2017/03/27

ユニークな生物工学科のカリキュラム -果樹栽培加工実習-

こんにちは。学長室ブログメンバーの生物工学科・ワイン醸造所長の吉﨑です。

生物工学科では平成26年度より「福山大学ワインプロジェクト」を開始し、様々な取組を進めているところですが、本日は実際のカリキュラムでどういったことを学んでいるのかについてご紹介したいと思います。

ブドウ栽培の様子
今夏発売予定の福大ワイン














平成27年度のカリキュラム改訂により、現在の2年次生(4月から新3年次生)の学年から「ブドウ栽培~ワイン醸造」を講義実習の中で系統的に学んでいます。メインとなる科目は2年次生の果樹栽培加工実習で、本年度(平成28年度)初めて開講されました。

生物工学科カリキュラムマップ

この授業のユニークな点は、①果樹栽培と②ブドウ栽培の2本立てで行うところです。実習では6人前後のグループに分かれ、キャンパスに植栽されているアンズ、イチジク、ウメ、カキ、グミ、ナシ、ビワ、リンゴ、柑橘類の栽培を年間通して担当します。
栽培中のハッサク
栽培中のグミ














アクティブ・ラーニングにより、栽培方法は学生たちが自ら調べながら実践し、栽培記録のプレゼンテーションとオリジナル栽培マニュアルの提出が課されます。また、収穫物を加工してそれらの試食会を行い、どの班が美味しく作ったかを評価し合います。この体験を通して果樹栽培の基本を身につけてもらう狙いです。
アンズジャムを製作中

実習日としては前期・後期それぞれ10回以上設けられていますが、それで果樹栽培ができるはずはありません。実際は2年次生の月曜日の午後には、他の講義が入らないように調整してあり、毎週彼らはこの時間に水やりや下草刈りなどの面倒を見てきました。
ウメシロップの試飲
今年1月と2月に行われた栽培報告と加工品試食会では、初めてとしては上々の成果が発表されました。立派な果樹が収穫できたとの報告に加え、ジャムやシロップ、コンポートなど、非常に美味しい加工品が披露されました。

担当果樹の栽培法と実績をプレゼン
ブドウ栽培については教員の指導の下で一通りの作業を行います。ここを全部学生に任せないのは、もし収穫に失敗してしまうと、ワイン醸造実習に使うブドウが無くなってしまうからです(笑)

ブドウ圃場への施肥
ブドウ樹の防除














ただワイン醸造では、例えば酵母の種類の選択などの製造方法にはある程度の自由度を与えており、今年は自分たちで収穫したマスカット・ベーリーAを用いた赤ワインを醸造しました。昨年秋に仕込んだ赤ワインは現在熟成中で、4月以降に瓶詰め、3年次に開講されるワイン品質評価学の授業の中で官能評価を行う予定になっています。

 
ブドウの除梗破砕
ブドウ果汁の糖度測定






斗瓶を使った赤ワイン醸造
炭酸ガスの減少量で発酵管理














また3年次にはこのワインの一部を使って蒸留し、ブランデー製造実習なども計画しています。これまでの実習を見ている限りでは、楽しく主体的に取り組んでいる学生が多いように思います。こうして新しいカリキュラムの下で学んだ学生が卒業するのはまだ2年先ですが、彼らが今後どのように成長していくか、とても期待をしているところです。
発酵中の赤ワイン
学長から一言:ワインだけではなくて、キャンパス内のいろいろな果実が、教材になっているのですねッ!学長室でも秘書が密かにカリンの蜂蜜漬けを。。。アッ、これは「ひ・み・つ」