2017/07/11

ベテランの知識と経験が支える機械工学教育

機械システム工学科の内田です。

家庭や町中など私たちの身の回りや、工場や発電所など私たちが普段目にしない場所で、私たちの生活を支える多くの機械が動いています。そしてそれらのいずれもが、長い歴史の中で多くの研究者・技術者たちが失敗と創意工夫を繰り返しながら、その構造や動きが決まってきたものです。機械工学は、いろいろな意味で人間や社会との深い関わりを持っています。

そのため機械工学は、他の工学分野と比較すると、実物重視の面が強い分野です。学問的な面も重要ですが、実物相手の経験を通じて体得しなければならない面も少なくありません。そうした経験的な学びを得るための実習授業をサポートするために、機械システム工学科には3人の技術職員がいます。福山大学の中では、技術職員がいるのは本学科だけです。今日は、この3人の技術職員の仕事を紹介します。

佐長(さちょう)職員は機械加工の専門家です。旋盤、フライス盤、ボール盤、型削り盤などの「機械を作るための機械」を工作機械といい、それらの工作機械を使って機械部品などを作ることを機械加工といいます。機械加工では、各工作機械の機能や特徴や扱い方をよく理解し、どの機械をどのような順序でどのように使えば設計どおりの部品が作れるかをプランできる能力を身につけることが必要です。


機械システム工学科の「生産加工実習室」には、上記の各種工作機械を置いています。写真は「ものづくり実習」の授業で旋盤加工の実習指導を行う佐長職員です。機械加工では仕上がりの精度や美しさも重視され、よい結果を得るためには多くの知識やコツが必要です。学生たちは大事なポイントを聞き逃すまいと、一生懸命に聞き入ります。



八木(やぎ)職員は自動車整備の専門家です。自動車は人の命を乗せて走る機械なので、調子がおかしくなって事故を起こしたりしないように、安全の基準(専門用語で「保安基準」といいます)が法令で細かく定められています。そして各自動車は保安基準を満たすように、定期的に専門の点検や整備を受けなければならないことになっています。機械システム工学科の「自動車実習工場」には、そうした点検・整備を行うための設備がそろっています。


八木職員は、自動車整備の指導などを行う法人に長年務めていた経験があり、自動車実習の授業では懇切丁寧な実技指導を行っています。ものづくりの経験も豊富で、「モノづくり実習」、「みらい工学プロジェクト」の授業での実技指導も担当しています。下の写真は、「モノづくり実習」で溶接技術を解説する八木職員です。



手嶋(てしま)職員も自動車整備の専門家です。機械システム工学科の自動車システムコースは、2年次生からエンジニア系とメカニック系に分かれ、メカニック系は二級自動車整備士の国家資格取得を目指します。二級整備士は、法令が定める自動車整備事業所の「整備主任者」に任命される資格を持ち、将来は事業所の管理・監督者として活躍することが期待されます。


手嶋職員は、自動車ディーラーのサービス部門に務めていた経験から、自動車整備の実際面の経験を豊富に持っています。自動車実習の授業では、具体的で実践的な指導を行っています。自動車の複雑な構造や動作原理にも詳しく、「みらい工学プロジェクト」の「学生フォーミュラに挑戦」のテーマでは、コンセプト車両の製作などを指導しています。


このように機械システム工学科では、これら3人の技術職員と教員陣が協力し合って、学問的な面と実務・実物の両面から教育を行っています。こうして、本学科の卒業生は、技術者としてバランスの取れた能力を身につけ、社会で幅広く活躍してくれるのです。



学長から一言:今日は、機械システム工学科ならではの学生指導の一面を見せていただきました。。。3人の技術職員さんとは、学内で出会うと元気よく挨拶を交わす間柄ではありますが、。。。その役割が、機械システム工学科長によるこのブログでよく分かりましたよ! 今後ともよろしく!