2015/06/23

薬学部 金尾教授が,日本薬剤学会優秀論文賞を受賞!

こんにちは,

2015年度日本薬剤学会の英文誌Journal of Drug Delivery Science and Technology(JDDST)において,薬学部薬物動態学研究室の金尾義治教授が優秀論文賞(1名)を受賞しました!
 
金尾教授からのレポートを,学長室ブログメンバーの薬学部 “ M ” がお伝えします.

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日本薬剤学会の優秀論文賞は,著者が応募するのではなく,掲載論文の中から審査委員会で選考されるもので,2年に1回行われます. 日本薬剤学会第30年会(2015年5月21日~23日於長崎市)の総会の席上で会長より賞状と副賞を授与されました.


論文の題目:
「Nanoparticles of hydrophobized cluster dextrin as biodegradable drug carriers: solubilization and encapsulation of amphotericin B」(疎水化クラスターデキストリンを用いたアムホテリシンB内包生分解性ナノ粒子の調製と評価), JDDST, Volume24, Issue4, 2014, Pages344-351
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S177322471450072X

論文の概要:
水溶性高分子に疎水基を付加すると自己会合性のナノ粒子を形成します. 本研究では,「クラスターデキストリン®(グリコ)」の生分解性に着目し,形成したナノ粒子中に難水溶性の抗真菌薬「アムホテリシンB」を内包させました. アムホテリシンBは水にも油にもほとんど溶けない厄介な化合物ですが,ナノ粒子中に極めて安定に溶解・内包され,新規静注用製剤を試作することができました. クラスターデキストリンはデンプンと同じく生分解性があり,体内で役目を終えると元の素材であるブドウ糖に分解してしまうという特徴があります.

研究の来歴:
著者らは,いち早く高分子の医薬品製剤への応用に注目して研究を行ってきました. 素材の高分子のそのものの体内動態・毒性評価はもとより,抗癌剤を始めとする医薬品との組み合わせで主薬の特性を引き出し,患者のQOL(Quality of life)改善へと導く製剤化の試みを行っています. 近年,様々に開発される医薬品はその多くが水難溶性の化合物で,これらの製剤化のために高分子ナノ粒子に封入する試みも数多く見られるようになりました. 現在は様々な高分子ナノ粒子を調製し,静脈内投与はもとより,消化管投与や局所投与への応用研究も進めています.

本論文の選考委員会講評(会報2015年5号(9月号)掲載予定):
「高度に分岐した環状のデキストリンであるcluster dextrinを用いて難溶性薬物(アムホテシリンB, AmB)の溶解性向上,薬物送達効率の向上,さらにはAmB由来の溶血毒性改善を達成し得る生体適合性の高い薬物送達キャリアの素材を新規に合成し,丁寧な実験検討によってその有用性を明らかにしている. 新規性,独創性,洞察力の点において優れており,実用化されれば,患者のQOL向上に大きく寄与すると考える.」

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この朗報をもって,学長室を訪問しました!

松田学長,熱心に,論文へ目を通され,

研究内容や授賞式の様子などについて,会話が弾んでいました.

最後に,優秀論文賞受賞報告の記念撮影.


学長から一言:金尾教授、おめでとうございます。。。とっても学生の面倒見がよくて、学生とよく因島キャンパスで泊まり込みゼミを開き、早朝から近隣のハイク、。。。という教員ですが、。。。大学教員の教育力の素は研究力!!!