2017/03/22

人間文化学科 記憶を記録に-「宗教文化史 四国遍路実地研修参加レポート集」発刊!

学長室ブログメンバー、人間文化学科のSです。こんにちは。今回は、「宗教文化史」という授業にて実施された「四国遍路体験」の後日談をお伝えします。以下、山川廣司教授による報告です。

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今年度新設された「宗教文化史」のなかで、11月に行った学外研修「四国遍路体験」については、以前の学長室ブログ(2016.12.14)でその概要を紹介しました。参加した21名の学生には研修を終えた後、次の3点についてレポートを提出してもらいました。

<レポート課題>
1)四国遍路研修に出かける前に、自分が思っている四国遍路についてのイメージ及びこの研修に期待することについて述べなさい。(400字程度)

2)11月8、9日に実施した四国遍路道を辿る研修を通じて、どのような発見があったか、あるいは「四国遍路」とはどのようなものだと感じたかについて述べなさい。(800字程度)

3)この2日間の体験を通じて、自分の気持ちにどのような変化があったか、あるいはどのような変化を感じたかについて述べなさい。(800字程度)

全員からレポートが提出された後、誤字・脱字、文体や体裁を整えたりして少々手間取りましたが、学生による編集委員会も立ち上げ、なんとか55ページほどの冊子にまとめて発刊し、それぞれの体験の足跡を形で残すことができました。
完成!
1泊2日の短い研修でしたが、課題1の研修に出かける前の「四国遍路」のイメージについて、ほとんどの学生はその内容を知らないか無関心のようでしたが、この2日間、彼らは歩き、拝み、講話を聞き、接待を受け、旺盛な好奇心でいろいろな体験をしました。課題2では、そのことが実感できます。紙面の関係でレポートの一部を数名分紹介します。

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●真言宗の開祖弘法大師空海が始めたものですが、札所八十八ヶ寺には真言宗だけではなく様々な宗派があること。

●明治期の廃仏毀釈で神仏分離となったが、以前の神仏習合のままの寺院や逆に寺社に分離された札所寺院があること。

●同じ境内に神仏が並置という見慣れない風景だったこと、お遍路さんが持つ杖についても、金剛杖には弘法大師が宿っておられるので、宿に着くと己より先に杖の先を洗い清め、床の間や上座に安置すること。

●「同行二人」とは常に弘法大師が一緒にいるということで、決して一人ではないのだということ、また「お接待」も経験しましたが、お接待は飲物や食物、時にはお金、宿の提供など様々ですが、それは「施す」のではなく、自分の分まで「巡拝」してきてほしいと託す「巡拝の委託」であること。

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そして今回、最も力を入れた企画であった大西住職や小山田住職の特別講話及び偶々在寺されていて即席でお願いした白川住職の講話にも多くの学生は深い感銘を受け、自らにも真摯に向き合い、多くのことを学び取ってくれたようでした。課題3についても、心の変化を自覚するまでは行かないまでも、確かに短期間に多くの経験をして「四国遍路」についての認識を新たにしてくれたことを確信しました。
カラー写真があることで、研修時の雰囲気がより伝わってきます
私にとりましても、企画、手配、引率、冊子の発刊など体力的にも気力でもほぼ限界でしたが、このレポート集を献呈させていただいた大西完善住職から「若い人達が歴史を学び、文化の流れの中に自分達の現在地を改めて確認自覚してゆく過程を垣間見て、周到綿密に練られたカリキュラムの妙に感心納得いたしました」と過分のお言葉をいただき、何度も練り直して実施した苦労が報われた思いです。とりわけスポンジが水を勢いよく吸い取っていくように自らに新たな経験を吸収していく学生たちから「もう少し、頑張って」とエールと元気をもらい、冊子が完成した今、「百聞は一見に如かず」を実感しました。授業の後のコメント・カードや授業評価の自由記載欄に「自分たちの後輩にもこの学外研修を経験させてあげてほしい」の声もあり、もう少し頑張ろうと自らを奮い立たせているところです。

※ 「レポート集の閲覧」等に興味のある方は、山川教授までお問い合わせ下さい。


学長から一言:私も謹呈していただき拝読しました。。。経験を内省することがメタ認知の成長・人の心の成長の根源ということが、とてもよく分かる冊子でした!!!