2012/09/25

10.2.石田芳夫24世本因坊が福山大学に来校!

福山大学では、学生の人間力涵養のために、そして文化を通しての地域貢献を目的として、年に数回、教養講座を学内で実施しています。
今年度は、時間についての講演から始まり、上海戯劇学院による京劇(中国舞踊)やプロのバイオリニストによるバイオリン観賞会等を、すでに開催しました。

大学会館で行われた教養講座での京劇。飛び入りの学生が壇上で練習。 
今年度の第4回目の教養講座は、来る10月2日10:30から本学、大学会館で行われます。
今回は、囲碁がテーマでして、なんと石田芳夫24世本因坊が来校されます。
囲碁と福山の関係は深く、本学でも今までイベントに積極的に参加してきました。こちら。


さて、囲碁と聞いてもピンと来ない学生も多いかもしれません。かくいうブログスタッフの一人は囲碁と五目並べの違いも分かっていないという説も…

そこで、今回は囲碁の魅力について、学内はおろか県内囲碁最強(?)の呼び声も高い、経済学部の尾田教授から以下のエッセイを寄稿していただきました。




碁の魅力いろは

国際経済学科 尾田温俊
い 勝利の喜び
一アマチュアから見た碁の魅力について述べたいと思います。第一は、やはり「勝つ」喜びでしょう。勝利を味わうために碁をしていると言っても過言ではありません。終局近くとなり自分の勝ちを確信できたときなど、ややもすると思わず頬が緩みがちですが、目前には負けた相手がいるわけですから、あからさまに喜んでは相手に失礼です。その塩梅が難しいところです。逆に、たかが碁ですが、負けるとひどく堪えます。敗れる時は、それまで苦心して営々と積み重ねてきた努力が全く損なわれる悲劇の瞬間があります。まさに、碁盤をひっくり返したくなるのはたいていがこのような心理状態の時なのです。
なぜ勝つことに執着するのかと言うと、碁は本質的に生死を巡る戦争ゲームで、絶え間なく駆け引きをしなくてはならないからです。最終的には領地の大小で勝敗が決まりますが、そこに到着するまでは戦闘の連続です。したがって、大切なのは、激戦の最中でも、自分に有利な状況を実現できるように、冷静にゲームを進めることが出来る自分がいるということです。些細なことで動揺したり、あるいは感情的になったりしますから、自分をコントロールすることはとても難しいです。勝利が嬉しいのは、喜びの中で、この心理的苦境を脱して安堵感に浸ることができるという面が大いにあります。

ろ 手談の楽しみ
「碁は手談なり」と言われます。手の会話ということです。「目は口ほどに物を言い」という諺がありますが、手だって負けてはいません。実は、手が手話のように雄弁に話をするのではなく、碁石の着手の意図を推し量るとそのように表現できるということです。例を考えてみました。黒石氏「このまま何もしないと簡単に負けてしまうから、多少危険でも踏み込みますよ」対して、白石氏「おいおい、無茶をするなよ、ずいぶんと強引だね、少しは遠慮しなさいよ、ホントに怒りますよ私は」などは毎度お馴染みの光景でしょう。白石はこの時、湯気を出しているかも知れません。別の例。黒石氏「あなたにはこちらの地を差し上げますから、私はそちらの地をもらえませんか」、白石氏「とんでもない、そうは問屋が卸しません。あなたはいつも約束を守らないんだから」と、このように、碁は手談であり、碁盤に置かれる石は、言葉以上の意思を示し、碁打ちはこの会話を楽しみます。

は 遊びの効用
碁の別名は爛柯(らんか)です。この言葉は、中国の昔の時代、木こりが森の中で碁を見ているうちに、気がつけば、斧の()(くさ)っていたという故事に由来し、碁の別称となっています。恍惚の状態で、時が経つのを忘れさせてくれるのが碁の良いところです。朝から晩まで、現代の忙しい日々を生きる自分にとって、一日の中に僅かでもこのような時間を持つことができることを感謝しています。おっと、抱えている鞄が(くさ)ってないか要注意です。


ということで、ブログスタッフの私にも、囲碁の奥深さが少しだけ分かったような気がします。ところで今回講演をしてくださる本因坊とは囲碁の世界でどのような方なのでしょうか?
この点についても学内の別の囲碁の猛者から以下のエッセイを寄稿していただきました。



囲碁界には日本七大タイトルと呼ばれる次のタイトルがある。

棋聖(読売新聞社主催)

名人(朝日新聞社主催)
本因坊(毎日新聞社主催)
天元(新聞三社連合主催)
王座(日本経済新聞社主催)
碁聖(新聞囲碁連盟主催)
十段(産経新聞社主催)
序列は賞金額で決まり、現在は上記の順序である。名門読売巨人軍のバックにいる読売新聞がトップである。やはり巨人軍は永久に不滅であるというのもうなずける。
さて、本因坊であるが、創設は1939年で、七大タイトルの中で一番古い。
が、それだけではない。
本因坊はタイトル名だけではなく、本因坊家という家元がある。
本因坊家は一世本因坊算砂を開祖とする家系で、算砂は、信長、秀吉、家康に使えていた。
二十一世まで、家元制で続いてきたのであるが、二十一世本因坊秀哉は、本因坊の名は棋界随一の実力者が名乗るべきものであるという思いから、日本棋院に本因坊の名跡を譲り、家元制から実力制に移行し、本因坊戦のタイトルが出来た。
その後、様々なタイトル戦が出来て、愛好家が二百数十万と言われるまで囲碁界が大きくなるきっかけとなり、二十一世の英断と言える。
余談であるが、一世本因坊算砂は、天正6年(1578年)織田信長に「そちはまことの名人なり」と言わしめ、これが「名人」という言葉の起こりとの事である。

ということで本因坊とは由緒あるタイトルでとてもすごい人ということのようです。
地域の方の参加も大歓迎ですので囲碁に興味のある方も無い方もこれを機会に奥深い囲碁の世界に触れられてみてはいかがでしょうか!?
(問合せ先 学務部教務課 TEL 084-936-2111(代))
http://www.fukuyama-u.ac.jp/kyoumu/material/2012kouza4.pdf
http://www.fukuyama-u.ac.jp/kyoumu/


学長から一言: これを機会に、学友会に「囲碁部」ができたり(すでに同好会あり)、共通教育科目に「囲碁入門」ができたりしそうで、講演の後も楽しみです。