2017/01/05

メディア・映像学科 弁護士をお招きしての著作権ゲスト講義

こんにちは。学長室ブログメンバー、メディア・映像学科の阿部です。2017年も、メディア・映像学科の学内外の活動をお知らせしていきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします!

私からの今年初めての投稿は、去年行いました著作権に関するゲスト講義に関してです。

メディア・映像学科では、「情報社会とコミュニケーション」という講義を設けています。本講義では、情報社会における新しい表現やコミュニケーションについて考えることをメインに進めていますが、それだけでなく、表現とともに立ち現れる著作権の問題について考える機会をつくりたいと考え、今年度は、著作権の専門家である弁護士の永井幸輔さんをゲストにお招きしました。著作権とはどのような法制度なのか、という入り口となるお話から、新たな表現を支える新たな仕組みとしての法律の考え方についてお話しいただきました。題して、「著作権のオープンとクローズド ―情報社会における創造性と法律の関係性―」です。


当日は、「情報社会とコミュニケーション」の受講生だけでなく、他学科の学生、教職員のみなさん、近隣のみなさんにも越しいただき、大盛況的な雰囲気の中での講義となりました。(写真がブレブレですみません!)

知的財産権の基本について学んだ後に、著作権に関して判例をもとにクイズ形式で講義が進められました。「類似性の判断基準がわかったような気がして、次のクイズを判断するとまた異なる見解が指摘され、著作権はなかなか判断の難しいものであるな」というのが、受講生たちの反応でした。同時に、「昨今の著作権に関する騒動も、事実の積み上げというよりも、憶測や印象による話がインターネットを介して拡散してしまい、それが「事実」かのように受け取られてしまっているのではないか」という、インターネットと倫理の問題を想起した受講生もいたようです。



そのほか、以前の授業でも扱ったクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(著作者が作品を発表する際に、事前に作品使用の範囲を意思表示するためのツール)の話や、個人情報とビッグデータといった今日的話題を、法律の観点から説明していただきました。

本講義は、なんと2コマみっちりお話しいただくというぜいたくなものでした。その冒頭に永井さんから「みなさんは契約をしたことがありますか?」というシンプルな質問があったのですが、多くの受講生が「契約・・・?」と困惑してしまったことにあらわれているように、法律に関する行為は誰しもがごく普通に行っていることであるのに、それを見逃してしまったり、意識していなかったりするということがあるようです。

これを、永井さんは法律のインタラクション・デザインの問題とおっしゃっていて、インターネットを介して個人間でもさまざまな情報のやり取りが行われる現代だからこそ、法律もまた身近な「読みやすい」ものとしたり、対応しやすいものにするなどの試みがこれから考えられていくべきだとのことでした。今回のような授業もまた、法律とのインタラクションを円滑化する試みだったかと思います。受講生のみなさんにとっても、著作権を身近に感じる機会となったのではないでしょうか・・・?

永井さん、このたびはわかりやすい著作権講義をどうもありがとうございました!


学長から一言:著作権と言えば、オリンピック・パラリンピック東京2020大会のエンブレムデザインの盗作問題は記憶に新しいですね。。。メディア・映像学科の皆さん、しっかり学べましたか?