2015/05/20

未来の農業について考える -㈱クボタとの意見交換会-

こんにちは。社会連携センターの学長室ブログメンバーNです。今回は、未来の農業について考えるべく㈱クボタと意見交換会をおこなった、その様子を、香川工学部長(スマートシステム学科長も兼務)に報告してもらいます。では、香川教授よろしく。

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こんにちは、工学部長の香川です。
ちょっと間が空いてしまいましたが、5月8日(金)に福山大学工学部棟にて㈱クボタと、本学教員、及び、近隣の行政機関担当者との意見交換会を行いました。この企画は本学社会連携センターと福山市企画政策課との共催で実施しました。当日、私が最後まで粘っていて、逃げ遅れてブログ原稿を書くことになりました。よろしくお願いします。

㈱クボタは、ご承知の通り、大阪市に本社を置くパワーシャベル等の建設機械、トラクター等の農業機械で有名な企業で、建設材料、産業用ディーゼルエンジンも開発しています。

さて、このクボタさんがITやハイテク技術を利用した農業(これは最近「スマートアグリ」と呼ばれる様になってきました。)分野にも進出されようとしているということで、その技術を伺い、学術や行政の視点から意見交換を行い、農業や農業技術の今後の発展に結び付けようというのがこのたびの企画の目的です。大学としては、この意見交換会を端緒にして共同研究に発展すると大変面白そうです。


意見交換会には、福山大学からは全学部から総勢19名の教員が参加しました。また、福山市および近隣の自治体からも15名のご参加があり、総勢40名の大変盛況な会合となりました。

このたびご説明のあったスマートアグリシステム(Kubota Smart Agri System:KSAS)は、ITの力を借りて最も効率的で付加価値の高い営農サイクルに近づけようというもの。
田んぼ(圃場)毎の形状や作付記録、さらに、その圃場から収穫される米の品質などを継続的に記録し、その分析からより効果的な営農サイクルを提案してゆきます。そこに使われる技術やツールは、図形認識技術、コンバインに搭載された収量や食味のセンサー、データベース、クラウド・・・と、工学系の私は、「もっとこんなことができそう」とか「こんな風にすると便利になりそう」とか終始ウキウキしながら拝聴しておりました。同席された先生方や行政の方々も、それぞれのご専門の立場から同じく興味を持たれたとみえて、説明後は活発な意見交換が行われました。


そして、次にご説明があったのがアシストスーツです。アシストスーツとは人の体に外骨格(ギプス)の様に装着して体への負担を軽減することを目的とした装置です。モータを内蔵した非常に精密な装置になるとパワードスーツとも呼ばれ、これはもう人がスーパーマンの様になってしまいますが、今回ご紹介があったのは、そんな仰々しいものではなく、長時間腕を挙げたままの作業が避けられない方のための腕の支えとなるもので、例えば、ぶどうや梨といったような果実の袋かけや収穫作業を行う方を想定して開発されたものとのことでした。腕の生えたランドセルの様な形状で、見た目シンプルなのですが、腕を挙げた状態でロックし、下げたいと思ったらロックを解除する機構には電磁リレーという部品が上手く制御されて使われており、ここにテクノロジーを感じました。


実は私、皆さんが引けた後にこっそりとお願いをして装着させて頂きました。実に気持ちいい!背筋がシャンとして、なかなか着心地?がいいのです。聞けば人間工学の観点から背中の当ての形状等を設計されたそうです。で、腕を上げるとカチッと音がして固定されて、手首の動きでロックが解除できます。使い方に慣れてくると様々な用途や要望が浮かんでくるもので、こんな風にしたらいいのにとか、色々とお話をさせていただきました。肩に不安を抱いておられる先生方はこれを着けて板書するときっと楽ですよ~。


アシストスーツを装着して,童心と科学心に刺激されている香川教授(学長の注)
ということで、私にとっては色々と創造意欲を掻き立てられる有意義な時間でした。福山大学も、もち米を栽培したり、ワインプロジェクトでブドウを栽培したりといった活動が行われていますから、今回ご紹介があった技術や装置を「学生の皆さん」が使ってみるとよいのかもしれません。完成したものではなく、改善の余地があるものを使ってみて分析する事によって、クリエイティブな感覚が徐々に養われる気がします。

工学を学ぶ学生の皆さんには是非やってもらいたいな~。


学長から一言:大学近くにある我が家の前の田んぼ3枚が、所有者の高齢化で昨年から放棄農地になってしまいました。。。旧来通りの農業はもう成り立たない。。。そういう時代を産学官連携でスマートにひっくり返していきましょう!!