2015/05/13

「文化フォーラム2015」のテーマは「井伏文学」

 今年度より学長室ブログを担当することになりました、
 人間文化学科のSです。よろしくお願いいたします。
 
 5月に入り、日中の気温は汗ばむこともあるほど高くなりました。
 少し前まで続いていた、春らしい、暖かく気持ちの良い日がすでに懐かしいです。
 昼間でもついウトウトしてしまったり…。そのような時は、
 中国・唐の詩人である孟浩然が詠んだ「春暁」(春の明け方)の、

    「春眠 暁を覚えず」

 という句を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
 
 ただ、これは詩全体を見ればわかるように、
 昼寝ではなく夜の睡眠(寝覚めの時)を詠ったものです。 
 

   春眠 暁を覚えず

   処処 啼鳥を聞く

   夜来 風雨の声

   花落つること 知る 多少ぞ


 …書き下し文を見ても、わかるようなわからないような?
 ここで、井伏鱒二の『厄除け詩集』に収録されている漢詩訳を見てみましょう。
 (井伏鱒二の漢詩訳といえば、唐の于武陵(うぶりょう)「勧酒」の一句、
 「サヨナラだけが人生だ(人生足別離)」という名訳が知られています。)


   ハルノネザメノウツツデ聞ケバ (春眠不覚暁)

   トリノナクネデ目ガサメマシタ (処処聞啼鳥)

   ヨルノアラシニ雨マジリ (夜来風雨声)

   散ツタ木ノ花イカホドバカリ (花落知多少)


 「春暁」という詩が、ぐっと身近になりませんか?
 
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 さて、今ご紹介した井伏鱒二。福山を代表する作家として良く知られていますが、
 彼の作品がこの備後地域とどのように繋がっているか、ご存知でしょうか。

 今年の「文化フォーラム2015」では、井伏鱒二の作品を取り上げ、
 「地域文化の継承―井伏文学と地域学習―」と題する取り組みを行うことになりました。
 今回は全体の予告ということで、その概要をお伝えします。

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        「地域文化の継承―井伏文学と地域学習―」

  第1回 6月21日(日)10:00~12:00 ふくやま文学館 研修室
     講師 脇 忠幸(本学教員)
     題目「井伏文学に描かれた備後弁」 地域言語について

  第2回 7月18日(土)10:00~12:00 ふくやま文学館 研修室
     講師 竹盛浩二(本学教員)
     題目「「さざなみ軍記」と『平家物語』」事前学習

  第3回 9月26日(土) スクールバス利用 沼隈半島の平家谷・能登原・源平古戦場
     講師 門田武士 ( 平家谷ふるさと振興会理事 )
     題目「沼隈半島と平家伝説」フィールドワーク

  第4回 11月14日(土)予定    ふくやま文学館 研修室
     講師 青木美保(本学教員)・青木ゼミ
     題目「井伏『在所もの』から学ぶ」実地踏査と研究

  第5回 12月13日(日) 予定   ふくやま文学館 研修室
     岩崎文人(ふくやま文学館長)・竹盛・脇・青木・高校生
     シンポジュウム「地域文化から学ぶ─井伏文学と備後」

 本学の教員と学生、そして地域文化の案内者が、高校生及び一般の方々に、
 4回にわたるフィールドワーク体験と、それに関する主体的発信の方法について
 紹介します。

 最終回は、参加者をパネラーとするシンポジュウムです。
 ふくやま文学館館長をお迎えして、取り組みの成果をまとめていきます。

 ご期待下さい。

  

※ もう少し大きなチラシはこちら


学長から一言: 「春眠 暁を覚えず」は、私も世俗的誤解の部類でした!!井伏鱒二の漢詩訳、楽しいですね!!フォーラムも楽しそう!!