一雫一雫に、重みを感じる雨が降る。
梅雨の尾道も、なかなかに素敵だっ。
先日、西國寺へ行った。
とても閑かで、厳かな空気感に包まれる場所。
ながい石段を、一段一段、自分の足で踏みしめる。
雨に濡れたこの石段で、図らずも、足を取られそうになった。
「人生とは、こうゆうものなのかもしれない」と、
この石段の一段一段が、
なにか「人生」のようなものに想えた。
すべての石段を昇り終え、
おもむろに振り返ったぼくの眼下には、
うつくしく、淡い色彩に彩られた風景がひろがっていた…。
「ぼくの人生」…
この最後に、こんな素晴らしい風景をみることができるように、
“いま”を、ちゃんと生きてゆこうと思った。
そして、この「人生」のようなものは、
なにも“石段”だけではない。
“岳(やま)”も、これに例えられる。
因島キャンパスに在る附属水族館マリンバイオセンターのとある水槽に、
ひとつの“岳”が聳える。
タマカイとホンソメワケベラという魚が
あたかも、のんびりと暮らしているかのように見える水槽のなかに、
その“岳”は在る。
名付けて・・・「しまなみ岳」
今朝、この水槽内を何気に眺めてみたら、
しまなみ岳を登る一匹のクボガイが居た。
彼か彼女かは定かではないが、
この一匹のクボガイが
しまなみ岳の3合目あたりを這い上がっている。
まるで、ロック・クライミングをしているかのように、
この岳のサミットを目指していた・・・。
しまなみ岳にアタックを掛けるクボガイ・・・魚は「タマカイ」 |
そしてそのとき、
このクボガイを眺めるぼくのなかに、
学生をみつめる眼差しのようなものを覚えた。
「がんばれ。がんばれっ」と、呟くぼくが居る。
この岳を「人生」に例えるには、
いささか低い感も有るにはあるが、
この水槽内では
ほどほどの「岳」である。
この“しまなみ岳”が
彼ら学生の目指す頂きであるならば、
この山頂の目的地へ向かって
彼らのスタンスで
一歩一歩着実に
その歩みを確かなものにしてもらいたい・・・
ときには道草をし、
ときには振り返り、
ときにはその歩みをとめて、
いま置かれている“まわり”を
じっくりと眺めて欲しい。
まわり道のある人生は、
味のある人生へと旨みを添える。
彼らのサミット・・・「夢」
「夢をもて」と云うのではなく、
“夢の見方”を彼らに教えてあげられたら・・・
おこがましくも、こんなことを思いながらぼくは
再び、クボガイを見つめた。
そのとき、このクボガイは
丁度、しまなみ岳の山頂に辿りついたところだった。
しまなみ岳に登頂したクボガイ |
(海洋生物科学科 Kenji♪ 記)
追記・・・
因島キャンパスには、附属の水族館マリンバイオセンターが在ります。
水族館では、瀬戸内海に棲息している魚介類をはじめ、
熱帯や亜熱帯域に棲息している生きものたちを飼育展示しています。
海洋生物科学科のアクアリウム科学コースでは、この水族館施設を利用した飼育実習を行っています。
また、水族館は無料で一般公開しています。是非、足をお運びください。
来館をお待ちしております。
<水族館の在る因島キャンパスの連絡先>
広島県尾道市因島大浜町452-10
TEL: 0845-24-2933(代)
水族館のHP:
http://www.fukuyama-u.ac.jp/life/marine_bio_center/htmls/suizokukan.html
学長から一言:思わず「がんばれクボガイ!」と言ってしまいましたが、そばにいるタマカイの表情は。。。ちょっと読めません。。。
学長から一言:思わず「がんばれクボガイ!」と言ってしまいましたが、そばにいるタマカイの表情は。。。ちょっと読めません。。。