2014/05/02

税務会計学科新任 中沢孝夫先生のご紹介

学長室ブログスタッフの石丸@経済学科です。

前回に引き続き、第2弾も経済学部新任の先生をご紹介します。
税務会計学科にこの4月から赴任された中沢孝夫教授です。
なお、今回は中沢先生ご自身による自己紹介スタイルとなっています。
それでは中沢先生、よろしくお願いします。

----

中沢孝夫です。


この春から経済学部・税務会計学科のメンバーになりました。3月までは福井県立大学。その前は兵庫県立大学で教授を務めていました。なお現在も兵庫県立大学と放送大学の客員教授でもあります。

私の学問的な方法論は、地域社会に入り、主に企業から聞き取り調査を行い、地場産業の歴史経路や、技術や経営の特性、あるいは人材育成などの特徴点を抽出(概念化)して、新聞や雑誌に寄稿し、また本として著すことにあります。

もともと大学の先生になる前は、ジャーナリストとして、経済誌や新聞で、連載やさまざまな原稿を書くことを仕事としていました。それゆえ、この25年間で1000社を超える企業でインタビューしており、その聞き取りをもとに、具体的なミクロの視点で、中小企業を中心とした企業経営について各種メディアで発信をしています。

福山大学にきて1ヵ月たちましたが、現在、県の産業政策課や、企業向けの人材育成などの講座を開いているNPOなどと協力して、備後を中心とした広島経済の「グローバル化の中での立ち位置」の調査をはじめました。2015年の秋には本にする予定です。

なお中沢孝夫のキャリアは、日本ではあまり一般的ではありません。1944年に生まれ(群馬県)、高校を卒業して郵便局に入りました。6年現場で働いて(当時は労働運動が盛んで)労働組合の専従になりました。担当は職場の組合員の仕事の実態調査でした。例えば、郵便配達の仕事で、新潟や秋田のように雪の深い地域での働き方と、長崎のような坂ばかりで、自転車では配達できない地域のこと。あるいは伊勢・志摩など小島が多く、小舟で配達する地域(瀬戸内も同じですが)など、労働の条件がどう異なるか、といった調査などをしました。
20年そのような調査マンとしての仕事をしたあと、45歳のときに「自分の人生を少し変えたくなり」、立教大学法学部に入学しました。日本政治史で名高い北岡伸一先生に学びたかったからです。4年生のときに論文「良質な社会と自己訂正能力」で、高橋亀吉賞(東洋経済新報社)を受賞し、雑誌や新聞から寄稿依頼があり、49歳で卒業後、ジャーナリストとしてスタートし、何冊かの著書を上梓したあと、56歳のときに姫路工業大学(兵庫県立大学)の教授に就任しました。仕事の方法は変わることなく「調査」にあります。

これまで教えた大学では、ゼミを含め、教室は学生で満杯でしたが、福山大学ではどうなるでしょう。

----

中沢先生、ありがとうございました。さすがプロのジャーナリストということもあり、撮影時の雑談の中にも、温和な口調でありながらキラリと光る鋭さを感じました。また、先生には昨年夏の経済学部主催シンポジウム「地域経済の可能性と経営―福山大学備後経済コースが目指すもの―」の席上でパネリストとしてご参加いただきました。その節は誠にお世話になりました。

中沢先生の隣は、日本知的資産経営学会会長で本学の非常勤講師でもある古賀智敏先生

さて、前任校の教室は受講生で満員だったということです。本学でも学生が熱心に受講してくれることを願っています。


学長から一言:福山大学教授の中沢孝夫で出版された最初の著書「中小企業の底力―成功する『現場』の秘密」(ちくま新書)は、読みやすくかつ示唆がいっぱいです! 「立地条件の悪い」ある企業が、それ故に「独自の難度の高い技術力を獲得」の話など、思わず本学の立地条件とその克服・・・に思いをはせることになりました!