2016/06/13

中国で活躍する国際経済学科OBと対談して来ました!(パート2)

こんにちは!経済学部 国際経済学科の学長室ブログスタッフ、足立です。許教授と萩野教授の中国出張パート2(貴州編)です(パート1はこちら)。

許教授と萩野教授は、山西師範大学訪問後、広州技術師範学院訪問を経て貴州省に入り、凱里学院、貴州師範大学を訪問しました。ここでは、同じく国際経済学科出身で凱里学院の日本語教師をしている楊麗英さんに会いました。本学の留学生のみならず、中国経済の研究者にとっても、大変参考になる話を聞くことができたようです。

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(許先生)空港まで迎えに来て頂きありがとうございます。しばらく見ないうちに、息子さん、大きくなられましたね。

(楊さん)ありがとうございます。一人であちこちに行くようになってきたので、働きながら子育てするのも大変になってきました。
楊麗瑛さんと息子さん
(萩野)ご主人と交代で面倒をみられているのですか?

(楊さん)いえ、主人は貴州省の州都である貴陽市で働いていますので、週末だけ面倒をみてくれます。

(萩野)週末婚、ロマンチックですね。ご主人とは、こちらで出会われたのですか?

(楊さん)ええ、2012年に日本留学を終えて中国・貴州省に戻り、凱里学院の日本語教師になったのですが、その後、ご縁を頂きました。

(萩野)日本留学時の思い出は何ですか?

(楊さん)そうですねえ、下宿の大家さんや、バイト先の飲食店の店長が優しく面倒を見てくれたことですかね。もちろん、福山大学経済学部の講義は大変ためになりましたよ。

(萩野)同僚には、そのように伝えておきます。でも、日本語の教師になるためには、国際経済学科の勉強だけで十分だったのですか?

(楊さん)いえ、その後、尾道市立大学の大学院で日本文学を学びました。残念ながら、福山大学人間文化学科では大学院での開講がありませんでしたので。でも、福山大学と契約している下宿には、ずっといさせて頂きました。

(萩野)大学院の卒業論文では、特定の日本文学を取り上げたのですか?

(楊さん)はい。森鴎外の「舞姫」が卒論のテーマでした。

(萩野)舞姫は、政府留学でベルリンに来た豊太郎が、ドイツ人の踊り子エリスと恋仲になり、政府でのキャリアを捨ててエリスと同棲を始めたけれど、人生のチャンスをつかんでエリスを捨てて日本に帰国する、といったストーリーでしたね。留学先での寂しさなど、通じるものがあったのでしょうか。寂しいといえば、空港からここまでくる間、山間に打ち捨てられたような屋敷を多く見て、寂しい気持ちになりました。何が起こっているのですか?

(楊)若い人が沿岸部に出稼ぎに行って、老人ばかりの村になり、その後若い人が帰ってきても、出稼ぎで貯めたお金で市内のマンションを買って、年老いた両親と共に住もうとするので、山間の廃村が増えています。

(萩野)中国では、上海や広州といった沿岸部が経済発展した一方、貴州省をはじめとする西部の経済発展が遅れ、まるで先進国と発展途上国の関係のようだと聞きます。しかし、中国政府や貴州省府は、手をこまねいて見ているだけなのですか?

(楊さん)もちろん、中国政府は、西部開発のために大規模な公共投資を行っており、貴州省の道路事情は大変改善しています。そのために雇用も増え、今では、沿岸部に出稼ぎに行かなくても、地元の建設工事に従事することで十分な所得が得られるようになっています。

(萩野)なるほど、でも公共投資ばかりに頼っていては、貴州省に自律的な経済は生まれないでしょう。

(楊さん)貴州省には、少数民族であるミャオ族やトン族の村があり、また、山間部にあるため空気や水がきれいで風光明媚なところも多いので、観光業が発達しています。貴州省政府としては、観光業をさらに発達させようとしているのですが、そのためには、汚れた空気や水を排出するような製造業を誘致するのは得策ではないと考えています。
ミャオ族の村

ミャオ族の踊り
(萩野)でも、観光だけでは...

(楊さん)その通りです。そこで、貴州省府としては、自然を汚さないソフトウェア産業の育成に力を入れています。特に今、ビッグデータを利用したビジネスの開発が世界的に進められていますので、ここ数年、貴州省府は、ビッグデータのコンファレンスを頻繁に開催していますし、大学では、ビッグデータ学院といった専門研究部署を創設する動きが出てきています。

(萩野)面白いですねえ。福山大学では、備後地方の里海・里山を維持しながら、経済発展を実現するにはどうしたら良いか、といったテーマを大学全体で取り組もうとしているのですが、大変参考になるケースです。

(楊さん)是非、貴州省に来て研究に取り組んでください。福山大学に留学に行く貴州省の学生にも関わってもらうと面白いかもしれませんね。

(萩野)ありがとうございます。最後に、福山大学にいる留学生に、アドバイスをお願いします。

(楊さん)福山大学で学ぶと、日本語は飛躍的に上達するでしょう。一方で、日本人と話す機会が増えると「なぜか話が通じないなあ」と思う機会も増えていくと思います。それは、日本人の考え方が分かっていないからです。それも勉強です。言葉だけでなく考え方についても理解を深めて、日本語でのコミュニケーション力を高めていって欲しいと思います。

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楊さんには私も中国でお世話になりました。その時はお腹が大きかったのですが…そのお子さんがもうこんなに大きくなったんですね!ビックリです。


学長から一言:今回は、国際経済学科への中国からの留学生が、卒業後母国に帰って日本語教師として活躍しているお話で、大学との関係が卒業後このように生かされている、というのは、学長としてもとてもうれしいですねッ!!!楊さん、ありがとうございました!!!