2017/11/06

「歴史」と「巡礼」から見える人間の姿―人間文化学部「文化フォーラム2017」第1回、第2回報告

学長室ブログメンバー、人間文化学科のSです。こんにちは。今回は、先月から開始した、文化フォーラム第1回、第2回の様子についてお伝えします。第1回は青木教授、第2回は重迫教授による報告です。

→今年度の「文化フォーラム2017」全体の概要についてはこちら


第1回―― 2017年10月21日(土)ふくやま文学館にて
今年の五回の講演は、世界の様々な歴史の聖地を巡礼するというコンセプトで、人間文化学科のギリシャ史研究者である山川廣司教授がコーディネートしました。

第1回は、大学教育センターの中尾佳行教授による「チョーサーの『カンタベリー物語』とカンタベリー巡礼」と題しての講演で、長年の研究の成果を踏まえた、人間の奥深いお話でした。

『カンタベリー物語』は、カンタベリー大聖堂を目指す中世の巡礼者二十人余りのそれぞれの物語を集めたお話です。

講演の冒頭で、ストーリーとは、問題から解決に至る過程であるが、その解決には必ず未解決の問題が含まれており、それがさらに、次のストーリーを生み、果てしない循環を紡ぎ出すという説明がありました。

『カンタベリー物語』は最初に騎士道ロマンスの愛と冒険の物語から始まり、粉屋、法律家、修道士、尼僧、など様々な身分の人物が次々に自らの巡礼の物語を語り、宗教的(人間・哲学探究)ロマンスへと深められる愛の物語であるとのことで、巡礼にまつわる人間臭いドラマが展開され、大変興味深く感じました。




また、著者のチョーサー(14世紀後半を生きた)についての紹介があり、兵士をはじめ、王家に仕える小姓、外交使節、税関長、判事、国会議員など様々な職業を転々としており、経験の深さを感じさせられました。

一方、彼の家族はロイヤルファミリーと関係があり、社会的に特別な位置に立っており、そのことが作品に、社会を俯瞰する視点を持たせているのだろうか、と思いました。中尾教授の資料では、「学識がありながら宗教者でもなく、宮廷に出入りしながら騎士でもなく、商人出身でありながら商人でもなく」、「階層に貼り付けられない新タイプの人間、あえていえば階層の中間点にいる」人物とされています。

そして、40代半ばに妻を失ったころから、『カンタベリー物語』を書き始めたとのことでした。チョーサーの生きた中世末期は、次代のルネサンスの前兆の時代であり、宗教的世界と民衆のエネルギーとの両方が描かれる奥行きの深さを感じ、興味がそそられました。

何より、中尾教授が紹介した『カンタベリー物語』の手稿の画像が美しかったことを申し添えます。羊皮紙に描かれた繊細な唐草模様のフレームと文字とが、それだけで一つのアート作品のようでした。文化の面白さを実感する講演でした。


第2回―― 2017年10月28日(土)ふくやま文学館にて

文化フォーラム 2017」の第2回も無事終了いたしました。人間文化学科の学生が、会場設営、受付、資料配布を行い、台風接近中の雨にもかかわらず、20名弱の方々にご参加いただきました。


第2回の今回は、人間文化学科、山川廣司教授による「四国遍路とスペイン・サンティアゴ巡礼」というタイトルでの講演でした。まず、四国遍路の歴史と本学科「宗教文化史」の四国実地研修のお話でした。そして巡礼の定義から、サンティアゴ巡礼の歴史を語ってもらいました。

サンティアゴ大聖堂正面
どちらのお話も、地図や自身で撮ったたくさんの現地の写真をスクリーンに映しながらの見応え、聞き応えのある、楽しく、有意義な講演でした。今回もお越しいただきました皆様に深く感謝致しております。

次回第3回(11月11日(土)、ふくやま文学館)では小原友行教授が講師を務め、「アンネ・フランクが残した言葉を追いかけて」とのテーマで講演を行います。皆様のお越しをお待ちしております。 
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学長から一言:人間文化学科らしさのあふれた、人間文化学科ならではの、文化フォーラムが続いていますねッ!今週の土曜日は台風は来そうにないので、地域の皆様、ぜひ聴きにおいでてくださいねッ!!!