近年、自動車の自動運転技術の急速な進展に世間の注目が集まってきています。自動運転車を自作可能な技術情報の公開なども始まっており、アメリカの大学生がわずか8万円で自動運転車を開発したというニュースも出てきています。それならば我が福山大学でも自動運転の開発を!と、自動車に関心の深い教員が集まって会議を開きました。
しかし、自動運転は最先端技術の総結集といっても過言ではなく、簡単なものではありません。どうしたらそれが実現できるのか、自動車メーカーの最新情報なども交換しながら意見を交わしました。
青いユニフォームは、機械システム工学科で自動車やものづくりの実習授業を担当している山下助手と技術職員の佐長、八木、手嶋氏です。手前の黒ジャンパーは、自動車の安全技術が専門の関根准教授、奥の灰色ジャンパーは交通工学が専門の小林講師です。みんな自動車技術に通じたプロの研究者・技術者たちです。
白シャツ縞ネクタイの人物は、特別にスマートシステム学科から出席した沖准教授です。沖准教授は制御工学が専門で、自動車の制御にも造詣が深い研究者です。そしてカメラマンのため写真には入っていませんが、自動車工学と制御工学を専門とする私、内田もいます。
以上の専門家が集まって、「自動ハンドルや自動ブレーキの構造はどうしたらよいだろう」、「前方の危険を検知するレーダーはどうやって入手する?」、「いや、レーザーや超音波を使う手もあるよ」などと、白熱した議論を交わしました。
機械システム工学科では現在、小林講師を中心に小型車「ママモビ」を開発中ですが、福山大学版自動運転車は、このママモビに自動運転の機能を追加する形で造る方向で検討しています。
下の写真が、現在開発中のママモビです。バイクを改造した小型三輪自動車で、目下、機械システム工学科の生産加工実習室と自動車実習工場で、着々と製作が進んでいます。
ママモビは、子育て中の母親などを支援するための「地域の足」となることをコンセプトとして開発中のもので、地元企業などから早期完成が待望されています。
今回の会議で議論した自動運転車は、このママモビに自動運転の機能を付加することによって、社会問題になっている「買い物弱者(自家用車も公共交通機関もないため外出が不便な高齢者など)」を解消したり、最近増加している高齢者の運転ミスによる自動車事故を防止したりするなど、地域社会への貢献度をさらに高めることをねらいとしています。
会議の結果、ママモビをベースとする福山大学版自動運転車のシステム構想は、下の図のようになりました。
このシステムでは、電動化したエンジン、ハンドル、ブレーキなどを、車両コントローラが電子制御します。またカメラとレーダが、他の車両や歩行者、道路の幅や形状を認識するセンサーの役割を果たします。自動運転の中枢は「自動運転コントローラ」で、これと車両コントローラ、レーダが高速のデータ通信線で情報をやり取りしながら、全体的な自動運転の機能を果たします。
自動運転車開発構想はまだスタートしたばかりですが、早速、海外からの部品調達など、具体的な動きを始めています(購入手続きの面で工学部事務室に大変お世話になっています)。
ハードルは高く、先は長いですが、福山大学には自動車の専門家がそろっているので大丈夫、かならず実現できます! 課外活動の学生プロジェクトでもありますので、最先端技術に関心のある学生、知的好奇心旺盛な学生のみなさんは、ぜひ参加してください。
他学部、他学科の人も大歓迎。携帯ゲームより、絶対面白いですよ。
学長から一言:私は半径3キロ以内に牛乳1リトルパックや納豆レベルの商品を売っているお店のないところに住んでいる、立派な買い物弱者!?! 自動ババモビを早く完成させてねッ!!!