2017/08/24

仕事と生活をひとつに~平成29年度ワークライフ支援室セミナー~

こんにちは、薬学部の学長室ブログメンバーGoです。
ワークライフ支援室長を務める薬学部 杉原教授より一報が届きました!

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ワークライフ支援室では、男性も女性も学びやすく働きやすい環境と男女共同参画のより一層の推進を促すために、毎年ワークライフ支援室セミナーを開催しています。

今回は、講師としてTamada工房(株)代表 玉田 浩氏をお招きして、7月25日(火)16時30分から34201教室において開催し、総勢87名(教員9名、学生78名)の参加がありました。



本学は、平成19~24年の6年間、「Science Lab(サイエンスラボ)」(女子中高生の理系進路選択支援事業:文部科学省/科学技術振興機構)を実施し、女子中高生に理系科目の楽しさや理系進学後の将来を考える学習の機会を提供する事業を展開しました。


Tamada工房(株)はその事業に協力してくださった企業の一つで、街づくりの楽しさや女性技術者が女性ならではの感性を活かして、男性と同等に家づくりの仕事に携わっていることなど、授業や講演を通して、多くの中高生に夢を与えてくださいました。そのご縁で、この度、ワークライフ支援室セミナーの講師を依頼しました。

講演タイトル「仕事と生活をひとつに」は、ワークとライフのバランスを見直そうという動きの中で、一見逆行するような印象を受けました。しかし、セミナーの事前打ち合わせをおこなっていましたので、玉田氏のこれまでの体験に基づいた多くの貴重な示唆がこのタイトルには含まれていると期待しました。

学生達の中には玉田氏の立身出世の話として受け止めて、自分の将来に夢を膨らませた学生もいたかもしれません。それも意味のあることですが、「仕事と生活をひとつに」のタイトルに込められていたメッセージは、仕事に対して、人生を、日々の生活を、充実させ、周囲に幸せをもたらすような向き合い方をするということでした。




玉田氏は、8年前、47歳で起業したそうです。大学中退のため建築の専門知識や技能はなく、飲食業などのアルバイトで生活の糧を得ていた玉田氏にとって、起業に至るまでの道のりは平坦なものではありませんでした。まさに掃除係からのスタートだったそうです。

働く居場所を建築関係の場に持ちたいと思い、掃除係から始まる出直しを切らせた契機は、結婚だったそうです。そして、家族のために、懸命に働いたとのことです。50人、100人と失敗や挫折で同僚が消えていく中、家族や会社のために懸命に働いて生き残り、支店長という地位を得るまでになりました。まさに、努力の賜物として、働く居場所に得た安定した地位でした

しかし、一方、理不尽なことや未熟であるために弱者が切り捨てられ、多くの同僚が消えていったことには、保身のために目を瞑りました。それは、厳しい社会の現実の中で生きていくには当然のことと思っていたからだそうです。ところがある時、「仕事は楽しいか?」と尋ねられました。「本当の仕事をしているようには見えない」、「仕事を楽しんでいるように見えない」と。 利益をあげて会社に貢献していると自負していた玉田氏は、当初、その言葉の意味が理解できませんでした。

仕事の達成は、サッカーでは、ゴールにボールを入れることに例えられるかもしれません。仕事の達成を目指して、リーダーはゴールにむかってボールを蹴るように指示します。ボールをゴールに入れることを“やらされている”と誰かが思う仕事は、どこかに軋轢を生じています。そこで、リーダーは、ますます必死にボールをゴールに向かって蹴ることを連呼し、遅滞する仕事達成を促すことになります。しかし、それが、本当の仕事の仕方といえるのでしょうか。人生を、日々の生活を、充実させ、周囲に幸せをもたらす仕事といえるのでしょうか。ボールが勝手にゴールにむかって転がっていくような仕事の仕方があるのではないか・・・。

必死に頑張ってきたけれども気が付かなかった「本当の仕事とは?」への答えを玉田氏は探しました。仲間と心を通わせ力を合わせて仕事をすること、それは、仕事を超えた仕事になる。働く仲間が各人の特性を発揮できる職場、経験が浅く弱い立場の者が責任をとらされるのではなく、かばい合うことのできる職場は、大きな成果を生み出し、働き甲斐の幸せを拡散する。周囲を幸せにする。それが、「本当の仕事」であると。その後、「本当の仕事」をしたいと理想を掲げて、その夢を実現するためにたどり着いた結論が、起業することでした。「夢は想い続ければ実現できる。学生の皆さんのような若い人達は、夢をもって頑張ってほしい」というエールが玉田氏から学生達に送られました。

玉田氏は、卒業生の就職先の企業として、本学教職員に伝えたいことがあったようですが、残念なことに、教職員の参加は極めて少ない人数でした。「学生達にとって、教職員は最も身近な社会人です。学生達は、日々、教職員の働く姿を見ています。教職であっても事務職であっても教育に係わる仕事ですから、学生達に楽しく働く姿を見せてほしい、仲間と力を合わせると強くなり、難題に立ち向かえることを、教職員自ら学生に示す教育をおこなってほしい」というメッセージを教職員に残されました。どんな立場や業務であったとしても、自分自身が及ぼすことのできる学生へのより良い教育効果を常に念頭に置きながら仕事に携わることは、「仕事を超えた仕事のあり方」かもしれません。

職種は違うけれども、玉田氏の仕事の流儀には多くの示唆が含まれていました。参加者の多くから、分かりやすかった(93%)、参考になった(91%)と回答がありました。学生からの感想が主ですが、アンケートに回答のあったセミナーへの感想を以下に記します。

・いろんな考え方を知ることができました。ありがとうございました。
・代表の過去の話がこれからの考えとして参考になった。
・こういうセミナーは、どの年齢の人にもためになるので開催するべきだと思う。
・自分のやりたいことを職にしたいと思えた。
・今後に生かすことのできる話でした。ありがとうございました。
・将来のためになりました。ありがとうございました。
・社会の厳しさと社員同士の支え合いがあってこそ経営もうまくいき生活も充実するという事がわかった。
・共感するところが多く大変参考になった。ワークとライフの大切さが知れた。
・自分も目標があるとは言えず、今日に話には非常に感銘を受けた。
・夢のある話が聞けた将来に希望が持てました。
・今回のセミナーを通して学んだことは、社会に出た際には、仲間と力を合わせ、互いに支え合いながら強く生きていくことです。とても参考になりました。
・資料が見えにくかった(見えなかった)のは残念でした。色々な人生の話が聞けて良かったです。失敗から学ぶこと、熱意を持つ事の大切さが分かりました。

ワークライフ支援室(男女共同参画推進室)

学長から一言:私たち教職員は、学生にとって、働き方、生き方のモデルになっているという自覚をいつも持って行動しないといけませんねッ!玉田様、ありがとうございました!