2017/09/30

心理学科 宮崎講師 日本心理学会優秀論文賞受賞!

こんにちは。学長室ブログメンバー,心理学科宮崎です。

このたび,我々の研究グループが2016年7月に (公社)日本心理学会の国際学術誌 Japanese Psychological Research に発表した論文が「平成29年度 優秀論文賞」に選ばれました。

9月19日に日本心理学会会員交流会にて授賞式やスピーチがありました。
本日は,その様子と後日の学長室訪問の様子をお届けします。

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授賞式は日本心理学会第81回大会の開催に合わせて久留米市で開かれました。



写真は(公社)日本心理学会事務局にご提供いただきました

受賞した論文は The Sanitary-Mask Effect on Perceived Facial Attractiveness です北海道大学の河原准教授との共著です

この研究を3行でまとめると・・・
  1.  衛生マスク着用が顔の魅力に及ぼす影響を検証
  2.  衛生マスクを着用すると素顔のときより魅力が低く見られる
  3.  「顔の下半分の遮蔽 + 外見の健康さの低下」が関係

もう少し詳しく紹介すると・・・

近年,風邪・花粉症等の予防以外にもマスクが使われることがあります。
例えば若年女性は「すっぴんを隠すため」「小顔に見られるため」といった理由でマスクを使うことがあります。

どうやら彼女たちはマスク着用が顔にポジティブに作用すると考えてこのような使い方をしているようです。事実,我々が大学生を対象に行った調査では,44%が「女性がマスクを着用すると外見の魅力が上がると思う」と回答しました (29%が「下がると思う」,27%が「変わらない」)。

我々はこの素朴な信念が正しいかどうかを実験で調べました。

まず,元々魅力的な顔の人物の画像から,あまり魅力的ではない顔の人物の画像まで,様々な魅力の顔画像を用意しました。
そして,実験参加者にそれらの顔画像の「素顔」とデジタル処理で作成した「マスク顔」を見せて,100段階で魅力評価をしてもらいました。


実験の結果,素朴な信念に反して,マスクを着用すると (素顔のときに比べて) 顔の魅力が低く知覚されることが分かりました。元々の顔の魅力による個人差もあり,元々の魅力が高い人ほど,マスク着用によって,より魅力が低く知覚されることも分かりました。






この結果は,次の2つの要素の足し合わせで説明できます。

  1. 第一の要素「遮蔽」: マスクを着用すると,元々魅力的な顔は綺麗な肌やスリムな顎等の魅力的なパーツが隠れてしまうので魅力が低く知覚されます。一方,元々魅力的ではない顔は,肌荒れやにきび等の魅力の劣るパーツが隠れるので魅力が高く知覚されます。結果,魅力の平均化が起こります。
  2. 第二の要素「見た目の不健康さ」:マスクを着用することで見た目の不健康さがアップします。不健康の見た目は,魅力低下につながることが先行研究で示唆されています。結果,元々の魅力に関わらず,マスクをつけると魅力が低く知覚されます。
ここでは詳しく紹介しませんが,この仮説を裏付ける実験も論文で報告しています。

実は本研究は,日本心理学会第78回大会でポスター発表を行った際にも,発表1,261件の中から,会期中の参加者3,532名の得票により,特別優秀発表賞に選ばれた研究でもあります。

今回,こうして論文発表としても,数多くの論文の中から優秀論文賞に選定されたことは,今後の研究活動にとって非常に励みになることです。今後ますます精力的に研究に打ち込みたいと思います。

論文は こちら から無料で読むことができます。
英語で書かれた論文ではありますが,図を多く入れているので比較的読みやすいと思います。このブログをご覧になっている高校生のみなさんも是非チャレンジしてみてください。(またその他の私の研究紹介記事も以前に書いているのであわせて読んでもらえると嬉しいです)

後日,松田学長に受賞報告と研究の紹介に行きました。その様子もあわせて写真でお届けします。




さて,この写真で私の隣にいるのは,犯罪心理学研究室訪問研究員のRobin Ortheyさん (と受け入れ担当教員の平教授) です。

なぜ,Robinさんが同席していたかというと・・・長くなったのでその理由はまた後日の学長室ブログで紹介することにしましょう ・・・

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学長から一言:個人的にはマスクは嫌いで、大掃除で埃モコモコの時ぐらいしか使いませんが。。。心理学というのは、人に関わることならなんでも研究の対象になってしまう、面白い学問ですねッ。。。何はともあれ、宮崎講師、「お・め・で・と・う!」