2016/04/07

情報工学科、科学研究費2年連続で3人採択!!

こんにちは。情報工学科の学長室ブログメンバーの池岡です。平成28年度の科研費について、学科長の山之上教授から嬉しいニュースです。

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 本年度より情報工学科の学科長を仰せつかった山之上です。


 平成28年度、日本学術振興会科学研究費(科研費*)について、情報工学科の3人の教員が申請した以下の3件が採択されました。(4月1日発表)

  金子 邦彦 「データベースから予測失敗の原因を探る
            - 直腸癌・放射化学療法の目利き支援 –」

 尾関 孝史 「電子ツールを利用したリアルタイムな授業の評価・改善に関する研究」 

 山之上 卓 「Wiki と良性ボットを使った悪性ボットネット対策システム」


ちなみに、情報工学科では昨年度も以下の3件の申請が採択されています。
  服部 進  「UAVを使った狭い範囲の図化システムの開発」
  池岡 宏  「アオリ光学系を用いた車載用周囲監視システムのための距離推定」
  中道 上  「協調学習のための直観的なスマートインタラクション環境に関する研究」


 この結果、平成28年度は、情報工学科の半数を超える教員が科研費を受け取ることになりました。研究者が科研費を受け取ることは、その研究者が行っている研究が独創的で先駆的であることを第3者からも認められたことを意味します。

 2年連続3件、合計6件の採択により、情報工学科の研究の質とアクティビティの高さを示すことができて、とても嬉しいのですが、それと同時に、国民の税金を使わせていただくことの責任の重さも感じています。これらの採択は、福山大学で開催された、科研費に関する様々なFD活動の成果でもあると思います。FD活動を実施された皆様に感謝します。


 それでは、今年、科研費に採択された研究課題について、各教員から説明いたします。まず、金子教授、お願いします。

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 はい.金子です.私の研究は,たくさんのデータを集めて,真理や真実を裏付けるというデータベース研究です.

 現在,大腸癌の良い薬が出来つつあります.私の共同研究者が実施した研究では,放射線とお薬だけの治療によって,約半数の患者に効果があり,大腸癌が30%以上縮小することが確認できました.さらには,約1割の患者は,放射線とお薬だけの治療によって,癌が完治することが確認できました.ここで,こういう謎があります

  「なぜ,人によって,お薬が効いたり,効かなかったりするのだろう」
この謎に迫るために,遺伝子計測キットを使って,患者さんの遺伝子の個性を調べています.ここでは,遺伝子のデータベースを作り,遺伝子と大腸癌の関係という謎に迫ろうとしています.その結果,遺伝子を見ただけで,お薬が効くのか,効かないのかを前もって予測することができるようになるかも知れません.その結果は,放射化学療法を選ぶのか,手術を選ぶのかといった重大な決断を行うときのヒントになると信じています.
 
次に、尾関教授、お願いします。

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 尾関です。今回、私が申請した研究タイトルは「電子ツールを利用したリアルタイムな授業の評価・改善に関する研究」です。

 この研究では、講義中に学生がどのような状態かをセンサを用いてリアルタイムに推定するシステムを開発することを目的としています。センサとして、ビデオで撮影された授業映像や学生が授業中に取るノートをデジタル化する電子ノートを用います。



 このシステムが完成すると、学生諸君にとって恐ろしいことに誰が授業中にサボっているかが一目瞭然となります。また、教員にとっても授業で多くの学生が寝ている状況などが明らかになります。

 もちろん、寝ている学生を罰したり、つまらない授業をしている教員に苦言を言ったりするためのシステムではありません。多くの学生が筆記で忙しい状況では、教員に板書のスピードを遅らせるように助言し、多くの学生が理解に苦しんでいる状況を見つけた場合は、繰り返し説明するように助言をします。このような助言を行うことで授業改善をリアルタイムに行うことが提案システムの目的です。

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 最後に、私、山之上の採択課題について説明します。

 昨年の日本年金機構の事件のように、遠隔操作ウィルス(ボット)による情報漏えい事件が相次いで発生しています。私の採択課題の研究は、このような事件を引き起こすボットのネットワーク(悪性ボットネット)に対抗して、情報を守る側のボット(良性ボット)同士のネットワーク(良性ボットネット)を開発し、悪性ボットを退治しよう、とするものです。下の図の、「ハーダー」とは、悪性ボットを操る犯罪者のことです。

 ネットワーク社会をより安全にするため、迅速にこの研究を進める必要があると感じています。今後、この研究に関する進捗状況などの情報を、遠隔ウィルス包囲網
http://www.yama-lab.org/~yamanoue/wiki/index.php?BotCapturingNet
のページで広報していく予定です。

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* 科研費とは、”人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うもの”(https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/)で、科研費の制度は国民の税金によって運営されています。

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学長から一言:情報工学科の研究の幅の広さにびっくりですね!!!世の中情報だらけだから、何だって研究対象になるということ。。。でしょうね!?!とにかく、どの研究もとても世のため人のためになりそうで、興味津々!!!