは「学科のことがたくさん知れてよかった」「在学生が直接お話してくれたのでわかりやすかった」とのご意見をいただきました!

☆体験入学会
次に7/17に開催されました、体験入学会についてご紹介します。


まず初めに、大学会館ではロボヴィーちゃんがお出迎え!近づくと話しかけてくれました。


そしてロビーには一人乗りの車も展示しております!大学会館では学科別にブースが設けられています。


何やら楽しそうに談笑しております。生命栄養科の和気あいあいとした明るい雰囲気が伝わってきますね。

そして18号館に移動しました。井ノ内学部長の挨拶から始まり、石井准教授の学科説明、4年生から学生生活について発表を行いました。


1年生から4年生の授業内容、行事等について元気よく説明してくれました。学生生活の発表の後は、施設見学を行いました。


100食の大量調理を行う給食実習室や、病気の方に対する栄養管理について学ぶ臨床栄養学実習室を学生が説明しました。

学生食堂で昼食をとった後、ガールズトークで学生と交流したり、管理栄養士に関するDVDを鑑賞しました。

そして、午後からは待ちに待った体験学習です!今回は牛乳と生クリームからバターを作り、出来たバターの重量を比較しました。

まずは重量をはかって・・・・・・・振ります!!!


 こちらは生クリームから作ったバターです。たくさんのバターが出来ました。


クラッカーを添えて実食しました。クラッカーの塩気が丁度よかったです。


ジャムもご用意しております! 美味しかったですね。

その後は、バター作りについて山本教授より模擬講義がありました。
バターを工業的に製造する場合の機械なども講義し、実際の大学での授業を体験してもらいました。

生命栄養科学科は、栄養に密接にかかわる食べ物や料理についても、講義や実験で深く学びます。そして講義で学んだ知識を、実験や実習で目で見て再確認することで、より理解が深まります。

なぜ牛乳や生クリームを振るとバターができたのか? 気になった方は是非、8/21の第2回体験入学会へお越しください! また最初に紹介した見学会は、9/3の第2回見学会でも同じ内容で行います。

興味がございましたら、是非こちらから、お申込ください!(事前申し込み無しの、当日いきなりでもO.K.)


学長から一言:生命栄養科学科のオープンキャンパスは、実習成果が食べて味わえる、という他にはない大きなメリットが、楽しみですねッ!!!

2016/07/26

全日本製造業コマ大戦 福山場所に工学部生が出場!

こんにちは!機械システム工学科の学長室ブログメンバー、Kです。

工学部の学科横断型プロジェクト「みらい工学プロジェクトの一つに、「全日本製造業コマ大戦」に挑戦するコマを設計・製作するプロジェクトがあります。さて、7月17日(日)にエフピコRiMふくやまで「全日本製造業コマ大戦 福山鬼日向場所」が開催されました。今回はこの大会への参加の様子を報告します。


プロジェクトに参加している学生は、この大会への参加を目指してコマの分析・設計・製作をしてきました。

「全日本製造業コマ大戦 福山鬼日向場所」には33チームの参加がありました。学校関係は、小学生、中学生、高校生、高等専門学校生、大学生と多くの参加がありました。
企業関係は、広島県だけでなく岡山県や島根県、遠くは岐阜県からの参加もありました。企業チームは優勝経験がある企業ばかりで、レベルの高い大会となりました。
 (受け付けでコマの大きさや重さを測定しています)


福山大学からは「コマ大戦に挑戦」(みらい工学プロジェクト)を履修している13名の学生が参加しました。

(福山大学からの参加者です)




(会場の様子です)



福山大学の学生たちは企業の技術力や創造力に圧倒されながら戦っていました。特に、物事に取り組む情熱に圧倒されていました。

(高校生との戦いです)


(企業との戦いです)




一回戦で敗退した学生もいましたが、一方で順調に勝ち進んでいき4位となった学生もいました。思い通りにコマを回せた学生も、回せなかった学生もいたようですが、どの学生も頑張りました

最後に参加者全員での記念写真を撮りました。




(全日本製造業コマ大戦 福山鬼日向場所)


(使用したコマです)


大会終了後には懇親会が開催されました。懇親会ではお菓子や飲み物準備されており、今回使用したコマの分析や評論繰り広げられていました。

懇親会に参加した学生は、コマの設計や製作の話だけでなく、製造業のあり方や製品開発のこだわりなどのモノづくり情熱を聞いて、モノづくりの素晴らしさに感動していました。

そして、次回のコマ大戦での再会を誓って、楽しい懇親会は終了しました。

(懇親会の様子)



10月には福山大学の大学祭でもコマ大戦を実施する予定です。た、11月には出雲市で全日本製造業コマ大戦G2西日本ブロック予選が開催されます。
プロジェクトに参加した学生から全国大会や世界大会に挑戦する学生が出てくることを期待しています。


最後に、大会に参加した学生からのレポートをご紹介します。




コマ大戦は福山大学の他、たくさんの企業、高専や小、中、高校生の人たちも参加していました。
私は初戦で敗退してしまいましたが、もっとこうすればよかったという部分が負けることによって分かり、悔しいところもありますが負けてよかったな、と思います。
コマ対戦はどの方が作ったコマも素晴らしいものばかりでしたがやはり企業が作ったコマがすごかったです。コマの形や材質、削り方、そして回すことに関しても練習をしていて圧倒されました。
私が1番印象に残った試合は準決勝の企業同士の対決でした。一方はとても重量があり攻撃的でぶつかると相手のコマを飛ばしてしまうような喧嘩ゴマ、もう一方は一点にとどまり相手とぶつからないようにするコマでした。結果は後者の方が勝ちましたが、なかなか決着がつかずどちらが勝ってもおかしくない試合だったと思います。



この2つの他にも、軸がないコマやボルトを利用したコマなど様々な工夫がされたコマがありました。このコマ大戦に出ていた皆さんは真剣にコマの設計をし、研究し、強いコマを作っていました。
 
コマ大会が終わった後も企業同士で相手のコマを回して意見をそれぞれが述べていました。そのときこの大会の実況の人が仰っていた「本気で遊ぶ」ということを思い出しました。そしてそれをこの大会に出ていた大人の人たちにしっかりと見せつけられました。

私も「本気で遊ぶ」、この経験を少しはこの大会でできたのではないかと思います。
勉強をすることももちろん大切なことですが、もっとこういった経験をこの4年間でしていきたいとこの大会を通して思いました。


機械システム工学科1年




学長から一言:今回13名も学生が参加したとのこと、よい勉強になりましたねッ。。。「本気で遊ぶ」は研究にも勉学にも通じていますよ!!!

2016/07/23

心理学科第1回オープンキャンパスの様子 〜「犯罪心理学」から「香りのストレス軽減効果」まで〜

こんにちは。学長室ブログメンバー,心理学科宮崎です。

 7月17日 (日) に福山大学オープンキャンパス (第1回体験入学会) が行われました。本日は体験入学会で開催された心理学科のイベントの様子をお届けします。

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 心理学科のイベントは,教務委員を務める野寺准教授による「学科紹介」からはじまりました。心理学科のカリキュラム教員構成等の基本情報であったり,就職状況や大学院への進学状況などが,野寺准教授から来校者へ詳しく紹介されました。

 そのほかに,国家資格の公認心理師資格についての説明や,早期卒業制度などの福山大学心理学科に特徴的な教育システムの紹介もありました。来校した高校生は,メモをとり,真剣に野寺准教授の話に聞き入っていました。


 次に,私 (宮崎) が「幸せになるための方法」という (あやしげな) タイトルで模擬授業を行いました。笑顔をつくること腕を上にあげることで,現在ないし直近の物事をポジティブにとらえるようになることであったり,昔の写真 (たとえば大学の卒業アルバム) の中で笑顔をみせている人は,今現在しあわせな結婚生活を送っている (離婚してない) 可能性が高いこと幸福感が高いこと,満面の笑みを選手名鑑の中で浮かべているプロ野球選手ほど長生きすることなどなど,心理学の領域でこれまで報告されてきた笑顔・笑うことがもたらす良い効果について,合計で20ほどの研究を紹介しました。


 来校者と一緒にランチをすませた後,犯罪心理学研究室 (「犯罪心理学を学ぶーウソ発見器と対決!ー」) と地域臨床心理学研究室 (「香りのストレス軽減効果を実感してみよう」) の研究室紹介が行われました。

 犯罪心理学研究室では平教授と大学院生の植田さんから,犯罪心理学研究室の活動 (PACE福山支部・少年サポートルームふくやま) 紹介が行われました。犯罪心理学研究室では,子どもが犯罪被害にあわないために,子ども自身が危険な場所を予測し,回避する能力を身につけることを目的に,学生ボランティアを指導者として「地域安全マップ作り」の取り組みを進めています。植田さんから来校者に対して,その取り組みの様子が詳しく紹介されました。あわせて,植田さんと河相さん (学部3年生) とで,虚偽検出のデモンストレーションが披露されました。



 地域臨床心理学研究室では,日下部教授・植木さん (学部4年生) ・藤田さん (学部4年生)・川原さん (学部3年生) により,ストレス対処方法に関する体験学習が行われました。心理学ではストレスを軽減するための様々な方法があります。そのうちのひとつ,香りによるストレス軽減効果について,来校者にさまざまな香りを提示しつつ (その香りに付随する効果などの説明も含めて) 紹介が行われました。


 そのほか,大学院生の植田さんと皿田さんから,福山大学の学生生活や大学院生生活の体験談について発表がありました。植田さんは平教授のもとで虚偽検出について,皿田さんは野寺准教授のもとで高齢者に対する偏見の問題について,研究を進めています。


 午前から午後にかけてみっちりとスケジュールが組まれていましたが,来校者は終始楽しそうな様子でイベントに参加していました。


 次回のオープンキャンパスは,8月21日の体験入学会です (9月3日にもあります) 。山崎准教授による模擬授業 (「身の回りの心理学」) や発達心理学研究室 (主宰: 赤澤教授) の紹介,認知心理学研究室 (主宰: 宮崎) の紹介など幾つかのイベントを予定しています。8月21日に皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

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学長から一言:心理学は日常生活に直結していて、とても興味深い学問ですねッ!!!笑顔の効用については、学長短信No.27, No.28にもありますよッ!

2016年度 経済学部シンポジウムを開催!

こんにちは。学長室ブログメンバー、経済学部経済学科の石丸です。

7月16日(土)、福山大学宮地茂記念館において、2016年度 福山大学経済学部シンポジウムが開催されました。その様子を、経済学部 国際経済学科の萩野覚教授が報告します。

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今回のシンポジウムは、「産業をリードするもの」と題して行われました。これは、製造業のウェイトが高く、また、オンリーワン企業と言われる独自の技術を持つ企業が集積している備後経済を題材として、今後、一層の産業発展の途を探るものです。

パネリストとして、本学の中沢孝夫教授(経済学部税務会計学科)、春名章二教授(同経済学科)に加え、広島県府中市に本社が所在する北川鉄工所の竹田清則常務執行役員(産機事業部事業部長)にも参加して頂きました。シンポジウムは、中沢教授の司会の下、第一ラウンドで、パネリストが報告を行い、第二ラウンドで、フロア(聴講者)からの質問にパネリストが答える、という形で進みました。

第一ラウンドでは、まず中沢教授から、備後経済の特徴について、次の点が指摘されました。


第一に、企業同士で取引される中間財や生産財を販売する企業が多く、その多くは、一般の消費者が知らないこと。

第二に、製品のブランドは、消費者心理に依存するようなものではなく、「プロ同士で、あの会社の製品でなければならない」といった、製品の機能や品質を基にしたものであること。

第三に、取引の対象が世界的であって、完成品メーカーよりも、グローバルな観点で経営を行っていく余地が大きいこと。

中沢教授は、備後、特に府中市の企業の研究を集中的に行う中で「一つの地域を掘り下げて行くと世界につながる」との思いに至ったとのことで、まさに、経済のグローカリゼーション(グローバリゼーションとローカルを合わせた造語)を見て感じて理解した、ということでしょう。

次に、春名教授から、企業の競争力に関する最近の議論や企業経営のトレンドについて、次の点が指摘されました。


第一に、企業の競争力には、価格競争力と製品競争力とがあり、つれて、企業のイノベーションとして、工程革新にとどまらず、人々の生活に変化をもたらすような製品革新が重要であること。

第二に、企業活動を、「製品開発」⇒ 「製造」⇒ 「販売」といった段階に分けると、入口の「製品開発」と出口の「販売」の付加価値率が高く、「製造」の付加価値率が低いという傾向があり、これを図示すると、スマイルカーブ(笑った時の人間の口の形のように、両端が少し上がった形の曲線)になること。

第三に、製造コストの安い海外に製造拠点を移す企業が増えているが、海外での工場立ち上げに携わる人材の確保が課題となっていること。

そのうえで春名教授は、大学が、そうした、いわばグローバル人材の育成にどの程度貢献できるかが問われている、との問題提起を行いました。

最後に、北川鉄工所の竹田常務より、同社の経営の特徴について、以下の点が指摘されました。


第一に、主要事業は、金属素形材(鋳物)、工作機器、産業機械であり、その何れにも属さない研究開発を開発本部において取り組んでいること。

第二に、製品の性質上、北川鉄工所の名前を全面に掲げて知ってもらうのは容易ではないが、多くの事業で、技術力を基に非常に高いマーケットシェアを維持していること。

第三に、グローバルな展開を行っており、鋳物ではタイ、メキシコに、工作機器では中国に製造拠点を持つほか、英・米・独国に販売拠点を置いていること。

メキシコでは、日系自動車メーカーの生産が拡大(年間350万台体制から500万台体制へ)しており、そうした中、北川鉄工所は、トランスミッション部品の製造会社に鋳物を提供すべく、2013年にメキシコに工場を開設。竹田常務は、メキシコ工場の立ち上げを現地で自ら行ったとのことで、当事者でなければできない、迫力のあるお話しをして頂きました。


第二ラウンドでは、フロアからの質問を踏まえ、以下のような議論が展開しました。


(1)スマイルカーブの妥当性について

スマイルカーブが当てはまるならば、なぜ備後地域で製造業が衰退しないのか、との疑問が示されました。この点、中沢教授は、「中間財に従事する企業、全体の中の製造過程のみを担っているということではなく、中間財の開発⇒製造⇒販売の全過程、つまり、入口から出口までを担っているために、高い収益性を維持している。」との説明がなされ、納得感が得られました。また、備後企業の高い技術力に基づく参入障壁や深層の競争力も、高い収益性を支えているとのこと。

この関連で、製造活動において人口知能は人間の代わりになるか、といった質問に対し、中沢教授は、備後企業の匠の技術を紹介しつつ、「代わりにはならない」と結論付けました。竹田常務からは、海外製造拠点の自動化を念頭に「自動化投資のコストと賃金上昇のバランスを見つつ、経営判断して行く問題」とのコメントがありました。

(2)ブランド力の強化策について

米国アップル社などと比較すると、日本企業のブランド力は弱いように思われるが、これはなぜか、またブランド力を強化するにはどうすれば良いか、といった質問がありました。春名教授は、日本では、「良いものを作れば売れる」との江戸時代以来の発想から、完璧主義に走る企業が多く、そうした企業では、ブランド構築やマーケティングに十分な資源を投入できてきない、との指摘がありました。

海外では、製品の品質はほどほどでも、どんどん宣伝して売って行くことを捉え、「日本でも、いかに厚かましい人材を育てるかが、マーケティングの基盤である」との興味深い見方も示されました。その際、積極的に海外に行って視野を広げてきた女子の活用を図るべきで、「海外旅行にも躊躇するような男子はグローバル化に取り残される」のだそうです。

(3)メキシコでの現地法人経営について

メキシコ(アグアスカリエンテス)の現地法人を経営することは、品質管理や労務管理などの点で難しいのではないか、との質問に対し、竹田常務は、タイ工場と比較すると、メキシコ工場の品質は良く、労務管理はし易い、と回答されました。その理由は、メキシコ人がどんどん自己主張してくれるのでコミュニケーションがし易く、その結果、品質改善に向けた取組みをスムーズに行える、からだそうです。もちろん、タイ工場において苦労して生産管理のプロセスを構築してきており、メキシコ工場の成功が、そのプロセスを土台にしている点も、強調しておられました。

画像:北川鉄工所より

留意点として、メキシコ人には、日本人のような終身雇用の観念が薄く、離職率が高いことから、現場の労働者に過度なスキルアップを要求しないで単純作業を正確に行わせることとし、現場長の育成に注力することが有効、とのこと。企業経営の機微を知らされました。また、現地の人の体形の違い(20cmくらい)に配慮して機械を配置しないと、ものが壊れたりして大変なことになるそうです。実際に現場を見てみたいですね。


さて、こうした議論の末、パネリストと聴講者の間で、「日本人は殻にこもっていないで、厚かましく、自己主張してコミュニケーションを取らないといけない。」といった共有認識を持つに至ったように思われます。これは一見、「産業をリードするもの」とのシンポジウムのテーマから外れるかのようですが、企業が人によって動かされている以上、ある意味、至極当然の結論であるように思われました。


そして、その時、「勿体ない」と思ったのは私だけだったでしょうか。このシンポジウムの議論を、福山大学はじめ備後地域の大学で学ぶ学生に聞いてもらい、刺激を受けてもらえば良かったのではないか、との思いからです。

でも、まだ遅くはありません。刺激を受けてみたい、という方にお薦めの講義があります。

今年の10月と11月の毎週土曜日に、「国際経営における人材の育成と備後企業の取り組み」と題する講義が行われる予定で、尾道市立大学、福山大学、福山平成大学、福山市立大学に通う学生や備後圏域に在住または勤務されている社会人の受講生を募集しています。

中沢教授や北川鉄工所の素形材事業部の方のお話を(不肖・萩野の話も)聞くことができますし、12月には、希望者を対象に海外現地研修(タイを予定)も行います。詳しくは、http://goo.gl/7s2bcuをご覧頂き、ご質問などがありましたら、global@fuec.fukuyama-u.ac.jpまでメールを送って下さい。よろしくお願いします。


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学長から一言:門外漢の私ですが、とても興味深く拝聴しました。。。最初の報告は3人3様で、いささか頭の中で関連づけにくかったのですが、質問者への回答から、結びつきが見えてきました。。。学生には在学中にぜひ1度は海外に研修や留学してほしいですねッ。。。就職してからの海外派遣要請をしっかり受けて立てますよ!!!