2017/01/08

薬学部による教養教育「セルフメディケーションⅡ」 ~ 地域と連携し地域に学ぶ ~

あけましておめでとうございます、薬学部の学長室ブログメンバーGoです。
平成29年初投稿は、薬学部の 杉原教授 と 松岡講師 からの一報です!

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「セルフメディケーションⅡ」は、地域で実施されている健康に係わる取り組みにスタッフとして実際に参加し、その取り組みの意義や運営方法、地域の自治組織等について学修する教養教育科目であり、全学部の学生を対象として開講しています。昨年度参加した神村学区の「神村歴史散策ウォーク」での地域学修(昨年度の様子)に加えて、今年度は、「健康ふくやま21フェスティバル2016」「府中学びフェスタ」でも実施しました。

本科目は9名の薬学部教員(松岡講師西尾教授石津教授田中教授小嶋教授上敷領准教授瀬尾講師大西講師杉原教授)が担当しており、分担して各地域のイベントに学生を引率しました。

●フィールドワーク
「健康ふくやま21フェスティバル2016」(10月15-16日開催)は、ふくやま健康・食育市民会議(フクイク21:事務局 福山市保健所)が中心となり、地域住民の皆さんの健康づくりに関して啓発をおこなうもので、毎年、福山市ローズアリーナで開催されています。学生たちは喫煙が発症の主要な原因といわれている慢性閉塞性肺疾患(COPD)の啓発活動に携わるとともに、どのような健康づくりに関する取り組みが行われているか、見学・参加により学修しました。

写真1 COPD測定希望者に対してCOPDの測定法を説明
写真2 アンケート調査への協力を依頼
写真3 COPDの測定で重要となる息の吐き方について説明
写真4 会場内の様子

「府中学びフェスタ」(10月29-30日開催)は、幼稚園児から高齢者まで、日頃の学習成果を発表する場となっており、府中市立総合体育館ウッドアリーナ及びその周辺施設でおこなわれました。開会式では本学の冨士副学長が挨拶をしました。

屋内展示スペースには市内の各校などから学びの様子が展示され、舞台では演奏などが披露されました。福山大学の学生たちは屋外広場の一角で、地域の皆さんの血圧の測定やCOPDの簡易スクリーニングを担当しました。また、本学薬学部の病態生理・ゲノム機能学研究室の5年次生と4年次生がおこなった骨密度測定や理科実験も好評で、本学のブースには多くの来場がありました。

写真5 屋内展示スペース
写真6 COPDの簡易スクリーニング
写真7 血圧測定コーナー
写真8 骨密度測定コーナー
写真9 冨士副学長と記念の一枚

「神村歴史散策ウオーク」(11月20日開催)は、神村学区のウォーキングマップの作成を契機に始められ、今回で3回目となります。このイベントは健康づくりだけでなく、学区内に残されている古墳や古道などの遺跡や神社を尋ねてふるさとの歴史も学び、地域住民の交流と地域への愛着を深めることを目的に実施しています。そのため、神村学区の自治会を構成している様々なグループや福山市の関係団体が関与して運営されています。学生たちは、運営スタッフとして、会場設営や受付、下駄飛ばしイベントへの協力、また、地域住民の皆さんと一緒にウォーキングを行い、地域の皆さんとの交流も体験しました。

写真10 参加者に配付する資料を準備する福大生
写真11 参加者の受付と名簿の確認を担当する学生
写真12 ウオーキング前の準備体操
写真13 参加者が下駄を飛ばした距離を測定する学生
写真14 下駄とばしで福大生が準優勝
写真15 毘沙門堂(広島県重要文化財指定)

●事前・事後学修
これらの地域学修に参加する前に、それぞれの地域イベントの目的や自分たちの役割、さらに参加協力する心構えや態度について「事前学修」をおこないました。地域の皆さんと積極的に交流する意識も高めました。「事前学修」によって地域イベントで学修する目標や理解を深めた後、実際に参加して、「参加した地域イベントの運営組織と運営システム」「参加した地域イベントが地域に及ぼす影響・効果」について、体験を通して学修しました。履修生の多くが1年次生(経済学部、人間文化学部、工学部、薬学部の学生)でしたが、「福山大学」の名前の入ったジャケットを着用し、「福山大学」の旗を掲げた場所での活動は、福山大学生のとしての自覚も育まれました。

地域学修後、地域での活動を通して学んできたことについてスモールグループディスカッション(SGD)の中で整理し、「参加した地域イベントの運営組織と運営システム」や「参加した地域イベントが地域に及ぼす影響・効果」についてまとめ、その成果を報告するための「事後学修」をおこないました。地域のイベントを継続・発展させていくためには、PDCAの考えに基づいて検証することが重要なことから、参加した地域イベントに対して「良かった」という感想だけに終わらせるのではではなく、学生達は改善や工夫点についてもSGDをおこないました。

写真16 地域で学修した内容についてSGDしている様子
写真17 プレゼンテーションの準備をしている様子

●フィールドワーク報告会
以上の体験を通して学修した成果を地域学修の「報告会」(12月9日)で、グループ毎に発表しました。チームワークを活かした報告や、独自の考えを盛り込んだ報告などがあり、学生たちが地域活動により、多くの有益な学修ができたことが示されました。福山大学生を受け入れ、学修の機会を提供してくださいました地域の皆さま方に対し、感謝申し上げます。

写真18 報告会
写真19 グループで協力しあって発表

地域と連携した学修において、「福山大学」の名称とロゴマークが入ったジャケット等を着用することは、学生達に福山大学生の自覚を促す効果や、地域に福山大学の活動を広報する大きな効果があります。今回、「福山大学」ジャケットはプロジェクトMから借用しましたが、枚数が十分でなく、一部の学生は着用できませんでした。地域活動をおこなう福大生のために、「福山大学」ジャケットの貸出制度があれば良いと思いました。

学生の感想(一部抜粋、原文のまま)
● 健康ふくやまフェスティバル2016
〇改めて健康を意識するよい機会であった。これからも健康を意識し生活するよう心掛けたい。
〇幅広い年齢層に対応したブースがあり、健康に対する意識を高められる素敵なイベントでした。ありがとうございます。
〇いろいろな出し物やショーなどが行われており、誰でも気軽に行くことができて、尚且つ、自分の健康状態を見直すことができる素晴らしいイベントだと思った。自分たちが担当させてもらったブースでもさまざまな方々が来てくださり、大学一年生の間にはあまりできないような貴重な体験が出来た。
〇健康ふくやま21フェスティバルに参加して、とても多くの団体が関わってこのイベントが開催されていることが分かった。
〇多くの人が、健康に関心を向けているのだと実感しました。

● 府中学びフェスタ
〇今回、府中学びフェスタに参加して、府中の市民の皆様と健康に関する色々なお話をしたことで、コミュニケーション力の大切さがとても実感できた。また、市民が力を合わせて地域のイベントに積極的に参加していることは、とてもよいことだと思った。
〇大人だけでなく、地元の学生もブースを設けていて、地域全体で町おこしをしているんだと思った。
〇遠方から訪れる人にとっては、不便な点もあるが、府中の人々にとっては、幅広い世代が顔を合わせ交流できるイベントだと思った。
〇年配の方達だけでなく、若い人達にも健康に対する意識の高さがみられ、自らの今後の生活と6年後のあり方の参考になった。
〇実際に高齢者とかかわることができてよかった。
〇地域の方に喜んでもらえてよかった。

● 神村歴史散策ウオーク
〇久しぶりに運動をして、体を動かせたし、その地域の歴史にも触れることができたのでよかった。
〇色々な世代の人々との交流ができたし、何より良い運動になっていい経験だった。
〇地域の人と協力して運営の手伝いをこなせた。効率よく動けなかったのがあまり良くなかった。これからに生かしていきたい。
〇改めて地元のことを知れてよかった。多くの知らない人たちとも関わることができたのは大きな経験になった。
〇運営に地域の人たちが積極的に関わっているのが印象的だった。

担当・薬学部 / 杉原成美・松岡浩史



学長から二言:学部横断で1年生対象に行われる、そして地域に根ざした、すばらしいアクティブ・ラーニングですねッ!担当の教員の皆様も、お疲れさま! 「福山大学ジャンパー」の件、対応を考えま~す。