2016/07/02

大学院生を育てる 心理臨床学専攻の「RLAセミナー」

こんにちは。学長室ブログメンバー心理学科宮崎です。

本日は、野寺准教授に、福山大学大学院人間科学研究科の取組みのひとつ「Researcher‐Like Activity(RLA)セミナー」を紹介してもらいます。

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心理学科の野寺です。
本日は、大学院「人間科学研究科(心理臨床学専攻)」の取組みをご紹介します。

人間科学研究科では現在、授業とは別に、月に1度のペースで「RLAセミナー」を開催しています。これは、修士課程1年目の皆さんを対象に、教員自らが自身の経験を踏まえつつ「院生生活を行う上でのコツ」を伝授するというセミナーです。
詳しくは以下: http://www.fukuyama-u.ac.jp/grd-human/original/entry-3416.html

人間科学研究科の院生は、学会発表や論文投稿はもちろん、病院や学校などで臨床実習を行なったり、学科の授業補助をしたりと、学部生の頃とはかなり質の異なる活動を行っています。院生はまだ「研究者・実践家のたまご」なので、戸惑うことも多くあります。その戸惑いを軽くするのに一役かうのが、RLAセミナーです。以下に、その様子の一部をご紹介します。

5月のテーマは、「学内/学外実習の心得」(金平希助教)でした。

院生の多くは、修士1年目から実習経験を積みます。「臨床発達心理士」の資格取得を目指している私の指導生も、秋から保育園での実習を控えていますので、もちろんこのセミナーに参加していました。金平助教から実習を行うにあたっての注意点や、臨床発達心理士を想定した事例報告書の具体的な書き方について説明を受けた後、心理士が現場で直面する倫理的問題の対応方法などについて、参加者全員で話し合いました。

最近、日本の心理学界では、数年後にいよいよ本格始動する国家資格「公認心理師」のことが話題になっています(本学でも、公認心理師に対応したコースの準備を進めています)。この資格の取得にも、実習経験は必須です。将来臨床現場で活躍したいという院生には、今のうちから実習スキルをどんどん磨いて欲しいです。


6月のテーマは、「学会って何?学会発表って何?」(赤澤淳子教授)でした。

心理学には、臨床、教育、認知、社会、犯罪等々の多様な分野があり、多くの学会が存在します。自分はどんな学会に入ればよいのか…悩める学生達のために、赤澤教授がレクチャーをして下さいました。


研究分野のみならず、発表の形式もまた多様です。口頭、ポスター、シンポジウム、ワークショップ…実際の学会抄録集をめくると、色々な発表形式があるということが分かります。


院生の中には、学部生の頃すでにポスター発表を経験した者もいますので、彼らには、当時発表に使用したポスターを持参してもらいました。「人を惹きつけるポスター」とは、どんなポスターなのか…全員で考えました。


このようにRLAセミナーでは、「授業で大きくは取り上げられない、けれども院生生活を進める上では欠かせない情報」を提供しています。

本研究科の院生は、学部からそのまま進学した者、飛び級で入学した者、社会人入試を経て入学した者と様々です。しかしどの院生も修了する頃には、「研究者」や「実践家」として社会に羽ばたくことになります。このRLAセミナーという取組みが、その手助けになればと思います。

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学長から二言:i国家資格「公認心理師」の取得には大学院(修士課程)を修了して、国家試験に合格する必要がありますが、将来、保健医療領域だけでなく、福祉、教育、産業など、人の生活と関係するあらゆる領域に必要とされることになっており、それだけに修士課程在学中の実習が大切です。福山大学の心理学科とその上の人間科学研究科心理臨床学専攻は、しっかりそれに対応すべく準備しているようですねッ!!!