7月22日に、第17回生命工学部公開授業の第3回「楽しいバイオ実験」が行われました。
この公開授業では、生命工学部の3学科(生物工学科、生命栄養科学科、海洋生物科学科)教員が、一般の皆様に講義、実験を提供し、ライフサイエンスをわかりやすく解説しています。今年は「身近な生きもののきらめき」をキーワードに開講しました。
今年は、
A.酵母と遊ぼう!
B.花の色が変わります!
C.シュークリームがふくらむ!
D.「ひみこのはがいいぜ」の秘密を探ろう!
E.きれいな海藻押し葉をつくろう!
F.どうぶつ飛行機をつくろう!
の6つのテーマで行われました。
その内、生命栄養科学科の教員が担当した、C.シュークリームがふくらむ!と、D.「ひみこのはがいいぜ」の秘密を探ろう! の様子を、本学科のN助手、Y助手から紹介してもらいます!
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まず、D.「ひみこのはがいいぜ」の秘密を探ろう!の様子を紹介します。
みなさんは、普段ご飯を食べる時に、自分が何回くらい噛んでいるか、数えたことがあるでしょうか? おそらく、ほとんどの人が噛む回数を意識せずに食事をしていると思います。
このテーマでは、噛むことについて授業や試食を通じて、考えました。
はじめに、「よく噛むことは、なぜ大切なのか?」「よく噛むためには、どんな工夫ができるか?」みんなで考えてみました。
お手伝いの学科生も参加し、それぞれの意見を発表してもらいました。今回の参加者は小学生でしたが、大学生に負けないくらいたくさんの意見が発表されました。
噛むことの大切さについて考えたあとは、実際に色々な食材を食べ比べてみました。
バナナとりんご、プリンと堅焼きせんべい、するめとクッキー。噛む回数はもちろん、あごの動き方は?唾液の出方は?など、いろんな視点から噛むことについて考えました。
次に、「よく噛むサンドイッチ作り」にチャレンジしました。
普段食べるサンドイッチは、耳を切り落とした柔らかい食パンを使いますが、今回はバゲットを使いました。よく噛むためにはどの食材を入れるといいか考えながら、サンドイッチを作りました。
もちろん、このサンドイッチも試食します。「バゲットを使うとよく噛める」「しっかり噛むと少しの量でもお腹いっぱいになる」など、普段食べるサンドイッチと比べながら食べました。
今回のサンドイッチでは、堅めのバゲットを使う、きゅうりを厚めに切る、スライスチーズではなく大きめに切ったチーズを使う…など、しっかり噛むために食材を工夫しました。
そう、同じ料理でも、食材に一工夫するだけで、噛む回数を増やすことができるのです。普段の料理でも簡単にできるので、普段噛む回数が少ないなと思った方は、是非お試しください。
最後は、「ひみこのはがいいぜ」について授業を聞き、本日のまとめとしました。
「ひみこのはがいいぜ」の秘密、それは…。
ひ:肥満予防
み:味覚の発達
こ:言葉の発音がはっきり
の:脳の発達
は:歯の病気を防ぐ
が:ガンの予防
いい:胃腸の働きを促進
ぜ:全身の体力向上と全力投球
そう、「ひみこのはがいいぜ」は、「噛むことの良い点」をまとめたものだったのです。噛むことは、歯やあごの発達だけでなく、全身に良い影響を与えるのです。
ちなみに、現代の食事は1食あたりの噛む回数は600回程度といわれていますが、卑弥呼は1食で3990回も噛んでいたといわれています。
試食や授業を通じて、噛むことについてしっかり考えることができたと思います。普段の食事も、しっかり噛む習慣がつくと良いですね。
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続いて、C.「シュークリームがふくらむ!」 の実験について、当日の様子を紹介します。
お菓子やパンなど、様々なところで小麦粉は利用されています。小麦粉には種類がいくつかあり、それぞれの特徴を生かして粉を使い分け、料理に利用しております。
さて、この小麦粉の種類はどのように分けられているのでしょうか?
…答えは、小麦粉に含まれているたんぱく質『グルテン』の量です。
この実験では、この『グルテン』について、粉の種類による量の違いや、その特徴を見たり、食べてみたりして感覚的に体験してみました。
強力粉、薄力粉にそれぞれ水を加えこねてゆきます。
こねるほど、グルテンはしっかりと形成され、ひっぱってみるとその伸び方に違いがでました。
さらにそれぞれの小麦粘土を水で洗うと、粒子が細かく水に溶けるでんぷんだけが取り除かれ、ブヨブヨ、ねちゃねちゃとしたガムのようなグルテンのみが取り出せました。
次に、グルテンが含まれないコーンスターチ(でんぷん)と、グルテンが含まれる小麦粉を使ってシュー生地を作ってみました。
生地にはベーキングパウダーなどの膨張剤は入れず、粉とバター、卵、水だけで作っているのに、どうやって膨らむのでしょうか?
下の写真は、左がコーンスターチ、右が小麦粉を使って作成したシュー生地です。
外側の見た目も、内側の断面の様子も全く違っていますね。
シュー生地は、加熱された水蒸気によって膨らみます。加熱によって体積が大きくなった水蒸気を小麦粉に含まれるグルテンが受け止め、ちょうどよくふくらんだころ、生地に混ぜた卵が焼けて固まるので、ふくらんだそのままの形を保ちます。
一方、コーンスターチでは水蒸気を受け止めるグルテンがないために膨らまず、そのまま焼けて固まります。
最後は、手作りカスタードを入れて、それぞれのシューの食感なども確認しながら美味しく頂きました。暑い中参加してくださった皆さん、サポートしてくださった学生の皆さんお疲れ様でした!
学長から二言:こんな公開授業なら、何度でも参加したいですねッ! ところで私の名前は「ひみこ」と一字違いの「ふみこ」。。。後期高齢者にして、歯はすべて健在!!!「肥満予防」の「ひ」の代わりに「不満予防」の「ふ」です。。。歯が良いと誰にでも噛みつけるので、不満がたまりません?!?