2011/12/28

今年の10大ニュース

2011年も残りわずかとなりました。今年は,3月に東日本で未曾有の災害が起き,それに続いて原子力発電所の事故が生じるという,大きな出来事がありました。また,それらの後遺症は未だに尾を引き,日本全体がなかなか明るい方向に向いていかないような印象も受けます。

そのような中,アメリカの科学雑誌「サイエンス」が,12月23日発売の最新号にて今年の10大成果を発表していたのが目に止まりました。第1位は,HIVにおけるパートナー感染を低減させた抗レトロウィルス療法の臨床試験結果でしたが,第2位には日本の探査機「はやぶさ」の研究成果が,第4位には新たなクリーンエネルギーの開発につながると期待される光合成の仕組みの解明を行なった大阪市立大学と岡山大学のグループの研究成果が選ばれました。このような日本の成果は,日本の国全体が様々な潜在的な力を持っていることを示すものであり,これからの日本が力強く立ち直っていくことを暗示するもののような気がします。


ここで,福山大学の10大ニュースを考えてみたいと思います。それぞれの内容については,甲乙つけがたいので,大学,教員,そして学生に分けて挙げて見ます。まず,大学全体としては,体育館がリニューアルされたり,女子寮の改修工事も着手されました。25年度に工学部新棟を建てることも決まりました。それに学長室ブログを始めたのを忘れてはいけませんね。また,教員の研究では・・・・(ありすぎて書けません)。そして,学生関連のニュースとしては,今年は陸上,水泳,サッカー,野球,空手,弓道と,スポーツ分野での活躍が目覚しく,その時々で大学全体が華やかな雰囲気に包まれました。学生は街の活性化にも貢献しました。夏には心理学科の学生が,ロッツでお化け屋敷をロングラン,文化の秋には,人間文化学科の学生を中心に「宮通ファッションショー」を華やかに繰り広げました。教員は,教育と研究,そして大学運営に,学生は学問とスポーツ,そして学生生活の充実と,それぞれの方面で成果を挙げた1年だったのではないでしょうか。そして,このような成果は,福山大学がこれからも多くの可能性を秘めた大学であることを示しているように感じます。


大学も全入時代を迎え,私立公立国立を問わず,大学自体の有り様や教育の方向性を再検討しなければならない変革期を迎えています。しかしながら,福山大学は,学生と教員が一体となって,それぞれの分野で活躍し,成果を出していくことで,地域に根ざした大学となって更なる飛躍を遂げていきたいと思っています。

来年もどうぞよろしくお願い致します。
(学長コメント:今年の締めは,ハリスではないHでした。10大ニュースといいながら全然10にこだわっていないところが,Hらしさです。なお,次回1月1日の執筆は,はじめて学長自身です)

2011/12/27

ちょっとした疑問―その1

学長室ブログスタッフMです。
先日、学長との懇親会がありました。総勢10名弱の和やかでとても楽しい会でした。雑談で「学長は普段何を食べていらっしゃいますか?」と、誰かがたずねました。
「豆腐、魚とか、、、あと、大量の野菜!!」
「へー。だからそんなにスマートなのですね」と、一同納得しました。
しかし、私Mは、、、、ん?!
「大量の野菜を食べているからスマート」?。あれれれ、牛は毎日大量の草(野菜?)を食べているのにあんなに太っているぞ。しかも、体には大量の脂肪があり、適度に脂ののった霜降り肉は実にうまい。また、畑を荒らしまくっているイノシシも丸々太ってみえます。
逆はどうでしょうか。
アフリカの草原を100㎞で走り、獲物を捕まえる凄い奴。チータ。体は実に細い。小さな顔、無駄のない研ぎ澄まされた体。まさにスマート。でも、チータの主たる食べ物は肉です。トラやライオンもチータほどではないけど、牛や象よりも細く見えます。
「野菜を食べると細くなり肉ばっかり食べると太る」というのは間違っているかもしれない?と思い、本学の生命工学部生物工学科佐藤 淳講師に聞いてみました。
佐藤講師は地球環境科学の博士で専門は進化遺伝学です。
ここから、佐藤 淳 先生のお話です。



人間の個人個人における体の大きさの違いと色々な動物の間の体の大きさの違いは分けて考えないといけません。生物の体の大きさには種によって限界があります。ヒトはゾウのように大きくも、ネズミのように小さくもなれないのです。

生物の体の大きさは単一の遺伝子により決定されるわけではなく、多くの遺伝子が複雑に絡み合うことで定められると考えられています。ゲノム解読が進むこの21世紀においても実は体の大きさに影響する遺伝的要因の詳細は未だに明らかではありません。もちろん遺伝とは関係のない環境(食生活など)もその種の限界を超えない程度に体の大きさを変化させます。つまり体の大きさは遺伝と環境の両面から考えなければなりません。しかし「食べ過ぎた~」と思った後に体重計に乗ると愕然とするように、環境は体の大きさに大きく影響するように思えます。ですから、学長がカロリーをお考えになり野菜を多くとられていることとスマートであることに関係がないとは言えないでしょう。大学までいつも歩かれているというカロリーの消費の点にも理由はあると思います(生命栄養の先生ヘルプ!)。



一方、異なる種間の根本的な体の大きさの違いはどうやら食生活では説明できないようです。例えばジャイアントパンダを思い浮かべてみましょう。彼らは食肉目というグループの一員であるにも関わらず竹を主食とする草食動物です。ジャイアントパンダはクマ科の親戚ですが、クマ科は基本的には雑食性で肉も草も食べます。ですので、ジャイアントパンダがクマ科の系統から分かれて独自に草食適応に至ったと考えられています。それでは食性の異なるクマの仲間とジャイアントパンダで体の大きさに違いはあるでしょうか?あまり違いがあるようには思えませんよね。ちなみに食肉類で最も小さな動物はイタチ科のイイズナですが、ネズミのトラップにかかるほどの小さな体を持ちます。しかし、ジャイアントパンダやクマとは異なり基本的に純肉食です。つまり肉を食べるか草を食べるかは基本的な体の大きさとは全く関係がないようです。
それでは何が種の体の大きさを決めているのでしょう?前述のように至近要因(遺伝、あるいは食生活の要因)は明瞭ではありません。究極要因を考えてみましょう。一つの説明としてベルクマンの法則が知られています。寒冷な地域に生息する動物(恒温動物)ほど体が大きいというものです。半径が1cm3cmの球を考えてみましょう。半径1cmの小さな球では表面積が4p cm2で、体積が4p / 3 cm3 と計算されますので体積当たりの表面積は3となります。一方、半径3cmの大きな球では表面積が36p cm2で、体積が36p cm3 と計算されますので、体積当たりの表面積は1となります。つまり大きくなればなるほど外の環境に触れる面積が小さくなるのです。よって熱が逃げにくいということになりますね。寒冷な環境では熱が逃げにくい方が良いですよね。だから寒冷な環境における生物の体は大きいのだという説明です。緯度の高い地域に生息するホッキョクグマが他のクマと比較して大きいこと、海に適応したラッコが他のイタチの仲間に比べて大きいこと、同様にクジラの仲間が近縁なカバやウシやブタなどの偶蹄類と比較して大きいことは以上の論理で説明できます。しかしながらベルクマンの法則では説明できない例もたくさんあります。例えばゾウは何故大きいのでしょうか?もしかして体が大きい方が捕食者に抵抗できたのかもしれません。ベルクマンの法則のような物理的環境だけではなく生物的環境も当然のことながら選択圧として一役買っています。一方で偶然により体の大きさが違うという説明ももちろんできるでしょう。しかし、なんとなく体の大きさには意味があるように思えてなりません。

そしてもう一つ。疑問の中にあった家畜牛の場合は自然選択ではなく人為選択が関わったと思われます。人類の歴史の中で農耕や牧畜が始まって1万年程度たつと言われています。人類は食料となる農作物や家畜において都合の良い形質を選抜してきました。例えば、乳のよく出る牛や肉質の良い牛が人為的に選ばれてきたのです。このことは家畜牛の体の大きさを決めている大きな究極要因の一つと考えられます。実は家畜牛は祖先種と比較して体が小さいことが知られています。もしかして人類の手で飼いならされたことで捕食者に対抗する必要がなくなったのかもしれません。


さて野生の動物たちを見てみると余計な肉がないように思えます。チーターを見て感じられたのもそのような印象ではないかと思います。必要以上のものは食べない。これが自然の鉄則のように感じられます。人類はどうでしょうか?農耕・牧畜の始まる1万年前より以前の人類は狩猟採集をしていました。恐らくは野生の動物と同様に体に余計な肉などなかったのではないかと思われます。農耕・牧畜が始まり、面積当たりに得られる食料が非常に多くなりました。ジャレド・ダイアモンドはその著書「銃・病原菌・鉄(倉骨彰 訳)」の中でこれを「余剰食糧」と表現しておりますが、農耕が始まったことで直接農作業に関わることのない政治家、兵士、職人などを養う余裕ができたと考察しています。ここからは私の勝手な思い込みですが、つまり、必要以上の食料を食べることの起源はここにあるのではないかと思われるわけです。つまり、人類は自分自身のカロリーを調節しなければならないという宿命を背負った唯一の動物なのです。学長は健康的なものを食べられ、そして健康的にカロリーを消費されています。これは人類に課せられた宿命に見事に対応した行動ということが言えます。私も余剰食糧に依存する一教育者として見習わなければなりません。しかし、忘年会や新年会の後に絶望的な気持ちに打ちひしがれることは想像に難くないでしょう。。。

そろそろ結論を出さなければなりません。「野菜を食べると細くなり肉ばっかり食べると太るというのは間違えているかもしれない?」という問いを投げかけていただきました。取り込むカロリーは肉の方が大きいですので以上の考えは間違いではありません。しかし基本的には太る太らないはカロリーの摂取と消費のバランスが重要と思われます。一方で、この考えを異なる種間に拡張した場合には肉ばかり食べると体が大きいという考えはどうやら間違っていそうです。



以上が佐藤 淳 先生のお話でした。よく解りました。ありがとうございました。
☆ 生物工学科のHP http://www.fukuyama-u.ac.jp/life/bio/index.html

ブログスタッフMは、素朴な疑問があれば、今後も学内の先生のお話を聞く予定です。
そういえば、あれは何故だろう?!。この疑問に答えてくれそうなのは。。。。。

それでは最後に、学長コメントです。
「私の子どもの頃は戦時中・戦後で、多くの国民は栄養失調気味で、太っている人は『重役腹』と呼ばれ、羨望の的でした。私は子どもの時からやせていて・・・要するに燃費の悪い自動車のようなものだと思うのですが・・・中学生の時のあだ名は『ソーメン』・・・悲しかったです。それが今や、スマート(『賢い』という意味でもありますよね!!)と言われるのですから・・・環境要因が激変したと言うことでしょう」


2011/12/19

第60回全日本大学サッカー選手権大会

福山大学学友会サッカー部が、昨日埼玉県の鴻巣市立陸上競技場で行われました全日本大学サッカー選手権大会の第1回戦に出場しました。今年のサッカー部は中国地方の大学リーグでは無敗を誇っていて、全国大会での活躍が期待されましたが、結果は関東リーグ1位の専修大学に2-9で負けてしまいました。数字の上では完敗ですが、最後まで戦う姿勢を失わず相手ゴールを脅かし続けて2ゴールを上げることができました。
以下は現地リポーターKYによる報告です。
試合前の円陣の様子で、気合は十分です。

試合前の記念撮影も終わりました。

キックオフ直後の写真です。
ところが、このバックパスを相手に拾われてロングシュートにつなげられ、さらにボールがこぼれたところを押し込まれてしまい、開始10秒ほどで先取点を取られる苦しい展開になりました。

その後追加点を採られた後、相手ゴール近くのフリーキックを頭で合わせて1点返したシーンです。次の1点を取れたら何とかなると期待しましたが、その後は相手にいくつもゴールを奪われてしまい、前半は1-6で終わりました。

後半はメンバーチェンジをしてスタートしました。

後半は風上に立った事もあって少し盛り返しました。

この写真は2点目を上げた直後でスタンドも沸いています。
ただ、反撃もここまででした。

全体に押され気味の内容でしたが、相手ゴールに何度もせまり、2点取れたことは大きな収穫ではないでしょうか。最後まで頑張った選手と必死に応援してくれた応援団の皆さん本当にありがとうございました。

一つ写真を追加します。三橋写真館の大学専属の(?)カメラマンがピッチ近くで写真を撮ってくれました。ベストショットは学報に載るそうなので期待しています。

2011/12/09

学内人気スポット

 皆さんこんにちは。学長室ブログスタッフ、エドワード・ハリスです。朝晩の寒さも強まり、いよいよ冬本番という今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 毎年インフルエンザでダウンするハリスは手洗いうがいに励んでいます。ちなみに激務に耐える体作りを怠らない松田学長は乾布摩擦で体調管理に万全を期しているとかいないとか…

 さて寒くなってくると家の中に籠りがちになりますが、福山大学の学生は毎日元気にキャンパスライフをエンジョイしています。大学は講義、研究を通して専門知識を得るのはもちろんですが、友人や教員たちとの交流を深める場でもあります。福山大学には授業以外の時間に学生が快適に過ごせる場所がたくさんあり、いつも学生たちで賑わっています。今日はそんな福山大学の学生人気スポットを紹介します。松田学長も激務の間にいろいろな場所に出没しては、学生との交流作りに余念がないとか…

学内コンビニ
 1号館2階に街中にあるのと変わらない本格的なコンビニエンスストアーがあります。コンビニで買ったものをその場で食べられるイートインスペースもあり、いつも学生で賑わう人気スポット。特に肉まん、フライドチキン等のホットスナックが人気で午後には、売切れてしまうほど。松田学長も自分の分が残っているか気になって午後の仕事が手につかないこともあるとかないとか…










1号館学生ホール
 広々とした吹き抜けが印象的な学生ホール。1号館1階の売店横にあります。机、椅子がおかれ学生達は自由に過ごす事ができます。新聞や雑誌などを自由に読む事もできて思い思いの時間が過ごせます。おしゃべりに夢中になったりゲームに熱中する学生達の姿はエネルギーに溢れていて松田学長も〇〇年前の自分の学生時代を思い出しては、その若さを羨ましく思っているとかいないとか…




34号館図書館分館
 福山大学で一番新しい建物である34号館1階にある図書館です。薬学部関係の文献はもちろんのこと、一般の雑誌も多く備えられており広々としたソファーでのんびりと本を読む事もできます。フリースペースも隣接していてこちらの方も使い方は自由自在。いまや34号館は大学で一番ホットなスポットです。松田学長も図書館のファッション雑誌に目を通しては、ナウなヤング達のトレンドにアンテナを張っているとかいないとか…









 
 学内コンビニや図書館は、高校生にはもちろん、地域の方々にも開放されています。気軽に訪ねてみてください。地域に愛される大学を目指す福山大学は、皆様のお越しをお待ちしています。
 

 そんな訳でエドワード・ハリスがお届けした学長室ブログ、いかがだったでしょうか?  学長室ブログではキャンパスライフから大学行事まで幅広く情報発信を行っていきますので皆様どんどんアクセスしてきてくださいね。それでは、体調に注意して素敵な一日をお過ごしください。Have a nice day!

学長から蛇足:毎年インフルエンザでダウンするくせに乾布摩擦をしようとしない軟弱者のハリス君ですが、今回も舌好調です。