以前、この学長室ブログにて、文化フォーラム2015(全5回)の概要をお伝えしました。
今回は、文化フォーラム第1回(2015年6月21日)の模様をお伝えします。
記念すべき第1回は、人間文化学科の脇講師が担当しました。
テーマは「井伏文学に描かれた備後弁」。
以下、脇講師からの当日の模様のレポートです。
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10年目を迎える「文化フォーラム」の第1回。私が会場に着くと、すでにお客様が数人いらっしゃるではありませんか。中には油木高校の生徒さんの姿も。みなさん気が早いなぁ~などと、のんびり構えていたのも束の間、何と50名超え(部屋の定員は30名)! 資料が足りない!! 当日来てくれた学生たちの加勢もあって、何とか対応することができました。
肝心の報告内容ですが、大きくわけて3部構成でお届けしました。
まずは、【(楽しい)方言講座】です。「備後方言」とはどういう言葉なのかを確認しなければ、話が前に進みません。普段は直感的に感じている差異を、方言学の成果を利用しながら説明しました。あわせて、階層/階級で言葉が異なるということ(社会方言)についても解説を加えました。ネイティブである参加者の反応は上々でした。
次に、【井伏作品における方言使用】です。「朽助のいる谷間」をはじめ、いくつかの作品をとりあげて、そこに見られる方言(地域方言&社会方言)の分析を行いました。参加者の反応が最も大きかったのは、「井伏の用いる地域方言は『地域』を特定できない」という点です。また逆に、方言をほとんど用いない作品というのも興味深い。今年度のキーワードとなる作品「さざなみ軍記」がまさにそれです。その理由やもたらす効果について、「語り」という観点から少し言及してみました。
最後に、まとめも兼ねて【方言で物語ること】について考えてみました。私たちにとって方言とはどのような存在なのか。「語る」とはどういうことなのか。その際「紙の本」を使う意義はどこにあるのか。人文系学問が滅亡の危機にあることも念頭におきつつ、私たちにとっての「井伏文学」を再考するきっかけになったかと考えています。
おそらく、これらの問題意識は第5回まで通底するものだと思います。次回以降、1回限りの参加でも大歓迎ですので、ぜひ足をお運びください。お待ちしております。
※ 写真は、中国新聞エリア通信員の粟村真理子氏の提供です。
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次回(第2回)は、今週末、7月18日(土)に行われます。
時間: 10:00~12:00 ふくやま文学館 研修室
講師: 竹盛浩二(本学教員)
題目:「「さざなみ軍記」と『平家物語』」事前学習
学長から一言:方言も、専門家の手にかかると、奥が深くなりますねッ!。。。私も、時間があったらjききたいのに~。。。グスッ、グスッ。。。粟村さん(お友達です)、写真をありがとう!!