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備後経済研究会は故桑原哲也教授が備後地域経済・経営の研究拠点を目指すべく、2012年に民間団体のBSB(ビジネスサポート備後)の協力のもとで立ち上げてから、数えて4年目を迎えます。昨年、桑原哲也教授がご逝去され、近現代日本経済史や経営史を専門とする私がバトンを受けました。
備後経済研究会は備後地域の企業・経営者を研究し、産業集積地としての備後地域の特徴を明らかにすべく、本学教員にとどまらず、企業経営者や行政関係者、さらに他大学の研究者にもご参加いただき、研究成果の報告やそれにもとづく活発な議論を行うと同時に、企業へのインタビューや論文の公刊、備後地域の皆さんに向けた研究発表を活発に行っています。
研究会は2~3ヵ月に1度のペースで開かれています。高校生でも大学生でも企業経営者でも、どなたでも参加は自由です。興味のある方は一度、備後経済研究会のホームページをご覧ください。サイト内では過去の活動内容とともに、多くの研究成果(ディスカッションペーパーや論文)がアップされています。入手できない場合、張楓(kaede@fuec.fukuyama-u.ac.jp)までご連絡ください。
さて、2015年5月15日に大阪大学沢井実教授を迎えて、2015年度第1回目備後経済研究会を開催しました。報告内容は「日本工作機械工業の120年」でした。工作機械は「機械をつくる機械」、ときには「マザーマシン」(母なる機械、母機)とも呼ばれます。機械工業全体に占める工作機械の規模は大きくないもの、その技術水準が機械工業全体の水準を大きく規定します。そうした性質をもつ典型的な資本財工業である工作機械工業は「戦前期以来その技術的後進性が指摘されてきたが、1970年代以降のNC化の波に乗って、1982年から2008年までの27年間、日本は世界最大の工作機械生産額を記録し続けた」とされています(沢井実『マザーマシンの夢』名古屋大学出版会、2013年、同『機械工業』日本経営史研究所、2015年)。明治期から現在に至るまでの日本の工作機械の歴史を概観し,その特徴を見事に描き出した報告でした。
ちなみに、2015年5月1日付のブログ「備後から全国、そして世界へ―(株)シギヤ精機製作所の工場見学」でも紹介されましたように、(株)シギヤ精機製作所は備後地域を代表するオンリーワン・ナンバーワンの円筒研削盤メーカーです。ほかにも、MC(マシニングマシン)や専用工作機械、多軸ボール盤を製作するホーコス(株) 、キー溝盤などを製造する(株)元久保工作所、NC内外端面複合研削盤などを製作する岡本工機(株)などがあります。そのいずれも備後地域を拠点に世界を目指しているローカルニッチトップ企業です。こうした備後地域企業の成長のダイナミズムを解明することは備後経済研究会の最大のミッションであると位置づけています。
夜6時半というやや遅い時間帯にもかかわらず、研究会参加者のうち、半分が備後企業の若手経営者でした。地元雑誌社から化成品会社、電気制御盤、印刷会社などに多岐にわたっています。いつもながら、若手企業経営者の旺盛な学習意欲に深く感銘を受けています。福山大学サテライトの宮地会館を拠点に、もっともっとそれに応えていくべく、工夫と努力を注いでいく所存です。
最後に、第2回備後経済研究会の開催案内をします。下記の通りです。
2015年度第2回備後経済研究会
日時:2015年7月27日(月)18:30~20:00
場所:福山大学宮地会館(JR福山駅北口徒歩1分)
報告:伊藤敏安 広島大学大学院社会科学研究科教授、地域経済システム研究センター長
内容:備後地域の「経常収支」(試算)
概要:地方圏の多くでは、財・サービスの移出・移入からみた地域間収支は赤字でも、財産所得
やその他の経常移転では大幅な黒字である。備後地域経済の実態と課題を検討する材料
として、「県民経済計算」などから地域間の「経常収支」を試算する。
<伊藤敏安先生の略歴>
1955年2月生まれ。同志社大学卒、関西学院大学大学院修士課程修了。
中国地方総合研究センター地域経済研究部長などを経て02年から現職。
03年からセンター長併任。地域経済学、地方財政学専攻。
日本地方財政学会、日本計画行政学会、日本地域学会、日本経済政策学会などに所属。
著書として『地方分権の失敗 道州制の不都合』など。
※詳細は下記のサイトをご参照ください
http://www-cres.senda.hiroshima-u.ac.jp/ito.html
場所:福山大学宮地会館(JR福山駅北口徒歩1分)
報告:伊藤敏安 広島大学大学院社会科学研究科教授、地域経済システム研究センター長
内容:備後地域の「経常収支」(試算)
概要:地方圏の多くでは、財・サービスの移出・移入からみた地域間収支は赤字でも、財産所得
やその他の経常移転では大幅な黒字である。備後地域経済の実態と課題を検討する材料
として、「県民経済計算」などから地域間の「経常収支」を試算する。
<伊藤敏安先生の略歴>
1955年2月生まれ。同志社大学卒、関西学院大学大学院修士課程修了。
中国地方総合研究センター地域経済研究部長などを経て02年から現職。
03年からセンター長併任。地域経済学、地方財政学専攻。
日本地方財政学会、日本計画行政学会、日本地域学会、日本経済政策学会などに所属。
著書として『地方分権の失敗 道州制の不都合』など。
※詳細は下記のサイトをご参照ください
http://www-cres.senda.hiroshima-u.ac.jp/ito.html