2016/03/02

情報工学科の卒業研究はこんなことやってま~す!

こんにちは、ブログスタッフのKMです。

 過日2月中旬、情報工学科で卒業研究発表会が行われました。卒業研究は大学における修学の集大成であり、情報工学科では4年生時に自分で研究テーマを決めて1年かけて研究を行い、卒業研究発表会ではその成果をみんなの前で発表します。研究テーマは研究室ごとで特徴が異なり、情報分野でも多彩な内容で卒業研究が行われています。今回は私の研究室の学生が行った卒業研究のいくつかを紹介します。

私の研究室ではARを用いた研究をいくつか行っています。ARとは「Augmented Reality」のことで、カメラで映している映像にリアルタイムに3DCGなどを合成・追加して表示するしくみのことです。身近なところではニンテンドー3DSにARが実装されており、スマートフォンのアプリにもARを用いたものがたくさんあります。

まず、「AR操作による家電機器操作システム」についての研究を紹介します。
これは、家庭にたくさんあるリモコンを1個にまとめて、かつARを用いて直感的に操作できるようにしよう、というものです。スマートフォンで操作したい家電機器にカメラを向けると、操作する家電機器を認識してリモコンパネルを自動で切り替えます。スマートフォン上で操作をすると、その家電機器を制御することができます。以下は実行画面の一例です。

つぎに、「ARを用いた徒歩ナビゲーションアプリ」について紹介します。
ARを用いたナビアプリは、実は既存のものがたくさんあるのですが、それらは最短距離を案内するものがほとんどです。この学生がおこなったのは、単純な最短距離だけではなく、坂道による高低差や道のりの暑い、寒いなどを考慮して経路を探索するしくみを導入したシステムです。目的地までの距離が短くてもアップダウンが激しかったり、日差しが強かったりしては歩行者の疲労が大きくなります。距離だけでなく、坂道の有無や日差し、道の善し悪しなども歩行負荷のコストとして処理することにより、より歩行者にやさしい道順を示してくれるナビアプリの開発を目指しました。目的地までの経路はGA(遺伝的アルゴリズム)を用いて検索します。下図は工学部棟から1号館売店までの経路を検索した結果です。青い結線が道順なのですが、やはり、いつも実際に通っている道のりになったようで、無意識にラクな道を歩いていることがわかりました。


最後に、「HMDを用いたPC組み立て支援システム」についてです。
これはデスクトップPCの組み立てをするときに、半透過型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、さらにARを用いて組み立ての手助けをする、というシステムです。PC組み立てはCPUやメモリなど、いろいろなパーツをマザーボードに取り付けるのですが、知識のない人にとっては難しい作業です。そこで、HMDを通してマザーボードを見ると、次に何をどこに取り付けるかなどをARでアドバイスしてくれます。
下図で、左側が半透過型HMDであり、メガネのように顔にかけて利用します。右側はマザーボード上にCPUを取り付ける際に表示されるアドバイスの一例です。


他の学生も興味深い研究テーマで卒論研究を進めて、立派に卒業論文を完成させました。
卒業してからも大学で学んだことを活かして活躍してくれることを願っています!


学長から一言:私のようなド素人が持つ、「情報工学科って,どんなことするの?」という単純な疑問と好奇心に、ちょっとだけ応えてくれましたね!!!、