2017/12/26

【機械システム工学科】地元のデニムメーカー「カイハラ」との共同研究報告会を実施! 

こんにちは。学長室ブログメンバー、機械システム工学科の内田です。

今年5月より、地元福山市のデニムメーカー「カイハラ」との共同研究を行ってきましたが、その完了にあたり、12月19日(火)にカイハラ本社で報告会を行いました。


カイハラは、デニム生産量で国内シェア50%を誇る有力デニムメーカーです。私たちがよく知っている国内外のジーンズブランド、カジュアル衣料品ブランドの多くがカイハラのデニム素材を採用しています。そうした企業なので、製品の品質(仕上がり)には厳しいこだわりを持っています。

共同研究は、そのデニムの品質に関するものです。品質指標(仕上がりの評価点)の数値を、原料特性や生産条件から予測できるようにし、品質の維持・向上に役立てるのです。報告会には、共同研究のメンバーであるカイハラの技術者のみなさんと、カイハラの生産関係部門のトップの方々が出席されました。


ひとくちに原料特性や生産条件といっても、カイハラでは紡績・染色・織布・加工までの一貫生産を行っている(国内唯一)ために、扱うべきデータは膨大で、関連する品質項目も多岐にわたります。そのようなデータの分析で最も苦労した点は、どうしたら品質指標を正確に予測できるかということでした。

最初は、統計学の手法である多変量解析を試してみたのですが、精度の良い予測結果が得られなかったのです。そこで次に「機械学習」と呼ばれる方法論のひとつを適用してみました。機械学習は、データの傾向やパターンをコンピュータが繰り返し学習し、その学習結果をもとに予測を行うという、新しいタイプのデータ分析手法です。この手法を用いることで、やっと満足のいく予測ができるようになりました。

多変量解析による品質指標の予測結果。
測定値(横軸)と推定値(縦軸)が一致せず、精度の悪い推定になっています。
機械学習による品質指標の予測結果。
測定値(横軸)と推定値(縦軸)がよく一致し、精度の良い推定ができています。

報告会では、カイハラの生産部門トップの方々から、今後の研究に向けての提案や感謝の言葉をいただきました。この共同研究は、研究の進展の面でも、また地域の知の拠点としての大学の使命のひとつを果たすという意味でも有意義なものでした。それらを糧に、次の新しい研究テーマに取り組んでいきたいと考えています。


学長から一言:多変量解析でもそれなりの予測が出来ているのに、それで満足せず最新の機械学習を使ったのですねッ!!!多くのデータが得られるときは、コンピュータに学んでもらう方が、ずっと精度がよいと言うことは。。。人の頭の使いどころは?!?学生さん、大変ですよ!