2012/10/23

三蔵祭をめぐる三幕(1)

第一幕 初日

登場人物
センセイ 経済学部講師
ユリエ 経済学部4年生
リュウイチ 経済学部4年生

ユリエとリュウイチは,学園祭の雰囲気とはかけ離れた1号館5階の暗い廊下を歩いている。 研究室ではセンセイが電動シェーバーでヒゲを剃っている。

リュウイチ 先生こんにちはー。今日も採点の仕事あるんですか?
センセイ あるにはあるんだけど,今日は学祭の初日だし,せっかくだから仕事の前にちょっと見て回ろうか。
ユリエ 本当ですか?アハハハハ!
リュウイチ ええ.いいですよ。

3人,1号館を出て広場のメインステージを横目に見ながら歩く。

リュウイチ で,なに見て回るんです?ていうか人少なくないっすか?
センセイ 今日は学内公開日だからね。
ユリエ あそこ,なんかやっとるよ。
センセイ 朝からフルーツバスケットとかやってて楽しそうだったよ。
リュウイチ え!?朝からフルーツバスケット!?どういうテンションなんだ。
ユリエ アハハハ!楽しそー。
センセイ でもやっぱり三蔵祭初日といえば餅つきだよ。福大名物,餅つき。あっちでやってるよ。
リュウイチ もちろん知ってますけど。

3人,図書館前へ移動する。

ユリエ めっちゃついとる・・・。
リュウイチ ついとるね・・・。
ユリエ わたし,餅つき初めて来た。
リュウイチ そうなんだ。しかも俺ら4年だから知ってる人がいないね。
センセイ そうなんだ。まぁいいじゃん。ちょっとつかせてもらおうよ。
ユリエ え?センセイやるんですか?
センセイ 俺じゃないよ。君たちだよ。
ユリエ・リュウイチ えええええ!!

ユリエとリュウイチ,慣れない感じで餅をつく。

ユリエ 重い!!
リュウイチ これ,けっこう難しいですよ。
センセイ よし.次は食べさせてもらおう。
ユリエ 先生,本当にやらないんですね。
センセイ すみませーん,食べさせてもらっていいですか?
餅を持つ人 どうぞどうぞ。

ユリエ,餅をちぎっては渡し,ちぎっては渡し,みんなで餅を食す。

リュウイチ すごい。ねばりが違う。
ユリエ アハハハハ!つきたてだね!
センセイ 次はスポーツフェスティバルでも見に行くか。

3人,体育館へ移動する。

センセイ おー,バスケやってるねー。みんなうまいなぁ。
リュウイチ なんか本格的ですね。
ユリエ うん。学園祭の遊びって感じじゃないよね。
センセイ 俺はこれでも昔は少しバスケをやってたんだよ。

ボールを持って走り出すセンセイ。ユリエ,爆笑。リュウイチは唖然としている。

リュウイチ なんだろうね。突然。
ユリエ アハハハ!なんかやっとる。
センセイ あー,楽しかった。君らもやるか?
リュウイチ いや,いいです。
センセイ そうか。うん。スポーツといえばサッカーだな。ちょっとサッカー場に行こう。

3人,サッカー場へ移動する。サッカー場には練習後のサッカー部員たちがいる。

リュウイチ やっぱりここは綺麗ですね。
ユリエ 爽やかだよね。
センセイ ちょっと休ませてもらおう。いっぱい歩いて疲れたね。
リュウイチ 学内公開の日にこんなに見て回ったの初めてですよ。
ユリエ アハハハ。そうだね。
センセイ なんか,全体的にほのぼのしてたな。
リュウイチ 今日って,やっている本人たちが楽しむ日なんですね。
ユリエ うんうん。楽しんどったね。
センセイ 俺たちも楽しんだし,そろそろ研究室に帰って仕事するか。
ユリエ
リュウイチ
はーーい。
学長から一言:私も,お餅は「食べる人」でした。幸せを感じる,柔らかさでした。