2017/01/21

機械システム工学科の学生、3Dプリンタコンテストに挑戦!

学長室ブログメンバー、機械システム工学科の内田です。近年、PC(パソコン)でいろいろな形のものを作れる3Dプリンタが普及してきています。福山大学でも、機械システム工学科の高精度型3Dプリンタ「高速光造形機」や、工学部共同設備の熱溶解積層型3Dプリンタ2台を活用して、先端的な造形技術に関する授業や研究を行っています。

機械システム工学科の高速光造形機
高速光造形機で製作した部品類


さてこのたび、3Dプリンタによる作品コンテストが福山市内で開催され、機械システム工学科3年生の大林成彦君が参加しました。コンテストは、「片持ち梁(はり)」という機械の基本構造を3Dプリンタで作製し、耐えられる荷重の大きさを競うものです。作品は分解して10cm角の箱の中に納められることなど、難しい条件も課されます。

まず、学科のCADシステムを使って片持ち梁の設計を行いました。コンピュータで設計した梁に荷重を加えるシミュレーションを行い、壊れやすい部分がないか確認しながら形を整えます。



次に、完成した設計データを、コンテスト主催者である広島県立総合技術研究所 東部工業技術センターに持ち込み、センター保有の3Dプリンタで打ち出します。上に述べたように学部や学科にも3Dプリンタはあるのですが、プリンタの形式がコンテストの指定条件に合わなかったことや、コンテスト用の片持ち梁を作るには打ち出し方のノウハウとテクニックが必要だったことなどにより、今回は東部工業技術センターにサポートいただきながら出力しました。



下の写真が、打ち出し完了した作品。PLAという材質のプラスチックでできています。ただの棒のように見えますが、なるべく軽くするために内部を空洞にするなど、工夫を凝らした設計にしています。作品の重量は設計通りの196gで、200g以下というコンテストの条件を満たしています。1本上に突き出ているのは、部品どうしを結合するためのピンです。



これがどれくらいの荷重に耐えられるのか、いよいよテスト開始です。作品を東部工業技術センターの試験機に取り付け、先端を上方向に引っ張っていきます。



荷重を増すにつれて梁はしなっていき...



やがて「ビシッ!」という音をたてて壊れました。

耐えることができた荷重は13.5kg。う~ん、もうちょっと強いはずだったのですが... 残念ながらコンテスト1位の作品には勝てませんでした(1位は設計会社のプロでした)。しかし今後のさらなる頑張りを期待するということで、地元企業の研究会である「ひろしま先進ものづくり研究会」から奨励賞をいただきました。



今回のチャレンジャー大林君の弁。
「打ち出している最中に部屋の温度が変化して作品が変形してしまうなど、なかなか設計通りの精度のものができずに苦労しました。自分で作品を作ることで、物を作ることの難しさを改めて実感しました。これからは、商店で売られている物などの見方も変わると思います。いい体験をさせてもらえました!」


残念ながら今回のコンテストでは、いまひとつ成績が伸びませんでしたが、自分で設計したものを実際に作製して性能評価するという一連のプロセスを通じて学んだものは大きかったようです。必勝策のアイデアもつかめたので(これは極秘です)、その秘策は先輩から後輩へと受け継がれ、きっと来年のコンテストでは福山大学が1位を獲得することでしょう。乞うご期待!!!


学長から一言:まずはチャレンジですねッ!素人から見ると魔法の箱かドラえもんのポケットのように見える3Dプリンタも、使いこなすには、設計からしっかり学ばないといけないようですねッ!次を期待していま~す!!!