2017/02/16

いろいろな「世界」との出会い-ジンブン(人間文化学科)の本棚

学長室ブログメンバーの人間文化学科Sです。こんにちは。

つい先日、Sの授業を履修している学生がこう聞いてきました。

先生、本は読んだほうがいいんですよね?」 

私への質問でしたが、私には学生が自問しているようにも感じました。本を読んだ方が良いことは、「直感的にわかっている」。けれど、実際行動に移すことに対して迷いがあるようでした。その時は、当人の環境を踏まえた上でアドバイスをしましたが、この言葉は忘れられません。「本を読むこと」についてとても考えさせられました。

今回は、「本」や「読書」にまつわる学科の特色や試験的な取り組みについて紹介します。

現在、人間文化学科の4年次生は、今月中旬に行われる「卒業論文発表会」の準備をしています。本学科の卒業論文テーマは毎年本当にさまざまで、その一部を挙げても、

・Twitterにおけるフィラーの実態と特徴
・川端康成の「雪国」論─意識の流れを中心に─            
・クロード・モネの「鉄道」に描かれたフランス近代社会─連作《サン・ラザール駅》を中心に─
・茶事における香の位置づけ
・現代のサブカルチャーにおける世界観と属性の関係─ディバインゲートを中心に─
・文化としてのサッカー─サンフレッチェを中心に─
・演劇の近代化と川上音二郎
・百人一首における花の歌
・古代中国における虫偏漢字に対する諸解釈
・戦後日本における結婚観の変化

……などなど、非常に幅広いものです。これは、学科の特色でもある、「趣味」から「学」学科長メッセージより)という学びのあり方とも関係しています。「趣味」は「関心」でも良いと思います。つまり、興味関心を入口として、自身の「世界」を学問的手法により構築していくというものです。そして、本学科においてはその集大成が「卒業論文(卒論)」であり、そのためには、当然のことながら多くの文献を読みこなさなくてはなりません。
人間文化学科の学生が集う学習室(机や椅子も新調されて快適な空間に?)
 このように、「趣味」から「学」への道筋には、「読むこと」が大きく関わってくるのです。では、この点について人間文化学科ではどのような取り組みをしているのでしょうか。授業の中ではもちろんですが、その他にも授業以外に行う「読書会」や「朗読愛好会」があります。そして、ここ最近始めた地味な活動に「教員による図書紹介」があります。

【月1企画】 教員による図書紹介(1)2016年10月

毎回一つのテーマを決めて、それに関する図書を教員が自由に紹介します(入試や試験のため現在はお休みしています)。紹介される図書はとにかくさまざま。最初は1行紹介文でも良い、となっていたのですが、実際は筆が滑ることも…結果、教員の意外な一面も垣間見える、楽しい読み物になっています。この企画もすでに3回実施していますが、「紹介だけでは勿体ない」との思いから、図書を映像で紹介できるweb本棚も作ってみました(「図書紹介のweb本棚」)。どうでしょう。パッと雰囲気が変わりませんか?

実は、「ジンブン全体のweb本棚」には、上記図書のほか、学科教員の専門に関する図書、学生が参加したビブリオバトル紹介本も登録しています。現在100冊ほどですが、少しずつ増えていくでしょう。今後は今年第9回目となる「友だちにすすめたい本」コンクール入賞作品関連図書も登録していく予定です。
各自、自由に本や資料を読んだりしております。
自身の「世界」を本(紙媒体でも電子媒体でも)を通じてどのように広げていくか。これは読書経験が豊富な学生にとっても、そうでない学生にとっても非常に重要なことです。確かに、「人の成長の糧」であると思います(昨年の「学長短信」)。

仕事柄、「本を読みなさい」という立場ですが、本を読む環境は数十年前とはかなり変わりました。ですから、読書を促す言葉や態度も変えなくてはならないのかもしれません。試行錯誤は続きそうです。今回は、そのような試行錯誤についての紹介でした。今後は、学科の学生から募集したテーマも活用しつつ、これらのコンテンツを学科情報の発信に役立てたいと思っています。


学長から二言:学長室には、時間を見つけて読む必要があると思っている本、研究室には、時間を見つけて読みたい本、家には、読みたいけど生きているうちに読めるかな-、と思っている本が、それぞれ小山になっています。。。学生の皆さん、外の世界と内なる世界の両方を広げるのに、読書は素敵な方法ですよ!!