2017/02/28

文部科学省委託事業「学校施設の防災力強化プロジェクト」成果報告会(オール工学部)!

こんにちは、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)学長室ブログメンバー伍賀です。

福山大学の工学部と安全安心防災教育研究センター(センター長は工学部スマートシステム学科 仲嶋 一教授)が中心となって進めている、文部科学省から委託を受けた「地震・津波・竜巻・土砂・火山災害等に対応したソフト・ハード一体となった学校の防災対策」プロジェクトに関して、これまで、ブログにて第一回協議会の様子や、今津小学校で実施された津波を想定した模擬避難訓練の様子を報告してきました。このプロジェクトのまとめの報告となる第二回協議会が、2月7日に福山大学工学部棟で開催されました。

このプロジェクトに対し、福山大学工学部と社会連携センター、福山市危機管理防災課、福山市教育委員会、今津学区まちづくり推進委員会、今津小学校の皆さま方で協力した様々な取り組みが行われましたが、本協議会では大変興味深い発表を聞くことができました。その内容を、全てというわけにはいきませんが、このブログで紹介したいと思います。

情報工学科 金子教授の報告「今津学区防災アンケートご報告」
今津学区の1500戸以上への防災アンケートが実施されました。46%という高い回収率から地域の方々の防災意識の高さが伺えましたが、災害に対する備え、避難場所や避難所の周知に関する課題も見えてくるという興味深い結果となりました。


建築学科 山田准教授の報告「災害時経路不通リスク推定」
地域の方々の年齢分布、避難施設への移動時間、住居の耐震状況などを考慮し、古い建物の密集地域、細い路地などの建物倒壊による避難へのリスクの報告がありました。

情報工学科 中道准教授の報告「実地避難経路調査・複合的避難阻害要因実地調査」
初めて避難施設に移動する場合、すみやかな移動が可能であるのか?迷わず避難場所まで到達できるか?「迷いボタン」アプリが入ったモバイル機器を利用した実験で、多くの人が迷ってしまうポイントを見つけ出そうという興味深い研究の成果が報告されました。

建築学科 伊澤講師の報告「体育館環境調査」
昨今の地震災害では、地域の学校の体育館が住民の方々の避難場所として利用され、多くの場合において不便な避難生活を強いられています。今津小学校体育館の夏季と冬季の室温の計測から伝熱シミュレーションによって、有効な熱対策の手段が考察されました。また、プライバシーのための間仕切りシステム、防災スティの提案がなされました。

スマートシステム学科 仲嶋教授の報告「模擬避難」
11月25日(金)に、今津小学校6年制のみなさんに協力していただき実施された、夜中停電時を想定した模擬避難の報告です。多くの児童の皆さんが災害避難の難しさを実感し、災害に対する意識を喚起することができたようです。


スマートシステム学科 関田准教授の報告
「地域住民の避難に関する課題抽出、対策モデルの策定」
今回のアンケート調査、模擬避難訓練で判明した、避難経路の周知、高齢幼年者の避難、暗闇での移動の困難さなどの課題を解決するためのメカニカル発想法の導入。ユニークな発想による問題解決として、「案山子」ランドマークの提案がされました。


松田学長、香川工学部長もこの協議会に参加しました。自然災害への対策という重要度が高く、普遍的なテーマに対し、福山大学工学部の保有する知識や技術が動員され、多方面での効果を上げることが確認されたということが、すばらしい! と感じました。

これまで大学というところは、どこか浮世離れして「象牙の塔」などと呼ばれることもありましたが、連携によって大学は地域社会に貢献でき、また活きた情報やデータを集め新しい知見を得ることができると実感しました。このような地域連携型のプロジェクトが推進されることは画期的です。


福山市防災推進室 矢野様と松田学長に研究成果を報告する 仲嶋教授

今回の研究成果は、1月22日に開催された、「ビッグローズフェスタ 安全について考えよう&冬まつり」でも展示・講演されました。また、広島県歴史博物館でも春の展示「ひろしまの災害と防災」にあわせ、3月20日まで展示していますので、ぜひ見学ください。


学長から一言:工学部の英知を集め、地域の老若男女、地域行政機関、学校組織、自治会組織等と協力した、非常に高度でかつ実践的な地域課題解決型のプロジェクトで、今後の発展・応用が大変期待されます!我が身のいい加減な防災意識を恥じながら、実に興味深く発表を聴かせていただきました!!!