こんにちは。学長室ブログメンバー,心理学科の宮崎です。
10月30日に,日本基礎心理学会全国大会における研究発表で優秀発表賞を受賞しました。手前味噌ではありますが,今回はその受賞報告と手短に研究内容について紹介したいと思います。
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受賞した発表のタイトルは「日常的な物体の擬人的知覚が宗教心の高い人々の寄付行為に及ぼす影響」です。10月29・30日に東京女子大学で行われた日本基礎心理学会第35回大会で授賞式が開かれました。
ざっくりとまとめると「宗教心の高い人々が低い人々に比べて,向社会的に行動することが多い理由として,日常の物体認識の仕方が異なることも関与しているかもしれない」という研究です。
より詳しく説明すると,古くから宗教心の高い人々ほど向社会的である (例えば,寄付をおこなったりすることが多い) と信じられてきました。ただ,近年では,宗教心の高い人々は常日頃から向社会的であるというよりは,頭の中で宗教的な概念が活性化されたときに向社会的になるという考えがあります。本研究では,このような状況依存的な宗教心と向社会性の関係に,外界の物体認識の仕方の個人差も関わる可能性を明らかにしました。
この研究では,まず宗教心の高い人々は,宗教心の低い人々に比べて,以下の画像のような「ヒトの顔に似た日常物体」を,ヒトの顔として認識しやすいことを明らかにしました。
次に,ネパール大地震への寄付を求めるメッセージと同時に「ヒトの顔に似た日常物体」を同時に提示することで,宗教心の高い人々は,宗教心の低い人々に比べて,ネパール大地震への寄付の呼びかけに応じる確率が高くなることを示しました。
顔や目のような模様が目の前にあると,「他人に見られている」という意識が喚起され,われわれは向社会的になることがこれまでの研究で知られています (学長短信No.58でも取りあげられています)。
宗教心の高い人々は,日常的な物体をヒトの顔と認識しやすく,ヒトの顔として認識することによって「見られている」という意識が喚起され,寄付を行うようになったと考えられます。なお,寄付を求めるメッセージと同時に「ヒトの顔に全く見えない日常物体」を提示したときには,宗教心の高い人々と低い人々の間の寄付の確率 (寄付をするか・しないか) に差が生じないことも確認しています。
私の研究が,由緒ある日本基礎心理学会の優秀発表賞に選ばれたことに,大きな喜びを感じています。学会での写真もあれば良かったのですが,自分自身の発表や他の参加者の発表を聞くことに夢中になって,すっかり撮影することを忘れておりました・・・。
以上,受賞報告と心理学 (宮崎の専門は認知心理学・産業心理学) にはこんな研究もあります(!)という紹介でした (ちなみに,私はこんな研究もやっています)。
心理学の多様性を肌で感じたい高校生は,福山大学心理学科へぜひ一度あそびに来てください (084-936-2111 (代表) から入試広報室へ)!
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学長からの一言:「『ヒトの顔に全く見えない日常物体」を提示したときには、宗教心の高い人々と低い人々の間の寄付の確率 (寄付をするか・しないか) に差が生じない』」というのも、なんだか寂しいですねー。。。宗教心が高いといっても、その「高さ」にはいろいろ程度がありそう。。。