2017/04/14

ソフィア大学を集中講義で訪れて(その1)

学長室ブログメンバーのT-boneです。 大塚副学長・大学教育センター長より、ブルガリアのソフィア大学で実施した集中講義に関する記事が届きましたので、ご紹介いたします。

---------------------------------------------------
歌に聞く「美しく青きドナウ」とはいささか趣を異にする大河や、いまだ残雪を戴いたバルカン山脈を眼下に眺めながら、3月22日の昼過ぎにブルガリアのソフィア空港に到着。卒業式を終えた翌朝に広島空港を発ち、上海、モスクワと経由して、飛行時間15、6時間、乗り継ぎの待ち時間を入れると、34、5時間の長旅の末、初めての訪問国に降り立ちました。


なぜソフィアに行ったかですが、福山大学と彼の地で最も歴史と伝統のあるソフィア大学とは以前から交流関係があり、これまでも学生を相互派遣してきました。これとは別に、EUが域内の大学間交流を盛んにするために行ってきたエラスムス・プログラムというのがあり、その拡大版でエラスムス+というプログラムが最近始まりました。後者はEU域内の加盟大学と交流のある域外の大学も交流の輪を拡げようというものです。ソフィア大が申請して認められ、福山大学から誰か教員を集中講義に派遣してほしいという要請があったのです。教育学部での授業で、専門は教育学の者という条件でした。福山大学には教育学専門家は多くいません。僭越ながら、初陣を切らせて頂くことになりました。ブルガリア語など勿論できませんから、英語でよいということで。到着した日の午後から早速仕事、国際交流担当のマリア・ストイチェヴァ副学長他への挨拶回りや旅費・経費の受け取りのために銀行へ行って口座の開設等々。



そして、翌朝から講義。最初の授業はさすがに勝手が分からず少々緊張しましたが、そこは大学教師を腐るほどやってきた厚かましさも手伝って、割と簡単にペースがつかめました。学部1、2年生対象の授業から私の本来の専門分野である比較教育学専攻の博士課程の学生(何と、ほぼ全員が現職の学校教員で、女性)や教育学部の先生方まで、さまざまな対象に合わせてソフィア大学側で予め組んであった内容に基づき、日本教育の特色と歴史、教育制度、カリキュラム、教員養成、社会教育から比較教育学の方法論議まで、いろんな授業を行って来ました。


おとなしめの我が福山大学の学生と比べて、ソフィア大学ではこちらが一瞬考え込まざるを得ないような鋭い質問を早速する学生が多くいて刺激があり、大いに楽しみました。



3月31日にソフィアを発って4月1日の帰国まで、実質10日間の滞在中に、合計13時間分の授業を行ったことになります。正式のプログラムですから、終了時には写真に示すような証明書も交付されました。
最終日に、旅費や滞在費がブルガリアの私の銀行口座に振り込まれていないことが判明し、もう空港へ向かわなければいけない30分前に、関係部署のご尽力により滑り込みセーフで間に合うという、ハラハラもあって、これまたブルガリアの大学の事務処理の一面を垣間見る良い機会でした。

 ここから、授業以外のことも少し報告しておきましょう。ソフィアの街では、敷き詰められた石畳の通りに路面電車やトロリーバスが走っていました。歴史を感じさせる多くの建物とともに、旧社会主義国らしく画一的な集合住宅が立ち並ぶ街角の壁のあちこちに落書きがあったり、汚れも目立ったり、少しくたびれた感じも一部にはしました。


しかし、いくつかの他国の街で感じてきたような、昼間でも気の抜けないような雰囲気はまったくありません。初めて訪れたにもかかわらず、旅人が何となくすぐに馴染んでしまいそうな情緒のある首都でした。そのほぼ中心部、国会議事堂や国立図書館、有名なアレクサンドル・ネフスキー大聖堂からほど近いところにフィア大学は位置しています。ヨーロッパでは相対的に新しいとはいえ、19世紀末からの長い歴史をもつ大学だけに、建物には風格がありました。図書館も実に落ち着いた洒落た施設でした。



学長から一言:ソフィア大学とは毎年留学生の交換があり、とても深い交流が続いていますが、福山大学の副学長がエラスムス+で訪れて正規の授業を行うという新しいイベントにより、さらに連携が深まりました。。。このプログラムでは、まもなく先方からも先生がおいでになって福山大学で講義をされます!!!