こんにちは、ブログスタッフの生物工学科 佐藤です。
福山大学ワイン醸造所長の吉﨑助教から福山大学ワインプロジェクトの近況報告が届きました。どうぞ!
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本年4月に正式にワイン醸造所長を拝命しました生物工学科の吉﨑です。
「いつのまに、一体どこにワイン醸造所ができたのか?」
よく聞かれますので福山大学ワイン醸造所の近況を、これまでのワイン造りと合わせお知らせできたらと思います。
ご存じでない方のために、生物工学科では昨年4月から「福山大学ワインプロジェクト」を進めており、ブドウ栽培と試験製造免許の取得を行い、すでに赤ワインと白ワイン(それぞれマスカット・べーリーA、シャインマスカットを使用)の試作品が完成、教職員による試飲も行いました。
ワイン醸造所についてですが、正確には「福山大学生命工学部生物工学科酒類製造場」として税務署に届け出ています。場所は生物工学科17号館の醸造試験室になります。認められた部屋以外ではお酒を造ることも勝手に持ち出すこともできません(先の試飲いただいたワインは税務署に申告をして、酒税を納めてあります!!)。その場で「胃の中に入れる」という行為も持ち出しとなりますので注意が必要です。
醸造設備については順次導入しているところですので、試作品については手作り感満載です。以下に初めてのワイン醸造を振り返りながら、設備の紹介をしていきたいと思います。
赤ワインは房から一粒ずつ実を取ってから、このように手で潰しました。約70kgを潰すのは地味で大変な作業です・・・。後述の破砕装置が納入されましたので、今後は安心です。
糖度は約17%ありましたので、24%になるように砂糖を加えます。ここでワイン用の酵母を加えると、酵母が糖分をアルコールに変えてくれる訳です。アルコール度数は最終的に糖度の約半分、13%程度になります。
約1週間で発酵が終わったら(果皮ごと仕込むのはアルコールによって赤い色素が皮から抽出されるためです)、ザルで果皮を丁寧に除きます。これも大変な作業でしたが、今年は搾汁機が整備される予定です。
こちらは白ワインの製造です。この機械は「除梗破砕機」で、ブドウの茎の部分(果梗と言います)を除いた上で実を潰してくれる機械です。これがあれば一粒ずつ実を取り、手で潰す作業が必要ありません(嬉)。
白ワインは赤ワインと違い、先に皮を除いてジュースにしてから仕込みます。写真は洗濯ネットを使って果皮を除いているところです。今年は搾汁機が入る予定ですから、この作業も楽になります。
発酵が終わったら滓引きし、ほぼワインとして完成です。続いて酒税法で定められたいくつかの分析を行います。この装置はアルコール濃度を測定するための蒸溜装置と亜硫酸濃度を測定するための装置です。
本来でしたら赤ワインで1年以上、白ワインで半年以上熟成させてから瓶詰を行いますが、貯蔵のための設備はまだ整備されていません。そこでできてしまったもの(!)は取りあえず瓶詰することにします。写真はワインボトル専用の洗浄機です。
瓶詰作業。比重を測定して、750mlになるよう精密天秤で量りながら入れていきます。これも数が多いと大変ですが、半自動の瓶詰機が整備される予定です。
以上、福山大学ワインができるまでをざっと紹介しました。何しろ醸造所長からして初めての作業の連続でしたが、研究室の学生達が手伝ってくれたおかげで何とか試作品の完成までこぎ着けました。ゆくゆくは学生達だけでワイン醸造を行ってもらう計画ですので、そのための準備を今年も学科をあげて進めていきます。
ワイン醸造所長
吉﨑
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学長から一言:この手作り感。。。いいですね~。。。ぶどうの収穫に至る前の農作業も大変なようです。。。もちろん、授業での理論の勉強も。。。こちらは機械化できません!!