2017/07/03

機械システム工学科 個人PC活用授業をスタート!

機械システム工学科・学長室ブログメンバーの内田です。

機械システム工学科では、コンピュータを応用した教育に力を入れています。本学科には「機械システムコース」と「自動車システムコース」の2つのコースがありますが、機械システムコースでは、CAD(コンピュータ援用設計)、CAM(コンピュータ援用生産)、CAE(コンピュータ援用エンジニアリング)の科目を充実させています。学生たちは、学科が入っている24号館のCAD/CAM室で、50台のワークステーションを利用してこれらの科目を学んでいます。


機械の内部の構造や動きは、機械の外からは見えません。機械の各部分でどのような現象が起きているのかも、ほとんど目に見えません。そこでコンピュータ上でそれらを再現し、目に見える形にする(専門用語で『可視化』といいます)ことによって、機械設計の重要ポイントや機械の動作原理を深く理解することができるわけです。下の図は、クランクシャフトというエンジン部品が動作するとき、部品のどの部分が力を受けるのか(『応力』といいます)をカラー画像で表したものですが、こうしたことはコンピュータの力がなければ見ることができませんので、現代の機械設計においてコンピュータは必要不可欠なものです。



もう一方の自動車システムコースでは、自動車車体の振動や衝突破壊の解析、自動車の電子制御システムの動作シミュレーションや回路設計の学修にコンピュータを利用していますが、それらについては、こちらの記事をご覧ください。


さて今年度から、学生が1人1台のパーソナルコンピュータ(PC)を持って授業に臨む「PC必携化」の取り組みが福山大学で始まりました。機械システム工学科でも早速、各学生の個人PCを活用した新しいスタイルの授業を始めています。今日は、私が担当している「自動車構造Ⅰ」の授業を紹介します。

「自動車構造Ⅰ」は自動車システムコースの1年次生向けの授業です。自動車の専門家を目指す初学者らが、エンジン、変速機、ステアリング、ブレーキといった自動車の主要部分の構造と動作を学修します。昨年度の授業では付属図書館本館の「ラーニング・コモンズ」を教室としていましたが、今年度は、一昨年できた新教室「プロジェクト・ラウンジ」に場所を移して授業を行っています。

課題の回答をまとめ中。テキストの内容を理解しながら進めます
新兵器、ハンディスキャナーを使ってテキストの図を読み取ります

「自動車構造Ⅰ」の授業では、教員は最小限の講義しか行わず、各学生が与えられた課題について調べ、まとめ、発表することを中心としています。この日の課題は「ハンドル(専門用語では『ステアリング・ホイール』)を回すと、なぜ車はカーブするのかを説明しなさい」というものです。このような簡単そうな問題でも、自動車の各部分の構造と動作原理がしっかり頭に入っていないと、正しく説明することは難しいのです。

学生たちは、まずテキストやインターネットを使って説明材料の図を集め、それらに説明文を加えながら課題の解答を自分のPC上のノートにまとめ、最後に全員がプロジェクタを使ってみんなの前で解答を発表します。そして全員の発表が終わった後に、お互いの発表の感想や質問事項を、相手のノートにコメントとして書き込みます。

クラス仲間の発表には、全員が耳を傾けて聞き入ります
発表には少し緊張が伴いますが、これも勉強のうちです

お互いのノートに書き込みしあう? そうです。各学生のPCは学内ネットワークを介して交信できる仕組みになっているので、同じ授業を受けている他の学生のノートを閲覧したり、他の学生のノートに書き込みをしたりできるのです。PC上のノートだからこそできることです。また口頭での質疑は苦手な学生でも、ネットでの会話には抵抗が少ないようで、各学生のノートにはいくつものコメントや質問が集まります。このようなやり取りを通じて、互いに教え合い学び合う姿勢を身につけることも、この授業の狙いの一つです。

課題の回答をまとめたノートの例。色を効果的に使っています
コメント書き込みの例。よい発表には多くのコメントが集まります

ほとんどの自動車システムコース1年次生は、前期の「自動車構造Ⅰ」に続いて後期は「自動車構造Ⅱ」を履修します。授業担当の教員としては、これらの授業を通じて各学生が、自動車の基本構造の専門知識を身につけると同時に、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力など、将来一人前の社会人・職業人となるために必要となる能力を幅広く養ってくれることや、自作のノートをまとまった形で蓄積してゆくことで、自己の成長過程を振り返りながら自主的に大学での学びを進められるようになってくれることを期待しています。

なお、この個人PCを用いた授業方法については、9月に開催される予定の「教育改革ICT戦略大会」((公社)私立大学情報教育協会主催)で発表する予定です。


学長から一言:これからの時代はBYOD時代と言われています。。。Bring Your Own Deviceです。。。そのような時代に賢く生きていけるように、大学も端末必携化に向けて、環境を整えています。。。こんな素敵な授業が1年次から実施されて、学生が社会人基礎力を身に付けていくのは、うれしいですねッ!