こんにちは。生命栄養科学科のブログメンバーNです。
日本調理科学会 平成26年度大会で、渕上教授が功労賞を、桒田助手が奨励賞を受賞しました。本日は、松田学長への受賞報告の様子を、生命工学部のH.Kから伝えてもらいます。では、H.Kさんよろしく。
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松田学長に賞状をお見せする渕上教授、桒田助手
最初に、受賞の内容をご紹介します。
奨励賞は優れた研究業績を挙げ、将来一層の発展が期待できる40歳以下の会員に授与される賞です。
桒田助手の奨励賞の受賞テーマは「柑橘類の調理加工特性に関する研究」です。通常、マーマレードは加熱して作りますが、加熱によって色や香りが悪くなる欠点があります。そこで、食品に高い圧力をかける”高圧処理”を使うことで、加熱することなくフレッシュな風味のマーマレードを作製しました。
高圧ジャムやマーマレードは、明治屋という企業が特許を取得していますが、この市販品には食品添加物としてペクチンやクエン酸が添加されています。ペクチンは砂糖と酸の存在下ではゲル化(ジャムをどろりとさせる)する性質があります。市販品は製造上の手間や、ペクチンが少ない果物をゲル化させるために、ペクチンが添加されます。しかし、実は、柑橘類には添加しなくても充分なペクチンが含まれているのです。
近年健康志向が高まり、植物由来のものであっても添加物は敬遠される傾向にあります。また、広島はレモンをはじめ柑橘類の産地であり、地元産の果物を使った特産品が多数販売されています。地元の果物を使って高圧ジャムやマーマレードを作製することで、地域の特産品やブランド品としてアピールできる商品になり得る可能性を秘めています。ペクチン無添加でフレッシュな高圧マーマレードを作製する条件を模索し、その成果を学会や論文で発表を行ったことが評価されました。
受賞内容についてお話する様子
渕上教授は、平成24年の日本調理科学会 学会賞、今年の日本家政学会 学会賞に続き、3つ目の受賞です。
功労賞は、永年にわたり調理科学の発展、普及、教育に貢献した会員に授与される賞です。渕上教授は、日本調理科学会の発足当初より会員となり、野菜・果実などの加熱・冷凍・高圧・乾燥などの調理操作による物性・微細構造の変化とペクチン質の関係に関する研究に取り組んでいます。
ペクチンとは、植物の細胞壁に含まれる成分であり、野菜や果物などにも含まれています。(先程紹介した、ジャムやマーマレードをどろりとさせる働きもある成分です)加熱すると野菜が軟らかくなるのは、ペクチンが分解して、外へ出ていくからです。
酢レンコンや酢ゴボウがシャキシャキしているのは、なぜかご存知ですか? 酢で煮ると、ペクチンが煮汁中に溶け出る量が少ないから、歯応えがしっかり残るのです。このように、ペクチンは私たちの身近な調理に関係しています。
美味しい料理を作るには、味だけでなく硬さや歯応えも重要です。ペクチンの性質を明らかにすることは、美味しい料理を作ることに繋がるのです。
渕上教授は、野菜や果物がどのような条件で軟らかくなったり、硬くなったりするかを、ペクチンと微細構造変化のレベルでとらえて、その仕組みを明らかにしました。また、学会理事をはじめ、平成18年度大会実行委員長など様々な役職としても尽力し、学会に貢献したことが高く評価されました。
最後に記念撮影です。
恒例の、記念撮影
渕上教授、桒田助手、本当におめでとうございました。
学長から一言:たかがマーマレードと言うなかれ。。。奥が深い!!