2016/01/05

ミャンマーでネズミ捕まえました。

生物工学科 ブログスタッフ 佐藤です。

今日は生物工学科の国際交流について報告します。

昨年末、2週間ほどタイとミャンマーに出張に行ってきました。タイではチュラロンコン大学で開催された第5回脊椎動物種多様性国際シンポジウムに参加し、瀬戸内海の島々のアカネズミの遺伝的多様性について発表してきました。この学長室ブログでは、タイの次に訪問し大変印象深かったミャンマーでの出来事について報告します。ミャンマーでは生物工学科のテーマである里山の景観をたくさん見ることができました。

ミャンマーは総選挙を終えて政権が変わろうかというところ。激動の歴史のさなかにいると思っていました。しかし私が見たのは激動とは無縁の、平穏な、そして人々が純真で平和な心を持つミャンマーでした。

ミャンマー出張の目的は、3つありました。1つはヤンゴン大学での講義と研究協議です。講義では、哺乳類の分子系統学と進化生物学の基礎、そして最近の研究成果について1時間説明しました(Molecular Phylogenetics and Evolution of Carnivoran Mammals)。質問も出て楽しんでもらえたようでほっとしています。学部1年生も15名ほど聞いていました。輝く目で聞いていただきましたが、少しでも興味を持ってもらえるとうれしいです。日本で研究したいと考えている学生もたくさんいるということがわかりました。
ミャンマーは大半が仏教徒です。街にはいたるところにパゴダがあります。日本でいう神社のようなところでしょうか? 今回の出張の2つ目の目的のネズミの採集のために、祈りに祈りました。「ねずみが採れますように、、、」。下の写真はヤンゴン最大のパゴダであるシュエダゴン・パヤーです。一説では2000年以上前にできたとか。生まれた日の曜日によって祈る場所が違います。私は日本式年割では辰年ですが、ミャンマー式曜日割では鳥曜日でした。
フィールド調査では、サトウキビ畑や田んぼを狙ってトラップを仕掛けました。日本人がネズミを捕りに来るなんて珍しいのでしょう。かならず人が集まってきます。広大なフィールドにはネズミの穴がぼこぼこ開いていました。トラップをかけた後に言われたのですが、フィールド調査地の一つにコブラがいたのだとか。。。コブラの毒のワクチンはタイにしかないので気を付けてくれと。。。トラップかける前にその情報ほしかった。。
さて、地元の人はネズミの居場所やネズミの対処の仕方を熟知していました。「ここにトラップをかけろ」、「今度はあそこだ」などと、私は言われるがままにネズミのトラップを仕掛けたところ、なんと次の日に目的のネズミがかかっていました。トラップのネズミを確認して、言葉の通じない農家のおじさん(下の写真)と親指を上にあげて一緒に喜びました。この農家の周りにはパゴダがあり、小学生の通学路があり、木材や萱を運ぶ牛が通り、田畑が広がり、そして集落はイラワジ川からの水の恩恵を受けている環境にありました(一方で、1年に一度洪水という自然の脅威も受けている)。つまり、日本でいうところの里山と呼ぶべき場所なんだと思いました。今回の旅の3つ目の目的は、里山風景を探し、ミャンマーの自然共生社会を学ぶことにありましたが、多くの里山景観に出会うことができました。
フィールド調査の結果、ネズミが採れましたよ! 詳しくは述べませんが、以下のネズミの違いがわかるでしょうか? 遺伝的に言うと、ヒトとチンパンジー以上違うんですよ! 良い写真がたくさん撮れました。
さて、また最初の目的に移ります。今回は、講義、フィールド調査、研究協議とともに、大学院生や研究生を刺激することも一つの目的としていました。プログラムを使った分子系統解析や論文のまとめ方などを指導しました。ミャンマーでトップの大学であるにも関わらず、施設はまだまだ福山大学にも及びません。やる気のある学生はどこの学生であろうと、福山大学を踏み台としてどんどん世界で活躍してほしいと、超個人的観点から妄想してします。日本で勉強したい大学院生が多くいるようでしたので、福山大学で勉強したい場合には、サポートすると伝えました。
今回の出張でミャンマーの学生の研究に対する真摯な態度を感じました。それは教育したいと思わせてくれるほどのやる気に満ちていました。是非、今後もつながり続けることでヤンゴン大学と福山大学の間にポジティブな関係ができればよいと思います。



学長から一言:佐藤先生、年末もお疲れ様。。。ミャンマーのネズミ君、こんにちは。。。研究のためとはいえ、びっくりさせてごめんなさいね。。。2人(?)ともとてもかわいいですよッ!