2016/03/24

ドライビングシミュレータによる交通安全の研究

 こんにちは。機械システム工学科のKです。

機械システム工学科では、広島県警察と福山大学の共同研究」を実施しています。この共同研究ではドライブシミュレータを用いて研究を行っています。

今回は、機械システム工学科で行っている「ドライビングシミュレータによる交通安全の研究」について自動車環境工学研究室の内田教授と4月から自動車環境工学研究室で卒業研究を始める学生たちに紹介してもらいます。

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コンピュータ映像で飛行機操縦を行うフライングシミュレータはよく知られていますが、ドライビングシミュレータはその自動車版です。運転席のハンドルやアクセルを操作すると、実際の自動車が走っているかのように、画面やスクリーンに映った周りの景色が動きます。世界各地の道路を走ってみることや、天気や昼夜を変えたりすることも自由自在です。
 




ドライビングシミュレータの最大のメリットは、危険な状況での実験を、けがをすることもなく何度も行えるということです。交通安全の研究において、ドライビングシミュレータは不可欠の装置です。警察との共同研究の第1の課題は、高齢ドライバーのための効果的な交通安全教育方法の開発ですが、現在、減速せずに交差点に進入したら左右の道から他の車が衝突してくるなど、ヒヤッとするシーンを模擬的に体験するためのプログラムを作成しているところです。これを訓練装置としてヒヤリ体験を繰り返すうちに、安全運転の習慣が身につくことを狙っています。



福山大学の地元である福山市西部では、交通事故のほとんどを追突事故が占めるという特徴がありますが、その原因や対策方法が、まだよくわかっていません。そこで、福山市西部で最も交通事故件数の多い神島橋西詰交差点のモデルを作って、この課題について研究しています。ドライビングシミュレータでは、道路形状の変更や周辺構造物の配置・撤去なども自由なので、カーブの曲がり具合や道路わきの防音壁の高さなどを変えながら、交差点通過時の運転ミスがどう変化するかを調べています。担当の学生らは、地元の交通安全の役に立つ道路変更案を提案したいと、はりきっています。



自動車の安全装備の研究も重要ですが、研究で試作した装置を実際の車に組み込んで実験を行うことは、案外大変です。そこでここでもドライビングシミュレータが役に立ちます。狭い車の中とは違って広い実験室内ならば、電源やスペースの制約を受けず、ドライバーの行動なども観察しやすいからです。現在の研究課題は、ドライバーの脈拍や体温をセンサーで測定し、それをもとに、ドライバーがイライラしたりぼんやりしたりしていないかを判定するためのセンシング装置の開発です。この研究には心理学の専門知識が必要なので、心理学科の教員や大学院生に協力してもらいながら研究を進めています。



余談ですが、実はこのドライビングシミュレータでは、自動車だけでなく、船や飛行機の操縦も体験することができます。もしかしたら今行っている研究が、将来、海や空の交通安全の研究へと広がってゆくかもしれません。そんな夢も描きながら、これからの研究を進めてゆきたいと思っています。
 





学長から一言:研究は大変そうですが、研究の途中でいろいろ楽しめそうですねッ。。。学生の笑顔が印象的!!!もちろん後期高齢者の一人として、研究成果に絶大の期待をしていま~す!