電気電子+ロボット+計算機=スマートシステム!
福山大学は今から38年前の昭和50年4月に開学しましたが、当初は経済学部経済学科、
工学部電子・電気工学科,土木工学科の3学科からスタートしました。
その後、薬学部開設、平成になって人間文化学部と生命工学部が開設され、
現在の5学部15学科の体制に至ります。
時代のニーズとともに、学部学科は増設や名称変更をし、電子・電気学科は平成21年に
電子・ロボット工学科に改められましたが、さらに来年四月よりスマートシステム学科となります。これを記念して去る8月24日(土)に 「スマートシステム学科創設記念講演会」 が福山駅前の宮地茂記念館で開催されました。
■ 「スマートシステムの可能性」 講師 経済産業省 松本正倫氏
松本氏は経済産業省の商務情報政策局で次世代産業を育てる業務にあたっていらっしゃいます。この講演の要旨をまとめてみました。
・ スマートとはコンピュータによって状況に応じた対応をする機器等の賢さを示す。
・ “組み込み”ソフトウェアとは機器固有の機能を実現するソフトウェアである。
・ IP接続ができるような組み込みソフトウェアは2010年には14億台だが2015年には35億台と急成長する。
・ スタンドアロン家電はネットワークで情報収集するようになりビッグデータが発生し、さらにこれを活用した価値創造に期待がもたれている。
・ 業種間横断のプロトコル、スマートメーターの標準化などの課題がある。
このように、これからの日本の産業の成長戦略でもスマートシステムは核となる技術として期待されています。
横井氏は当電子・ロボット工学科の客員教授として「ロボティクス概論」の講義もされています。
・ 人間と協調行動できるスマート化されたロボットが社会に登場する。農林水産分野へのロボット・IT技術の導入はこれからである。
・ 病院や施設全体をロボット化(スマート化)し,効率化の革命が起こる。
・ 自律走行車、車いすが使用されるスマートモビリティ社会のための、「交通まるごとスマートシステム」が実現する。
・ 災害対応スマートシステム,無人化施工技術が徐々に実現され始めている。
すでにアメリカのネバダ州とカリフォルニア州では,自動走行車である google カーの公道走行が認められており、日本での登場も待たれます。
■ 「スマートグリッドを支えるテクノロジー」 講師 ㈱日立製作所日立研究所 渡辺雅浩氏
・ “スマートグリッド”とは分散型電源や使用者情報をネットワークでつなぎ高効率・高品質の電力供給システムを実現するものである。
・ “HEMS”とは家電製品、ソーラーなどの発電設備をネットワークでつなぎ「見える化」し快適な暮らしとCO2削減を実現するものである。
・ スマートハウスを束ねたスマートコミュニティは安心・安全・快適を生み出す必須の社会インフラとして必要とされる。
ここでも、スマートを実現する要素としてネットワークによる情報の管理と共有化が指摘されています。
講演の最後に、当学科の学科長の香川教授より、「工学部が変わる~新しい福山大学工学部の姿」というプレゼンテーションが行われました。
そのなかの話題であったのが、新棟でのスマートシステム学科のレイアウトです。まさに
新しき酒は新しき皮袋へいれよ、といったところでしょう。
さて、その新棟は9月20日に竣工です。8/25(日)の状態をお見せします。クレーンや工事関係車両はまだありますが、もうほとんどが出来上がり、あとは内装と引っ越しを待つだけといった印象です。あたらしい福山大学工学部の姿に、ご期待ください。
学長から一言:この講演会は、とても知的興奮を呼ぶものでした。さて、諸条件が複雑に変わる状況下で、常に最適な判断を下して対応するスマートシステムは、人間の適応力に、どのように影響するのでしょうか。システムはスマートに、人間は愚かに。。。では困りますね。。。私の専門の心理学の出番も大きいように思いました。