2013/11/27

第4回教養講座~クラリネット、篳篥,or 尺八 + ピアノ~


こんにちは。学長室ブログメンバーのWです。

18日(月)10:30~ 第4回教養講座が開かれました。
青木人間文化学部教授が司会を務め、講演者の紹介。
そして、「感性を磨いて聞きましょう!!」と一言。



クラリネット奏者トーマス・ピアシー氏とピアニストで福山平成大学准教授の伊藤憲孝氏とのセッション、アストル・ピアソラの「悪魔のタンゴ」で講演が始まりました。
いきなりの激しいリズムと超絶技巧に圧倒されました。


まず紹介されたのは、篳篥(ひちりき)。
意外に小さい・・・。
6世紀頃中国から日本に伝えられたそうです。
いかにも「雅楽器」というような音色が聞こえてきました。
リードが1つのクラリネットとは違い、篳篥はリードが2つで、非常に小さい穴に息を通すように吹くそうです。演奏は難しいようです。その篳篥とピアノのセッションです。



神社などで流れているような音色で、情緒あふれる演奏でした。
その後、学生に篳篥を体験してもらいました。
どんな管楽器もそうですが、はじめは「フー」とスカスカの音しか出なかったものが、少し教えてもらうと見事に「プゥォー」という音を出すことができました。「ムズカシイ・・・」、「唇が振動して気持ち悪い」と、感じたままを言葉にしてくれて、体験できなかった学生の皆さんにも「感じ」が伝わったのではないでしょうか。

次のプログラムは「Four Colors」。
Four Colors」はピューリッツァー賞およびグラミー賞を受賞したネド・ローレム(Ned Rorem)によるクラリネットとピアノのための唯一の曲で、ピアシー氏のために作られた曲だそうです。
ローレム氏の生誕80歳記念コンサートで初めて演奏されたそうです!!
その場所が・・・なんとあのカーネギー・ホール!!



1楽章は飛んだり跳ねたりといった感じで、情熱的な演奏でした。一転、第2楽章では流れるような叙情的な演奏で、雲がたなびく空を見ているような、すがすがしさを感じるような内容でした。そして第3楽章では、ゆったりとしていて、海底にいるような感覚を覚えました。第4楽章、活動的で活発なイメージの演奏でした。
そういえば、伊藤先生が演奏前に「色をイメージして聞いてください」と言われていたことを思い出し、自分なりに色のイメージを当てはめてみました。
私のイメージは・・・
1楽章は「赤」、第2楽章は悩んだあげく「緑」、第3楽章「深い青」かなぁ、第4楽章「黄」か「オレンジ」だろうなぁ

さて、答えは・・・・・・
    第1楽章は「赤」(やっぱり!!)・ 第2楽章は「白」(あ、そっち!?)・ 第3楽章は
    「青」(そうそう!!)・ そして第4楽章は「オレンジ」(おっ!!

私の結果は・・・・・・
演奏者(と作曲家)のメッセージを少しは受け取れた。
・・・としておきましょう。


そして、尺八の出番です。尺八も7世紀頃に中国から伝来したもので、エアリードといって、リードがない楽器です。私は、どうも尺八の音を聞くと、虚無僧(こむそう)が竹藪で吹いているようなイメージを抱いてしまうのですが(尺八が竹からできているからというわけではなく)、なぜでしょうか? 何か、余韻の妙のようなものを感じてしまうのでしょうか?



体験した学生も「フーフー」と全く音が出ない・・・

それもそのはず、世界屈指のプロ奏者であるピアシー氏でさえも尺八の音の出し方をマスターするのに2日間かかったそうで、今回体験した学生と同じく、最初は音を出すことすらできずに「クラリネットはすぐに音を出せたのに、尺八はなぜ出せないのか」とフラストレーションがたまったそうです。

その経験からか、「フーフー」と鳴らして(?)いる学生の尺八にリードをつけると・・・「フゥオー、フゥオー」と音が出るようになりました!!


そして、クラリネット演奏に戻ります。演奏される曲は、長尾淳作曲の「Your Kindness」。ガーシュウィンの曲が大好きだった長尾氏の友人が亡くなられた時に作られた曲で、元々はアルト・サクソフォン(アルト・サックス)とピアノのための曲だそうです。
そう言われてみると、「ラプソディー・イン・ブルー」(みなさんにとっては映画やドラマ『のだめカンタービレ』でおなじみの?)のような響きもあるかなぁ・・・?



最後に、ピアシー氏の長年の相棒、クラリネットの紹介です。
18世紀、ドイツの楽器製作者ヨハン・クリストフ・デンナーが制作したと言われています。

学生にも体験してもらいましたが、篳篥、尺八と同じくあまり音が出ませんでした。
何でもはじめは難しいものです。


クライマックス。講演はじまりの激しいイントロとは違い、楽しかった思い出に浸るような、時に郷愁を誘うような、それでいて時に踊るような音色のタンゴが演奏されました。曲名はピアソラの「ル・グラン・タンゴ」。


私自身、ブログ用に写真を撮るのを忘れるくらい聞き入ってしまいました。
今回の講演で「Four Colors」と「Your Kindness」についてピアシー氏と伊藤氏が説明してくださったように、楽曲それぞれにある作曲の背景を知るとより深くその曲を理解でき、その作品の世界観に浸ることができます。

今回は脇役に徹していただいた伊藤氏のピアノが奏でる音色も美しかったです。
ピアノも時に激しく、打楽器のような役割も果たしていました。

ピアソラで始まりピアソラで終わる、まさにモダンな演奏会で、構成もすばらしく、音楽の魅力が十分に伝わるような講演でした。
結果、後味のよい、美しい余韻に浸れる演奏会になりました。

さいごに、青木先生のお言葉を思い出してみましょう。
トーマス・ピアシー、伊藤憲孝両氏の演奏を聞いて、感性を磨くヒントを得られたでしょうか?


学長から一言:「悪魔のタンゴ」には、本学のグランドピアノも悲鳴を上げていましたが。。。学長の仕事を忘れて、至福の90分でした。。。これぞ「The 教養!」