こんにちは。学長室ブログメンバー、メディア・映像学科の阿部です。10月9日から10月15日までの間、中国政府による日本行政官・大学関係者訪中プログラムに参加してまいりました。今回はこの訪中の様子をたくさんの写真とともに報告します。
本プログラムは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の沖村憲樹特別顧問のもと、日本国内の行政官並びに大学・国立研究開発法人の研究者や管理者など約80名の訪中団が構成され、北京、天津、山東各地域の大学や研究所を訪問し、中国との科学研究交流を目的として企画されたものです。福山大学からは阿部が参加しました。
上記の写真は、中国の行政官の方による中国の行政計画についてのプレゼンテーションの様子です。今日の中日関係を鑑み、「これからの中日関係をつくっていく」ために、さくらサイエンスプランをはじめとする交流事業が必要であることを何度も話されていたのが印象的でした。
その後、バスで清華大学に移動し、トヨタとの連携研究センターの話を伺ったり、
別日には中国科学院にて事業計画を伺うだけでなく、研究室を見せていただいたりと、中国の最先端の研究動向について伺うことができました。
研究所以外に、北京のベンチャー通りと呼ばれる科学事業の現場にも連れて行っていただきました。多くのベンチャー企業がこの場所に集まり、カフェで交渉を行い、事業を興していく活気のある場所とのことです。北京大学もこの場所にサテライトスペースをもつなど、大学や研究所の知と社会とをつなぐ場所として、この通りが機能しているのだということを知りました。この通りにあった本屋で、私は自身の研究に関する文献を購入したのですが、その支払いの際に店員の方から「『菊と刀』が売れ筋で、自分も読んで面白かったがあなたは読んだか」というようなことを聞かれ、なぜいま北京(の最先端と言われる場所)で『菊と刀』が読まれているのだろうかと不思議に思い、他大学の先生と推測し合ったりしました。
中国科学技術館では、4Dシアターを体験したり、
空き時間には、北京オリンピックの会場であった通称「鳥の巣」スタジアムを外から眺めたりもしました。スタジアムの壁部分が電光掲示板になっていて、いまは広告板としても使われているようです。広大なオリンピック広場には夜遅くにも多くの人が集い、踊ったり歌ったり運動したりと、中国ならではの広場の使い方を実感してきました。
訪中の後半は、天津に行くグループと山東に行くグループとに分かれての行動となりました。私が参加した天津グループでは、古文化街や租界地域を見学したり、科学事業の現場を見学したりしました。その中でも私の印象に強く残っているのは、医学教育を助ける教材を開発している企業の見学です。
赤ちゃんから大人までの人体模型(実際に脈拍を感じることもできます。)や、
内臓手術の際に手掛かりにする内部映像(CG化されたもの)や、
患者さんの疾患部位のデータを自由自在に動かせる設備などなど。映画『マイノリティ・リポート』のような世界がすぐそこにきているのだなということを実感しました。私たちが普段学んでいる3DCGが医学の世界にもこのような形で活かされていることは、学科学生のみなさんにもしっかり伝えたいと思います。
最終日には、北京にある故宮の建造物をデジタル化する「故宮プロジェクト」を見学しました。日本の印刷会社DNPが故宮博物院と協同で進める本プロジェクトでは、大型建造物をオリジナルな形状でデジタル保存するだけでなく、そこに物語を付け加えることでより見る者を引きつける映像となっているように感じました。デジタル映像の発色のよさは、DNPさながらということのようです。残念ながら写真は撮れなかったのですが、資料をいただいてきておりますので、興味のある方は阿部までどうぞ。
このような科学研究交流以外にも、食の交流時間も多くとっていただきました。かの有名な北京ダックは108片に切り取って食べるのだそうです。(とても美味しかったです!)
そして、私自身は空き時間を使って、この3月まで私のゼミに交換留学生として来ていた楊さんにも会ってきました。彼女は今も日本語を一生懸命勉強していて、日本の観光地を中国語に翻訳して伝えるアプリ制作をアルバイトで手伝っていたのだとか。
楊さんには、北京の現代美術の発信現場にも連れて行ってもらいまして、日本のモノ派で有名なギャラリーBTAPを見つけたり、いくつかのギャラリーもまわってきまして、束の間の再会を楽しませてもらいました。
すでにとても長い報告となっておりますが、今回の訪中で見聞してきたことは実はこの倍以上はあります。数々の訪問以外にも、国内の研究者たちとの交流も厚く、各所で専門知識を伝え合う機会がありました。どれもこれもが、私にとって貴重な経験でありました。ここで紹介しきれなかったことについては、授業や研究の現場で紹介しながら、少しずつでもフィードバックしていきたいと思っています。
最後になりましたが、本プログラムを企画・運営してくださった中国の関係者のみなさま、ならびにJSTのみなさまに、改めまして厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
学長から二言:阿部講師のこの中国派遣は。。。。今年の9月1日発信の学長短信No.82の最後の方にも書きましたが。。。本学が平成26年度より3年連続で採択されている科学技術振興機構(JST)による「日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)」が中国でも高く評価され、今年度は中国科学技術部も日本から大学の若手研究者・各省庁の行政官等を短期招聘することとなり、本学にもJSTから参加者の推薦依頼があって実現したものです。。。阿部講師には、とてもよい経験になりましたねッ!