2016/07/17

備後経済研究会の取り組み 研究会開催のお知らせと最新研究成果の公開

学長室ブログメンバーの張楓(経済学部税務会計学科)です。
このたび、備後経済研究会の幹事として、2016年度第2回目備後経済研究会の開催と備後地域経済に関する最新研究成果をご案内します。
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(1)第2回備後経済研究会の開催

日時:201685日(金)18002000
場所:福山大学宮地会館(JR福山駅北口徒歩1分)
内容:松永塩業から見た日本塩業
概要:松永塩田は近世前期に開発され、福山藩最大の塩田であった。松永塩は、北前船を通じて、北国地方(新潟、秋田など)に運ばれた。本報告では、この近世から現在に至る迄の松永塩業(1970年代まで)の展開を、近世、明治、塩専売制実施後、戦後の四つの時期から紹介する。
参考:『近代塩業と商品流通』(日本経済評論社、2012)

(2016年5月19日第1回研究会の様子)



備後経済研究会は備後地域の企業・経営者を研究し、産業集積地としての備後地域の特徴を明らかにすべく、本学教員にとどまらず、企業経営者や行政関係者、さらに他大学の研究者にもご参加いただき、研究成果の報告やそれにもとづく活発な議論を行うと同時に、企業へのインタビューや論文の公刊、備後地域の皆さんに向けた研究発表を活発に行っています。

研究会は23ヵ月に1度のペースで開かれています。高校生でも大学生でも企業経営者でも、どなたでも参加は自由です。興味のある方は一度、備後経済研究会のホームページをご覧ください。サイト内では過去の活動内容とともに、多くの研究成果(ディスカッションペーパーや論文)がアップされています。


うまく入手できない場合は、張楓(kaede@fuec.fukuyama-u.ac.jp)までご連絡ください。


(2)備後地域経済に関する最新研究成果


課題:本研究では、これまで一般的に周知されている主要地方機械工業集積(長岡・諏訪・浜松)に勝るとも劣らない顕著な成長を成し遂げているにもかかわらず、本格的な研究の俎上に乗せられてこなかった備後地域機械工業集積の戦前・戦後におけるダイナミックな形成・展開過程について経済史・経営史と中小企業研究の分析視角に立脚して創業と技術蓄積、分業ネットワークを中心に考察してきました。利用資料として、地元企業・業界団体に関する様々な歴史資料や有価証券報告書、議事録のほかに、2年前から実施してきた地元企業80余社へのヒヤリング資料などが主に挙げられます。

概要:備後地域機械工業集積の構造的特質と独自性は歴史的に形成されてきた「丘陵型分業構造」にあります。「丘陵型分業構造」を特徴とする備後地域機械工業集積はこれまで経済地理学研究や中小企業研究、産業集積研究により提示されてきた、いわゆる京浜地帯と対比しての研究・開発機能の脆弱性、多品種・少量生産や精密・特殊加工の欠如、大都市圏への量産受注や高度な加工の依存などを特徴とする地方機械工業集積と対照的でした。備後地域機械工業集積の著しい成長はまさに大小様々な地域企業を中心とする付加価値生産性の向上と高付加価値製品の創出に対する長期持続的な取り組みを支える地域内独自のメカニズム、いわゆる「丘陵型分業構造」が強く作用し、それに支えられてきていると結論づけることができます。


本稿の作成にあたって、福山や府中を中心とする備後東部地区機械・金属業界の企業80余社及び広島県東部機械金属工業協同組合、福山地方鋳造工業協同組合、広島県工作機械器具協同組合、広島県商工労働局東部産業支援、広島県立総合技術研究所東部工業技術センター、福山市史編さん室などの関係者に格別のご高配を賜りました。ここに記して感謝の意を表する次第です。

今回の研究成果は備後地域の企業や行政、大学、地域住民を含めて地域内外の幅広い方々に備後地域経済の過去・現在・将来を俯瞰する契機としてご活用いただけることを願っております。


学長から一言:張楓准教授、本学に着任してから2年と数ヶ月。。。たしか学位論文も備後地域の企業の歴史的研究だったように記憶していますが、。。。まさに備後の機械工業集積地に来られ、すばらしい活躍ぶりですねッ!!!学生にも地域社会にも、しっかり還元してください。。。期待していま~す!