こんにちは、学長室ブログメンバー、生物工学科の佐藤です。
先日行われた今年度第1回教養講座 「夢を力に!」に関して、生物工学科の吉﨑 福山大学ワイン醸造所長からの報告です。
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福山大学ワイン醸造所の吉﨑です。
去る5/22(金)、今年度第1回目の教養講座が開かれました。講師は遙々北海道よりお越しいただきましたNPO法人ワインクラスター代表理事の阿部眞久先生です。
皆さん、シニアソムリエという資格をご存じでしょうか!? 日本ソムリエ協会が認定するソムリエは有名ですが、その後さらに経験を積んだソムリエが目指す上位資格です。阿部先生は高校卒業と同時にホテルのレストランで働き、最年少でソムリエ試験に合格、さらにシニアソムリエ資格もお持ちのワインの知識・テイスティングに関するプロフェッショナル中のプロフェッショナルです。
生物工学科では昨年度より「
福山大学ワインプロジェクト」を進めているところですが、昨年札幌市で開催された日本ブドウ・ワイン学会に私と山本覚教授が参加しまして、そこで阿部先生の講演を聞く機会がありました。この話をぜひ福山大学の学生にも聞いてもらいたいということで、今回それが実現したものです。
講演の内容は、タイトルの通りワイン産地としての北海道の現状と、シニアソムリエとしての資格を活かして地元自治体やワイナリーなどと協働し、北海道のワインの消費拡大やブランド力の向上といったことにご尽力され、第六次産業化の推進やワインクラスターの形成といったような現在の事業内容を、ご自身の経歴や人生に絡めてお話いただきました。また、ご自身がワインに魅せられていったきっかけ、日本ワイン(国産ワインとは違う!)の品質の高さや問題点に気付いてそれをどうにかしたいという情熱だけで疾走されてきた半生を熱く語っていただきました。
特に印象深かったお話は、高卒でレストランで働き始め最年少でワインソムリエ資格を取るなど仕事も順調でありながら、結局は勉強の必要性に迫られ働きながら大学の夜間コースに進みMBA(経営管理学修士)まで取得されたというくだりは、学生にも良い刺激になったのではないかと思います。そしてMBAで出会った仲間や恩師に支えられ、現在の「NPO法人ワインクラスター北海道」の起業に結びついたとのこと。本学の学生にはいま、勉強に専念できる恵まれた時間を過ごしていること、そしてここで培った人脈の大切さにぜひ気が付いて欲しいですね。
ワインの話としては、現在第7次ワインブームと言われ、赤ワインに含まれるポリフェノールの健康効果で一大ブームとなった前回ブーム時の消費量を上回っているとのこと。これを牽引しているのが日本産ブドウを用いて日本で加工した「日本ワイン」であるとのことです。日本ワインに対して「国産ワイン」という言葉がありますが、これは輸入した濃縮果汁を使って国内で製造したワインに使われます。ワイン醸造所長たるもの、このくらいのことは当然知っておりましたよ、ハイ。これらの区別がまだなかった頃、消費者は「日本ワイン」を飲みたくても、あるいは飲んでいるつもりでも、ほとんどが「国産ワイン(=輸入果汁を使用)」であるという問題を、阿部先生が最初に専門誌に問題提起されたとのこと(これは知りませんでした!)。現在ではこの区別も一般に知られつつありますが、それでも日本ワイン15%、国産ワイン85%の比率とのこと。まだまだ日本ワインの伸びしろがあると考えられます。
最後には学生のキャリア形成に対して示唆に富んだ話を幾つかして下さいました。石の上にも三年、阿部先生は12年で色々なことが形になってきたとのこと。また資格はただ持っていても意味がなく、それをどう使うかが重要であるということ。ビジネスの現場に出れば会社の大小ではなく個人の大小で価値が測られると。情熱をもって一つずつ下地を作って行けば自然と仲間が集まり夢は必ず叶うというようなことをおっしゃいました。そのためには日付の入った目標を口にする、人に感謝する、できない理由ではなくどうすればできるかを考えなさいと、3つの大切なことを教えて下さいました。
我々教員にとって耳の痛い話もあり、気持ちを新たに頑張ろうという気にさせられました。自分の学生時代を振り返りつつ、一人でも多くの学生にこの声が届くといいなと思いました。阿部先生、良い話をありがとうございました!
学長から一言:第1回の教養講座、学生と教職員に、夢と、覚悟と、着実な実行を促す、楽しい中にも身の引き締まる講演でした。。。実は私も、北海道産の日本ワインのフアンで~す!!