2012/11/19

おいしいご飯の炊き方

先日は「食欲の10月」で食べ物の話題をお送りしました。今回も食欲の秋にちなんだブログの第2弾として、お米の研究者で元気印のN博士に「おいしいご飯の炊き方」についてレクチャーしていただきました。

 こんにちは、生命栄養科学科のNです。 今週の金曜日は、国民の祝日、勤労感謝の日です。勤労感謝の日は、1948年に「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日」として制定されました。しかし、1948年より前から11月23日は、祝祭日だったことを皆さんはご存知ですか? 実は、11月23日は、新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)というお祭りの日なのです。新嘗祭とは、古くから伝わる重要な祭儀で「瑞穂の国」の祭祀を司る最高責任者である大王(おおきみ、天皇)が、その年に採れた新穀を天照大神をはじめとする天地の神に供えて、農作物の収穫に感謝すると共に、自らも初めて召し上がられる祭典です。つまり、昔は、新嘗祭が終わらなければ何人も新米を食べることが出来なかったのです。 時が流れた現代では、9月に入るとスーパーでは新米という言葉が躍り、新嘗祭を待たなくても美味しい新米をいただくことができますが、収穫時期の遅い米も店頭に出揃う11月のこの時期に、皆さんも農作物の収穫に感謝しながら新米の美味しさを堪能されてはいかがでしょうか? そこで今日は、新嘗祭を前に、お米、特に新米を美味しく食べるコツについてご紹介したいと思います。


第1のポイントは、洗米です。皆さんは洗米の際、ガシャガシャ、ギュッギュッと米を研(と)いでいませんか? 米を激しく研ぐと、米に傷が入り、米が割れてしまいます。米が割れると炊飯時に米の主成分である澱粉(でんぷん)という成分が過剰に米粒の外へ出てしまうため、ベタベタとしたごはんになってしまいます。したがって、洗米は、米を水に浸した状態で5~6回かき混ぜて水を捨てるという操作を2~3度繰り返すだけで、決して激しく研がないようにしましょう。水を2~3度しか変えないため水は白濁しますが、白濁している原因は糠ではなく澱粉ですので、甘みのあるごはんに仕上げるためにも澱粉を捨て過ぎないことが重要です。

第2のポイントは、加水量です。通常、米を炊く時の加水量は、米重量に対して1.3~1.4倍量の水を加えますが、古米は水をやや多めに、新米はやや少なめにして炊くと良いという話を聞いたことはありませんか? 新米は、古米に比べて水分が多く、吸水率も高いため、澱粉が糊になる(米がごはんになる)ために必要な水分量が少なくてすむのです。したがって、新米の加水量は、通常の加水量に対して1割程度減らすと良いでしょう。

 例) 3合の米を炊く場合の加水量
     150 g(1合)×3=450 g(米重量)
     450 g(米重量)×1.35倍(通常の加水量)×0.9(1割減)=約550 mL 


第3のポイントは、炊飯後の蒸らしと混ぜの操作です。炊飯器によっては蒸らしまで行ってくれるものもありますが、その機能が無い場合や土鍋での炊飯の場合には、10~15分程蒸らしてください。また、蒸らし終わったごはんは、ごはん粒を潰さないように気をつけながら混ぜておきましょう。これは、ごはん粒の内部まで水分をいきわたらせるためと、余分な水分を飛ばすためです。余分な水分があるとごはんが水っぽくなり、べとついてしまいます。

第4のポイントは、余ったご飯の保存方法です。1度に食べきることのできない量のごはんを炊く場合には、炊飯後すぐにラップに取り、粗熱をとった後、冷凍保存してください。余ったご飯を冷蔵庫で保存すると、澱粉が老化という現象を起こし、硬く、粘りの弱いごはんになるので注意して下さい。

今日は、お米を美味しく食べる上で大切な4つのポイントについてご紹介してきました。新米が出揃うこの季節に上記の4つのポイントに注意して、いろいろな品種のお米を試してみてはいかがでしょうか。きっとあなた好みのお米が見つかるはずです。


(N博士と一緒に研究している4年生二人も、ご飯のプロフェッショナルを目指しています。)


学長より一言:今晩は,おいしい新米ご飯にしま~す!