今回は、福山大学で飼育されているコブハクチョウの小屋のbefore afterの話です。福山大学の敷地の中央あたりに青池という名の池があります。この池は流域面積が小さく降った雨の流入量が少ないため富栄養化が進んで、いつも緑色(青色)をしています。そのことから青池と言う名が付けられたものと思われます。
この青池にコブハクチョウのペアが飼育されています。ペアですから毎年卵を産みますが、その都度イタチや青大将などの外敵に食べられて孵化まで至りません。今年も卵を三個ほど産んでいて孵化を楽しみにしていましたが、やはり外敵に食べられてしまいました。
と言うのも、現在のコブハクチョウの小屋は老朽化が進んだことと浮体構造物が故の搖動を防ぐために接岸されており、外敵は岸沿いから侵入できる状態にあります。したがって、せっかく生んだ卵は外敵の格好のエサになってしまいます。
そこで、外敵からコブハクチョウの卵を守るために新しく立派な小屋がユニック車で運び込まれました。小屋はユニック車で吊られてゆっくりと青池に浮かべられました。柱はヒノキで板壁は杉の木で作られています。入口以外の3面の窓は外敵の侵入を防ぐために金網でおおわれています。
小屋の床底下部には大きな塩ビパイプの両端を塞いだウキが5本取り付けられています。この浮体構造により小屋は安定して浮かんでいました。作業者が一人乗り込んでも沈みませんでした。入口には可動式のスロープが取り付けられていて、コブハクチョウはこのスロープを上って小屋の中に入ることが出来ます。古い小屋の傍までの小屋の曳航は池の深さが中央の深いところでも1.5mぐらいですので人力で行いました。
小屋は卵を岸辺から狙う外敵から防ぐために、池の中央へロープウェイのようにして移動できるようにします。そのためロープを対岸まで渡しました。
使用したロープは新幹線印組ロープと言って細いのにもかかわらず耐久性があり、強度の大きいロープを用いています。
ロープは手前の岸では杭の輪に通され、対岸では輪に滑車が付いており、引っ張ったり繰り出したりするロープの抵抗が小さくなるようになっています。したがってロープを最後まで引っ張れば小屋は池を横断することが出来ます。写真は小屋が池の中央に位置した状態です。
いずれ小屋の定位置は池の中央となりますが、コブハクチョウが新しい小屋に慣れてもらうために古い小屋の傍において引っ越ししてくれるかどうか様子を見ることにしました。
コブハクチョウは自分たちが今まで利用していた小屋と将来自分たちが利用する小屋を遠くから警戒しながらも興味深くその様子をうかがっていました。
コブハクチョウ小屋のbefore afterでした。
学長から一言:さすが、構造材料開発研究が専門のNさん。。。視点が鋭い!! で、今朝様子を見に行ったら、2羽の白鳥は、古い方の小屋に仲良く座り込んでいました。。。新しい方は学長のお昼寝小屋においといてくれているのかなッ!?!