2013/06/04

出席管理システム2

ブログスタッフのKM@情報工学科です。
私の前々回のブログ記事で「iPadを使った出席管理システム」について紹介しました。あのときはまだ開発途中で、実際に出席を取って管理することはできませんでしたが、やっとテスト運用ができるところまで実装が完了しました。とりあえず動くところまでなら半年前にできていたのですが、そこから実用的に使えるようにするまでのチェックや調整、細かい機能の追加など地味な作業に多くの時間と労力を費やしました。アプリ開発はこの後半の細かい調整が非常に重要で、ここを時間をかけてしっかりとやっておかないと、ユーザーに使ってもらえない、完成度の低いアプリとなってしまいます・・。
このシステムは、2~3年の開発計画で作業を進めているのですが、初年度の目標とする機能の実装はなんとか完了することができました。そして、今年度の4月から実際に私の講義でテスト運用中でして、データを蓄積しつつバグのチェックと微調整を行っているところです。

というわけで、今回は「出席管理システム」の紹介の第2弾です。

前回のブログ記事では、学生が出席を登録する様子を紹介したと思いますが、今回は出席を管理する先生側の操作について紹介したいと思います。

前回の「出席管理システム」のブログ記事
 http://blog.fuext.fukuyama-u.ac.jp/2012/11/blog-post.html
出席管理システムのヘルプのページ
 http://fuku.b.la9.jp/att/index.html
出席管理システムのデモ動画
 http://youtu.be/lv6Gjm9xs5M

トップ画面にある右上の [先生画面へ]ボタン をタップすると、先生の管理画面に移行します。
本システムは学生が出席登録をするときに、iPadで自分の顔を撮影しないと出席登録できないしくみにしています。顔画像が保存されると、学籍番号、氏名、講義名、出席登録時刻も同時に記録されます。下図は画像データを閲覧・管理する画面です。
これは私の授業で実際に出席をとったデータです。個人情報保護のため、顔画像と氏名にはぼかし処理を施しています。講義名や日時を指定したり、学籍番号を指定すれば写真の表示を絞り込むことができます。次の図は学籍番号を指定して表示した例です。
この顔画像の閲覧機能は、単に出席管理のためだけでなく、学生の顔と名前を覚えるのにも非常に役に立つという副産物もあります。先生には嬉しい機能ではないでしょうか(笑)。
出席状況の確認は、この写真データを基に出席シートを作成して行います。出席シートはエクセルのワークシートのような構造で、さらにシートの拡大縮小が自由にできるようにしました。下図がその出席シートを表示した画面で、左側が縮小した状態、右側が拡大した状態です。縮尺がわかるようにiPadの画面にはめ込んでみましたが、文字の大きさなどが実感できるでしょうか?
出席シートは学籍番号と氏名、続けて各回の情報が並んで表示されます。セルをタップすると、出席の記録があればそのときの顔写真と記録日時、氏名などが表示されるので、出席の確認を行うことができます(下図)。
講義の回数は自由に設定することができるようにしています。100回でもOKです。また、講義時間も各回ごとに指定できるようにしています。基本的に大学の講義は「何曜日の何限目」というように毎週同じ時刻に行われるものですが、不規則な日時にも対応できるようにしました。実を言うと、この処理をどうするかが苦労したところで、アプリの設計で時間がかかった部分でした。下図は講義の日付と時刻を編集している画面です。各回の日時を設定し、その後で出席シートの集計を行います。各回の開始時刻から終了時刻の間に顔画像の記録がある場合は、そのセルに"○"のマークが表示されます。
出席シートはCSVファイルに出力することができるので、CSVファイルをパソコンにコピーすればエクセルで開くことができます。次のバージョンアップでは、CSVファイルをオンラインでサーバーに送ったり、大学の出席管理システムと連携したりと、より便利で簡単にデータのやりとりができるようにする予定です(^^)。

また、授業中の出席登録手続きにかかる時間ですが、iPadを1台使って50人ほどの学生で30分弱の時間がかかることがわかりました。学生の多い講義は、2台以上のiPadを同時に使用しないと、出席登録に時間がかかりすぎて遅刻の判断ができなくなります。
次のバージョンでは複数のiPadで連携できるようにする必要があります・・・が、これもプログラミングが大変そうです・・。

前期の授業も半分ほどが終了し、今のところ大きなトラブルやバグは発生していません。使い勝手も良好で、出席の確認も簡単です。このシステムを使うことで、先生の負担を減らし、教育の質の向上に役立てばいいなぁ・・と思いつつ、さらなる改良に臨みたいと思います。


学長から一言:これはすばらしい! 「水とアプリはただ」なんて思っている人、この苦労に思いをはせましょう!