2017/01/17

<情報工学科>授業「専門英語」の紹介

 学長室ブログメンバーの工学部情報工学科の池岡です.

 情報工学科の特徴ある授業の一つをピックアップし,担当教員によりわかりやすく紹介してもらうシリーズの第二弾になります.今回は,山之上教授の担当「専門英語」です.

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 情報工学科ではどんな授業が行われているのだろう?と疑問を持つ高校生は多いのではないかと思います.今回は,私 山之上が情報工学科の授業の一つ「専門英語」を紹介します.

 情報工学科に限らず,工学部のどの専門分野においても,英語の読み書きができることは,今や技術者として必須の技能です.授業「専門英語」は専門分野に特化した英語の授業です.英語は大事なのですが,一般的に工学部の学生は他学部の学生と比べて,英語が苦手な場合が多いようです(文献[1],[2],[3]など).

 そこで,情報工学科の多くの学生に興味を持ってもらえるように,福山大学情報工学科の専門英語では,Raspberry Pi という小さなコンピュータを使って,グループ学習によるアクティブラーニングとして実施しています。教科書は,Raspberry Pi のプログラミングに関する英語の本を使っています.教科書の中にはゲームを作ったり,ロボットを動かしたりする内容も入っています.

専門英語でRaspberry Pi を使っている様子

 毎週,教科書を読む範囲を決めておき,受講者は授業の前に,その週の教科書の範囲でわからない単語とその意味を調べて,福山大学の学修支援システム「Cerezo」に提出しておきます.授業では,各グループが協力して教科書のその週の範囲を読んで,実際に,各グループに1台ずつ割り当てられた Raspberry Pi の上で実行し,報告書をCerezoに提出します.
 
 細かなところを読み飛ばすと,教科書通りに動かない場合があります.このようなとき,グループ内で相談して,解決できると良いのですが,解決できない場合は担当教員が簡単なアドバイスを行っています.

 また,この授業では学生が辞書を持参することになっています.その他,Webで検索して調べることも推奨されています.

 情報工学科の専門英語は下の写真に示すような,工学部の「実験工房」と名付けられた実験室で行っています.


専門英語の授業の様子

 教員が説明するとき,プロジェクタに教科書の内容などを投影しますが,それが後ろの方のグループでは見えにくい場合があります.この問題に対応するため,担当教員が研究を行っている「ポータブルクラウド」と,その中で使える「Distributed Web Screen Share」を利用しています.これにより,教師側のパソコン画面が,受講者が持参するパソコンやスマホに表示され,細かい字も手元で見えるようになります.

 授業の最中,教科書通りにやっても動かない部分を受講生が見つけました.担当教員が英国人の著者にそのことを問い合わせたところ,著者から教科書が間違っていたと,返事がありました.また,著者のWebページで,教科書の間違いを担当教員が指摘したことを提示してくれました.教科書が間違っていたことと,その指摘が著者のWebページに掲載されたことが,授業で紹介されました.

 授業の後半では,小テストも行われます.小テストの問題の例を下に示します.このように、小テストの問題は日本語で出ているのですが,教科書に直接答えが載っている問題ではなく,文章の内容を理解し,複数の文を組み合わせて考えないと正解できない問題もあったので,学生はちょっと苦労したようです.小テストは,その場で学生に解答してもらい,終了したらすぐに正解の例と,なぜそうなるか?等の説明を行いました.

小テストの問題の例

 受講生からは,「英文で書かれたサイトを見たが大体内容が理解できた.なんだかんだで英語力がついていることを知った」,などの感想をもらっています.
 
 この授業については,2016年9月2日から9月4日まで,函館市のホテル恵風で開催された「情報処理学会夏のプログラミング・シンポジウム2016」で発表を行いました.この発表については、ICT教育ニュースのサイトでも取り上げていただきました.発表の質疑応答では,情報処理教育の分野で有名な先生方から意見をもらっています.その意見などを今後の授業に反映していって,授業の改善を行っていこうと思っています.

参考文献
[1] 長井克己 "香川大学におけるTOEICテストの分析(2005-2006年度)", 香川大学教育研究, Vol. 4, pp.40-52, 2007.
[2] 中畝菜穂子, 熊谷龍一, 五島譲司, “TOEICテスト結果と入学時および入学後の英語成績との関連”, 新潟大学大学教育開発研究センター 大学教育研究年報, Vol. 11, pp.43-49 , Mar. 2006.
[3] 株式会社野村総合研究所, “「工学離れ」の検証及び我が国の工学系教育を取り巻く現状と課題に関する調査研究報告書”, 先端的大学改革推進委託事業調査研究報告書, 文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室, 2010.

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 以上山之上教授による授業「専門英語」の紹介でした


学長から一言:いかにも、情報工学科の「専門英語」!!!という感じですねッ。。。英語の教科書通りにやっても「動かない」ことから、教科書の間違いを学生が見つけるなんて、おもしろ~い!!