人間文化学科のSです。よろしくお願いいたします。
5月に入り、日中の気温は汗ばむこともあるほど高くなりました。
少し前まで続いていた、春らしい、暖かく気持ちの良い日がすでに懐かしいです。
昼間でもついウトウトしてしまったり…。そのような時は、
中国・唐の詩人である孟浩然が詠んだ「春暁」(春の明け方)の、
「春眠 暁を覚えず」
という句を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
ただ、これは詩全体を見ればわかるように、
昼寝ではなく夜の睡眠(寝覚めの時)を詠ったものです。
春眠 暁を覚えず
処処 啼鳥を聞く
夜来 風雨の声
花落つること 知る 多少ぞ
…書き下し文を見ても、わかるようなわからないような?
ここで、井伏鱒二の『厄除け詩集』に収録されている漢詩訳を見てみましょう。
(井伏鱒二の漢詩訳といえば、唐の于武陵(うぶりょう)「勧酒」の一句、
「サヨナラだけが人生だ(人生足別離)」という名訳が知られています。)
ハルノネザメノウツツデ聞ケバ (春眠不覚暁)
トリノナクネデ目ガサメマシタ (処処聞啼鳥)
ヨルノアラシニ雨マジリ (夜来風雨声)
散ツタ木ノ花イカホドバカリ (花落知多少)
「春暁」という詩が、ぐっと身近になりませんか?
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さて、今ご紹介した井伏鱒二。福山を代表する作家として良く知られていますが、
彼の作品がこの備後地域とどのように繋がっているか、ご存知でしょうか。
今年の「文化フォーラム2015」では、井伏鱒二の作品を取り上げ、
「地域文化の継承―井伏文学と地域学習―」と題する取り組みを行うことになりました。
今回は全体の予告ということで、その概要をお伝えします。
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「地域文化の継承―井伏文学と地域学習―」
第1回 6月21日(日)10:00~12:00 ふくやま文学館 研修室
講師 脇 忠幸(本学教員)
題目「井伏文学に描かれた備後弁」 地域言語について
第2回 7月18日(土)10:00~12:00 ふくやま文学館 研修室
講師 竹盛浩二(本学教員)
題目「「さざなみ軍記」と『平家物語』」事前学習
第3回 9月26日(土) スクールバス利用 沼隈半島の平家谷・能登原・源平古戦場
講師 門田武士 ( 平家谷ふるさと振興会理事 )
題目「沼隈半島と平家伝説」フィールドワーク
第4回 11月14日(土)予定 ふくやま文学館 研修室
講師 青木美保(本学教員)・青木ゼミ
題目「井伏『在所もの』から学ぶ」実地踏査と研究
第5回 12月13日(日) 予定 ふくやま文学館 研修室
岩崎文人(ふくやま文学館長)・竹盛・脇・青木・高校生
シンポジュウム「地域文化から学ぶ─井伏文学と備後」
本学の教員と学生、そして地域文化の案内者が、高校生及び一般の方々に、
4回にわたるフィールドワーク体験と、それに関する主体的発信の方法について
紹介します。
最終回は、参加者をパネラーとするシンポジュウムです。
ふくやま文学館館長をお迎えして、取り組みの成果をまとめていきます。
ご期待下さい。
※ もう少し大きなチラシはこちら。
学長から一言: 「春眠 暁を覚えず」は、私も世俗的誤解の部類でした!!井伏鱒二の漢詩訳、楽しいですね!!フォーラムも楽しそう!!