2017/03/10

/*スマートシステム学科*/ ロボットクリエイター高橋智隆氏 特別講義を開催!

こんにちは、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)学長室ブログメンバー伍賀です。

先の2月11日にロボットクリエイターの高橋智隆氏を講師にお招きし、スマートシステム学科生を対象とした特別講義「ロボット時代への適応」を開催しました。高橋氏は(株)ロボ・ガレージ代表、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授、ヒューマンキッズサイエンスロボット教室アドバイザーなど多くの肩書をもっておられますが、2009年4月から2014年3月まで、5年間福山大学の客員教授として学科の講義を担当して下さっていました。高橋氏設計製作のロボット「クロイノ」が福山大学のCMに出ていたのを覚えれおられませんか? 先生のご活躍への注目度はその当時より益々上がり、現在は、様々なロボットプロジェクトに参加され、多忙な日々を送られております。
ロボットクリエイター 高橋智隆氏
特別講義「ロボット時代への適応」

今回の題目は「ロボット時代への適応」です。昨今、政府の主導でロボット産業を将来の我が国の基幹産業の一つに成長させるべく、ロボット産業育成に向けた取り組みが始まっています。高橋氏の開発したロボット、白いヘルメット風の「キロボ」が、国際宇宙ステーションで若田光一氏とコラボレーションしたことが紹介されました。
国際宇宙ステーションから帰還した「キロボ」

ロボット技術、人工知能研究の発展に関しても、高橋氏から興味深い洞察を聞くことができました。AIに奪われる仕事、10年後に無くなる職業などが最近話題になっていますが、人にとって対応に努力を要する課題や行動(高度な推論)はロボット(AI)にとって容易であり、我々が当たり前にできる事(感覚運動)がロボット(AI)には難しい(これを「モラベックのパラドックス」と言うそうです、つまり、人間にとって難しい問題がロボットには容易で、人間にとって容易な問題がロボットには難しいのです。)、ロボットと人間は得意分野が違うので住み分けられ、役割分担されていくだろう、との見解でした。きっと、これからは、人間らしい働き方、生きざまとは何かが問われるのでしょうね。

今回の特別講義では、ロボ・ガレージで作られた二体のロボットのデモンストレーションも行われました。1体は、ディアゴスティーニの「週刊ロビ」で販売された組立てロボット「ROBI(ロビ)」で、音声認識と会話コミュニケーションの能力があります。高橋氏の呼びかけにまるで生きているかのように反応するロビ。これは人工知能が入っているわけではなく、あらかじめ会話のパターンと反応動作のパターンが決められているとの説明でしたが、知能があるかのようです。この組立てシリーズは非常に好評だったとのことですが、それには様々なアイデアが盛り込まれていたとのこと、大変興味深かったです。
「ROBI(ロビ)」と会話するデモンストレーション

もう一体はシャープより発売されている「ROBOHON(ロボホン)」です。スマートフォン(スマホ)の次にブームになるのはロボット電話だ!とのコンセプトで開発されたようですね。こちらも通常の電話機能の他に、音声認識によるコミュニケーションで、「明日のてんきは?」「〇〇さんに『■△×』とメールしておいて」という呼びかけに対して実際受け答えしたり、作業したししてくれます。まるで、ロボットの秘書のようです。また、電話として使用するときは足を折り曲げて「電話風の形状」に変形します。企画、設計、デザイン、開発、製造、更には、ビジネスモデルの開発からパッケージデザインまで全てをお一人でこなされるのが生粋の高橋スタイル。シャープの技術者を加えた、妥協のないものづくりの姿勢が垣間見られました。
「ROBOHON(ロボホン)」

高橋氏の特別講義、さまざまなロボットプロジェクトの紹介、ロボットのデモンストレーション、その他、将来の技術の展望、マーケティングの予測など、リアルな、恐らく、大学の講義でなければ聞けない、ピリッとスパイスの効いたお話しを伺うことができ、学生達、特に、まさに社会に臨もうとする4年次生には最高のはなむけになったと思います。そして、学生にとどまらず我々教員にも大いに刺激になりました。この講義で得られた知見を活かしたロボットつくり、IoTシステムの開発に取り組みたいですね。
講師の高橋氏を囲んで記念撮影

さてさて、特別講義は終わってしまいましたが、高橋氏への有志学生の質問の時間が設けられました。当学科の学生からは「学生時代にやっておくべきことは何か?」「どんな本を読んできましたか?」「これからどんなロボットを開発するのですか?」などと多くの質問がありました。
高橋氏を囲んで、終始なごやかな雰囲気の質問会
高橋氏からのアドバイス「学生の今しかできないことを!」

最後は、高橋氏を囲んで握手と記念撮影です。三年次生の武下君は中学高校のころよりの高橋氏のファンで、高橋氏の著書を読み感銘をうけていたようです。今回は著書にサインをもらうことができて喜びもヒトシオといったところだそうです。
三年生 白井君・武下君 固い握手!

こちらは二年次生・一年次生 高橋氏を囲んでやはり握手

著書にサインを頂き、感無量!

今回の高橋氏の特別講義、質問会、本当に貴重な時間を過ごすことができました。当学科の学生からも、世界をあっといわせるようなテクノロジーを開発するような技術者が育つことを期待しています!

おまけのお話です。8年前、リリース直前だったので「もう少し内緒にしててね」と言われながら描いて下さったロボットのラフスケッチと、その「高橋流設計図」をお見せしたところ、とても懐かしがって下さり、ご本人描画の証のサインを頂きました。これは、今、学科の研究実験エリアに飾っています。

短い時間でしたが、本当に素敵なプレゼントを頂きました。ありがとうございました。また、お会いしたいですね。



学長から一言:高橋先生、お久しぶり! 相変わらずの、妥協を許さない精悍なお顔つきは、牟田前学長の頃とちっとも変わりませんねッ!このブログを読んだだけでも、ワクワク感あふれる、鋭い先生の思考の進展が感じられ、畏敬の念を禁じ得ません!