今日は、人間科学研究科で心理臨床学を専攻している1年次生、薛小凡(せつしょうはん)さんの学会賞受賞と受賞した研究の内容についてご紹介します!以下は、薛さんの指導教員の青野篤子教授からの寄稿です。
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日本心理学会では,2013年度より,主に若手研究者による研究発表の奨励と研究の質の向上を目的として,学術大会優秀発表賞(約20名)及び学術大会特別優秀発表賞(約10名)を授与しています(詳しくはこちら)。
薛さんは,2017年日本心理学会第81回大会で,「日本語の命令・依頼表現に及ぼすジェンダーの影響」というテーマでポスター発表を行い(青野との共同研究),これが受賞の対象となったものです。
この研究では,男女大学生に,話し手が「かなり怒っている状況で」家族・先生・友だちに(が)どのような表現を用いるのかをたずねました。その結果,女性が話し手・聞き手である場合に「ていねいさ(politeness)」の傾向が強いことがわかりました。下に結果の一部を示しています。
薛さんは,中国・首都師範大学外国語学院日本語学科在学中の2014年9月から1年間心理学科に交換留学生として在籍し,すでにこのときに福山大学の学生さんの協力を得て調査を行っています。それをまとめたのが今回受賞の対象となった研究です。
そして2017年4月に心理臨床学専攻に入学し,「日本語表現,ジェンダー観,セクシュアリティとの関連モデルについての検討」というテーマで修士論文の研究に取り組んでいます。
いわゆる「オネエことば」はメディア等でつくられた虚構であり,本来彼ら・彼女らが語りたいことばはどのようなものなのかを探求しようとしています。
薛さんは大学院生として学部ゼミの活性化にも貢献してくれています。下の写真は,ゼミの一環として,福山駅周辺で「福山市民100人に聞きました」というフィールドワークを行った時のものです。彼女のテーマは「同性婚に賛成ですか?反対ですか?」というものでした。また,地域の女性グループで活動している「ふくやま女子会」の有力メンバーでもあります。
福山駅前でフィールドワーク中の薛さんと青野ゼミ生 |
修士課程修了後は博士課程への進学を考えています。今回の受賞はきっと励みになることだと思います。天体観測,旅行,アニメなど趣味も多く,指導教員である私はいつも小言を言っていますが,人間と研究の幅を広げてくれるものかもしれません。
おめでとう、薛さん! |